日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

湊かなえ著「山女日記」

2016-10-25 | 読書
先日、登山家の田部井淳子さんが亡くなった。
面識はないけれど、テレビで拝見する限りでは飾らない人柄
何処にでもいそうな風貌と、何処にもない偉業を成し遂げた人。
親しみを感じていた。

それで今日の話題は8月に読んでいた
湊かなえ著「山女日記」幻冬社文庫刊



30才を目前にして婚約に疑問を感じたデパート勤務の女性
同じフロアーの同期に誘われ、妙高と火打の縦走を試みる。

デパート勤務にして、登山用品の調達はお手の物
あいにく誘った張本人は都合が付かなくドタキャン
気の進まない相方はメイクが山向きでない、足元は運動靴
リュックはパンパンにふくれ、ハナから上手くやって行けそうもない。

気の合わない同行者だが、登山中はおしゃべりの必要性はなく
自分の来し方や、婚約者の事、仕事の事、思考に集中出来る。

どうにか無事にヒュッテに到着すると、
パンパンのリュックから取り出したのは、マンゴーやみかん
果物は曰く付きの物だったが
反目していた同行者に好意を抱くきっかけになった。
これが第一話

続いて槍ヶ岳、利尻、白馬、金時山
ニュージーランドのトンガリロ、涸沢と、
一つの登山に一つの物語の展開

きっと湊かなえさんの趣味は登山に違いない
山の風景や心象風景がリアル。

先日の新聞記事だったか
登山者は山頂で見た山に行きたくなる、とあったが
若い頃の私はまさにそうだった。

友人と南アルプスの鳳凰三山に登り
地蔵岳から(たぶん)見える白根三山に行く事にした。
白根三山は富士山に次ぐ高い北岳を有する登山上級者の山
その北岳から見えた仙丈岳に行くつもりになっていたが
20代の頃は気が変わりやすい、
それっきり山登りは止めて、10年後くらい後に涸沢のヒュッテに行き
穂高の断崖を見てキッパリ止めた。
(懸命な決断だった!)

忘れていた昔の事を思い出しながら読み終えた一冊でした。
コメント
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