一陽来福  ~齋藤一陽による截金の日々~

伝統工芸。截金職人齋藤一陽が、日々の物創りの様子を紹介します。

【webラジオ昔話】 むかしむかしのものがたり 第44話「アリとキリギリス」

2012-05-26 13:39:13 | webラジオ昔話むかしむかしのものがたり
石田彰さんと氷上恭子さんがたったお二人だけで、昔話をwebラジオで語ってくれます。

むかしむかしのものがたり 第44話「アリとキリギリス」
http://radiotomo.typepad.jp/old/2012/05/44-bb70.html
↑ここからクリックして入って、緑の矢印のとこをポちっと押すと昔話を聴くことができます。
配信は過去2回までとなっていますので、お気を付けください。


西洋のものは、イヤだとか言っていましたが、ちかごろではイソップ寓話はなかなか面白いな~
と、思っていたりします。
いろんな文化や民族の匂いがしますし、グリム童話やアンデルセン童話とは、また違う面白さがあって魅力的かな~


今回も語りは恭子さん。アリさんも。
石田さんは、キリギリスでした。

キリギリスが奏でていたのは、ルドルラの『想い出』の曲かな?
なんだか郷愁を感じました。


日本も今ではキリギリスですが、もっとも古そうなラテン語版では?せみ??(cicada)、ギリシャ語版では蝉(tettix)みたいですね。
他にも黄金虫とか、コオロギ、イナゴ(大分話しが変わっていますが)などさまざま。でも私がザッと調べた限りでは蝉があっとう的に多かったです。


ギリシヤの詩


おお、幸いなる蝉よ
なれは梢にとまり
甘露のひとしずくを糧に
王のごとなが歌をうたふ
このときなべてはながもの
野辺になれがみるもの
木々の醸すものなべて

死すべき我らはなれを羨む
真夏をつげしらしむるものよ
詩神の愛でしものよ
アポローンまでもなれを愛で
なれにその声をばさずけたまふ
かさぬる齢をなれは知らず
知者よ、土より生まれ、楽を愛でるものよ
世の悩みを知らず、その体は血をもたず
なれはそも神々にも似たり


黄金虫も蝉も古代では、不死の象徴とする民族もあったみたいなので。神格化されるほどの象徴を踏まえると、言葉に出来ない何かを寓話にのっけているのか?なにか惜しまれる民族をあらわしているのか?イソップが処刑されたという逸話も含めると。妄想という名の深読みをしてしまいたくなります。
なんにしても、古代までさかのぼると根底の深さをかんじてしまいますねー


石田さんは、ああいってましたが、日本版は単純に、日本人にはどうもピンとこない教訓だったからだけなのでは、ないでしょうか?そもそも日本人って、コツコツと勤勉で蓄えるアリ型民族ですから。
???て、なったのでは?
だからアリからの目線(世界観)になってしまって、アリとしての教訓を探ったのですよね?

その上、蝉が怠けていたので死んでしまうのだと言われても、可笑しく思ったと思います。
蝉は別に怠け者の昆虫では無いですし、むしろものの哀れを感じる日本人にとって、僅かな時を精一杯に生きるこの虫は、歌にも詠まれているほどですからね。←ほんとはご存知のとおり虫としては長生きです^^

当時農耕の民族が思い描いたことは、冷害などで米が取れない飢饉などを思ったかもしれないです。
(あるいは歌舞音響を生業にし、旅する人々を蝉と重ねたということも?)
じゃあ。その時アリとしてどうする?
日本は仏教が広く流布された国なので、この流れはとても自然におもえました(実際は豊臣政権の時代、キリスト教宣教師からラテン語版・セミとアリ、として渡ってきたみたいですが、天草なんですよね?まるで歴史の大きなうねりにまでこの寓話は関わってきたのかと、想像してしまいます)。

甘いと言われてもいいし、実際出来なくても仕方ないけれど、そうありたいという気持ちだけでも
日本人として手放したくないな。とは、思います。

それみたことか!と罵り、懲らしめはしても、やっぱり最後は分け合う心でいたいですし。
痛い目をみたあと、人からの温かさを受けて、初めて己を恥じ有難さを知る教訓(日本人が親しんできた仏教的な?)となるわけで。。
死んだら終いじゃない?(笑)


わたしはそんな日本版も好きですよ^^
もちろん、本来のイソップ寓話としてのアリとキリギリスも好きですよ?

どちらも、その土地に伝わってきた、意味のある大切なお話です。


個人的には、現実のことは現実で受け止めるだけで、私は十分です。
何もどうしても、わざわざ生々しいお話にしたり、ダイレクトに伝えなければ成らない。ということでも無いとおもいますし、
ものがたりはものがたりとして、さまざまな文化や民族を吸収して、いろんなエッセンスを内包してくれるのが面白いな。と思います。


なので今回は殊更、日本のものがたりの良いところも頭でなくって、もっと心で感じて知ってもらいたい!
と思ってしまいましたよ^^


とはいえ。イソップ寓話もやはりとても面白いです。
金の斧・銀の斧のときもちらっと思ったのですが、とても多民族の文化を感じるのですよね~^^
なので、少し切り込んでみます!!

ヘロドトス(古代ギリシアの歴史家)の歴史書に、歴史上の人物として名が出てくるのが、イソップ=アイソーポス(紀元前619年 - 紀元前564年ごろ)、古代ギリシアの寓話作家(作家というか当時は語りだったのではないかな?)。奴隷であったと記述にあるそうです(のち、語りが上手くて開放されたという話有)。
寓話集となるのは、その後たくさんの人によるものだと思います。

なんと紀元前6世紀ー前6世紀ですよーー!


諸々の記録から、イソップはだいたい前600年頃に盛時を迎えたと考えられているが、出身地となるとさらに曖昧模糊としている。古来、イソップの出身地として名乗りを上げているのは、次の4つの都市。

1)小アジア中部および北部のプリュギア
2)ギリシア北方のトラキア
3)サモス島
4)リュディア王国の首都サルディス
このうち、前2者はギリシアの奴隷供給地である。後の2者は、イソップが寄留した因縁から、故郷とされたらしい。ふーん。


ギリシャ・メソポタミア・小アジア・ラテン、様々な民族と言語・風土・宗教・文化を吸収したり吐き出したり、種々多様なエッセンスを内包して姿を変えていったのだろうな~と思ったり。

そして偶然観にいった作品展に、イソップ寓話の写本。ウイグル語10~11世紀のものを発見~
ほんと切れ切れの紙本断片が、トルファンから発掘。大谷探検隊により、現在龍谷大所蔵。
おもしろーーいい^^
マニ教文献となるもようです。
善の美しき教え。となっており、説話として説かれていたんでしょうね~



そして同じころの11世紀ラテン語版。写本の挿し絵画像

これが蝉なのでしょうか?なにもの~?
ラテン語では、蝉では無いってことなのでしょうか?
かといって、何と思えば?(笑)

それに、後ろの植物はなんなのでしょうね?
オリーブ?アカンサス?



ところで昆虫記で有名なファーブルは、この寓話に本気になって怒って、蝉に肩を持ったプロヴァンス語の詩を翻訳までしているそうです。
かわいいな~ふぁーぶる^^


このアリとキリギリス論争は、日本ではほぼ半々にわかれるそうですね。
西洋の教訓は教訓で、もっともだと思っているのですが。
安土桃山時代に渡ってきたこの物語。その時代もうすでに、『散々に嘲り少しの食を取らせて戻いた。』の一文が添えられていたようです。

好き嫌いはあったとしても、良い悪いの問題でしょうか?
日本人の精神性の問題ですよね?否定することは可笑しな感じです。
文化や風土や宗教といった背景が、西洋とは違うんですよ?日本という民族に合わせてお話が変わっていっただけの事です。
戦後教育の甘やかしと言われたこともあったようですが、?戦国時代からのお話なんですけど??
むしろ明治維新、戦争を経て今更ガタガタ言うようになってきたと感じました。

西洋の文化でものを考えるようになって、日本の精神を理解する心までも、手放しつつあるのだろうか?
そう考えると、この論争はとても哀しく思われます。

この論争を読んで、私も西洋のもの(グリム童話とか)を嫌がってないで、もう少し深く切り込んで楽しんでみようと反省しました。その時代それぞれの国の背景や文化を少しでも理解して、大切にしてみたいです^^


ファーブルもこの時。
何かの背景を思って、怒ったのであろうか。。
という説もあるらしい。




次回配信は、6月8日(金)第45話「狐の恩返し」だそうです。


そして、むかしむかしのものがたりのCDが6月28日に発売~~
「桃太郎」と「さるかに合戦」2話収録。絵本感覚のブックレット付き。
イラストは萩岩睦美先生だそうです。
懐かしいです^^
銀曜日のおとぎばなし とか 砂糖菓子のお話とか 大好きでした^^

で、順次発売予定らしいです♪わーい。やっと私が購入できそうな楽しみがふえました~
やはり昔話って語って受け継がれるものだから。
こういうことが、とっても嬉しいです♪
詳しくのっていた記事を発見。石田彰さん・氷上恭子さんコメント付き。

http://www.koepota.jp/news/2012/05/14/0204.html
RADIO TOMO!
感想・リクエストページ→ http://www.radiotomo.com/mailform/mukashi2.html

むかしむかしのものがたり


着付け教室をはじめたお友達たちがリンクを貼ってくれました。
ふあふあくらぶ 奈良の生駒で着付け教室・苔盆栽・パン教室

京女さとこはんは一陽の帯留めを身近に実際に使って下さっています^^
記事で紹介してくださいました。ありがとうございます。
さとこの着物まわり

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