一陽来福  ~齋藤一陽による截金の日々~

伝統工芸。截金職人齋藤一陽が、日々の物創りの様子を紹介します。

正阿弥勝義

2011-06-12 01:59:00 | 美術展感想
正阿弥勝義

幕末・明治を岡山の地で生きぬいた、このとき最高峰ともいえる技巧をつくりだした希代の金工師です。


幕末・明治の超絶技巧展
大阪歴史博物館にて開催は、終了。現在は岡山県立博物館にて展示されているようです。



友人にお招きいただいて、行ってきました。もう先月終了の作品展だったので、
少し前のことですけどね^^;
私がとても好きそうだからと、連絡をくれたのです~ありがたいな~

そもそも京都にある三年坂美術館のコレクションを中心になので、元々好きで度々出向いていたこともあり、拝見したことあるものも多数ありましたが、小さな美術館なので、ちょこっとづつしか観れないんですよね。
なのでこれだけ沢山をじっくり拝見できることは、とても価値のあるものでした。
また、作品たちの時代性をよく感じることが出来ました。



実は明治の物って輸出用のものが多く、技巧が媚びたイメージが付きすぎていたので、あまり印象良く思ってはいなかったのですが。←截金は平安を中心に、奈良、鎌倉(室町かかりくらいまで)を中心に勉強することもあって、幕末・明治期は、あまり明るくないのです。特に最盛期の平安末期(院政期)、技巧を凝らしすぎたものは、美しくない。といわれていました。

ですが職人たちにとって、その苦しい時代背景を感じると、私は胸が苦しくなります。

特に金工は刀装金工が中心であったので、後ろ盾となる武士や、装飾する為のもの自体を失うことの心の内を察すると、何とも言えない気持ちになるのです。

しかし、江戸の時代に学んでいた、職人たちの技巧はやはり群を抜いていました。とにかく技巧を凝らしつつどれだけの数をこなしてきたかが、刀装金工から彫金芸術に転換されたとき、ありありと見てとれます。
とにかく仕事が速い。。
そして花鳥風月に関し、その感性の造詣が深いこと。

刀の拵えの装飾というものは、昔から本当にすごいものなのです。
考えれば、歴史的にもとても古くから人と共にあったものですから、当然なのかもしれません。

私の携わる截金工芸も、国の情勢によりなのか、一度は姿を消した工芸だといわれています。
そうです^^もういらないって言われてしまった訳なのです。
確かに、何かの役に立つものではないですからね。
私も、日本の今を考えたら、本当に必要?もっと現実的に人の為になる、他の仕事に就いたら?とも、頭では考えるのですが、
私には、どうしてもあきらめる事ができません(笑)。
いったいなんなのでしょう?業が深いとしか言い様がありません^^;
ですが、幕末動乱の時代に職人として生きぬいた先人達を見習って、とうてい足元にも及びませんが、がんばっていこうと思っています。
やはりがんばってきた先人達の作品をみると、力づけられましたね。有難いばかりです。


そういえば以前、古くから刀商を営んでいる方のお宅で、室町だったか桃山だったかの(沢山拝見したので分からなくなりました。江戸初期・中期かも^^;)、刀の拵えを拝見したとき、実際触らせていただけたし、私は少し振るえました。
それは海の宝尽くしの装飾で、びっくり象嵌という技法がつかわれていると言うことでした。

びっくりしました(笑)

それはわざわざ、金属の部分が剥げているように見せかけてあるのですが、継ぎ目などはもちろん見えず、わざと他の金属を被せるというとんでもなく面倒なことを、小柄などという狭小な世界に表現して、そのように見せかけている、というものでした。
ほんとはもっと正式な名前があるのかもしれませんが、その方に教えて頂いたのは「びっくり象嵌」ということでした。

もうほとんど刀・武具等、博物館に寄贈してしまったということですが、中でも秀逸のもの何点かは、どうしても手元に残して置きたかったそうで、それを拝見させて頂ける機会を得て、とても幸運でした。
もちろんこの世を去ることになったなら、残りも博物館に寄贈されると語っておられましたが、長生きはしていただきたいですね^^

着付け教室をはじめたお友達たちがリンクを貼ってくれました。
「ふあふあくらぶ 奈良の生駒で着付け教室・苔盆栽・パン教室」
http://ameblo.jp/fuwafuwapannookurimono/京女さとこはんは一陽の帯留めを身近に実際に使って下さっています^^
記事で紹介してくださいましたhttp://ameblo.jp/fuwafuwapannookurimono/entry-10820091491.htmlありがとうございます。

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