一陽来福  ~齋藤一陽による截金の日々~

伝統工芸。截金職人齋藤一陽が、日々の物創りの様子を紹介します。

奉納演奏

2010-01-28 00:59:38 | 楽器装飾
この度のお三味線は、とても貴重な材で作られていました。
もう2度と手には入らないかのような、大変良質の紅木なのだそうです。
天神(棹)の部分が、この堅いインドの木で拵えられています。
胴の部分は桑材で出来ています。
後にその仕立て代をお聞きして目玉が飛び出ましたが、何事もなくお渡しできて安堵いたしました。


そして今回、ご縁あって、弾き初めの奉納演奏がこっそりと京都・円通寺さん
http://www.ryokan-yachiyo.com/ryokan-kyototrip/ryokan-travel-entsu-ji-temple.html
で行われました。
円通寺さんは、聖観音さまをご本尊さまとする臨済宗のお寺で、修学院離宮の元離宮。
後水尾天皇が配した大変美しい名勝です。


とても清浄なお寺で響く奉納演奏は素晴らしかったです。
私まで出席させていただき、とてもありがたい経験でした。
本当にありがとうございました。

ご住職と語らう華道家・素心先生と、舞人・白桃女さん


奉納中は撮影できませんが素心先生宅での栄敏郎先生



組み立てるとこんな感じの天神の様子


美しいお着物の皆さまに囲まれて、別世界の一日でした^^


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絃楽器の装飾

2010-01-27 22:42:07 | 楽器装飾
暮れもお正月も、土に潜って何をゴソゴソとしていたかといいますと
(もちろん曼荼羅もやっていたんですが^^)、
一昨年にご依頼いただいた、お三味線の装飾をさせて頂いてました。

一昨年の作品展に雨の中偶然に立ち寄って下さり、截金に関心を寄せて頂いたのです。
絃楽器への装飾は私の夢の一つであり、
絃が大気を揺らす楽器に装飾できることは憧れであって、
雨の降るその日も朝から、いかに私が絃楽器に截金装飾したいか!!と、語っていたので、お三味線の奏者である先生が現れたときは、たいそうビックリしたのでした。

そこから一年以上も経ち、たくさんの時間がかかってしまったにもかかわらず、信じて任せて下さったこと、ほんとうに感謝しております。
先生本当にありがとうございました。

なかなかに文様が決まらず、資料はシルクロードまでうろちょろして調べました。ササン朝ペルシャやビザンティンなども、今回初めて資料あさりをしました。
たまたまお知り合いからお借りした外国の資料にもたくさん役立つ文様があって、本当に感謝~

結局、先生よりご信仰されている不動さんの『倶利伽羅剣』家紋であるという縁(ゆかり)の『葡萄文様』、『北斗紋』、『法輪』そして隠し文字で『妙法』とお題をいただきました。

しかしこれもナカナカ難しく。
葡萄唐草と倶利伽羅剣をどのように文様化しようか?楽器であるのではんなりしたほうが良いよね。あまり宗教色が強かったり、露骨に龍を装飾するのはいかがなもんか?
もちろん古典の文様で。。でもあまり遡りすぎて西洋化してはいけない、先生は東洋の大陸の香りがする方だから。。
などともんもんと苦しみ。。

相変わらず、截金は写真写りが悪くてわかりにくいのですが、
こんな感じになりました。
プラチナと金の割合が、なかなかうまくいったと思います。まったく写っていませんが(汗)

倶利伽羅剣は龍が剣に巻きつき飲み込もうとしている宝剣の文様ですが、龍を雲気にみたてています。
下の方に隠し文字。


北斗文様は少し古い時代のスタイルで。


法輪は剣輪法の文様で、倶利伽羅剣の剣にあわせて剣の装飾が入っています。
少し新しい時代の様式の文様です。ゆがんで写っているな~(汗)


納品のとき。
「信用して頂いて、ここまで本当にありがとうございます。」
とお伝えすると、
「あたりまえです。」
「作品展のとき、作品をみて、決めたのですから。」

「。。。。。」



じーーーん。
何よりも嬉しいお言葉でした。
こんなとき、感情表現の乏しさが哀しくなります。どうやってこの嬉しさをお伝えしたものやら。。。
なんだかもう、思い残すことはないかのような嬉しさなのでした。
なのでこうやって思いをブログにかきとめておく事にしました^^

おわり。


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啓蟄にはまだまだ早いですが^^。。

2010-01-25 00:16:15 | お知らせ
もぞもぞと土の中より顔をだして、

みなさま

初春のころ。お喜び申し上げます。
立春ももう近くになって参りました。


ずっとブログをお休みしていましたが(汗)、何故かアクセス数が増えているような。。
ご心配をいただいた方までおられたようで、ほんとうにありがとうございます。

納めるのに、皺がよっているものもあったりで、落ち着くまでブログ禁止令を自らに発していたのもありますが、少し土の中に潜って、引き篭もって、何かを集約させたい気持ちがありました。


ここ何年かは、たくさんの人に出会い、たくさんの材質との出合いがあり、いろんな意味での広がりを持つ事ができました。
目まぐるしいほどのきれいな色に、さまざまなアイデアと、楽しい人との交流。しかしそれと比例して、このままでは、まだ確実に実になれない何かがあって、それが作り出すものに反映しているように思いました。
イメージにすると雲のように広がりをもちましたが、ほっておくと散ってしまって心もとないものとでもいいますか。。。
ここらで一つ、ギュッと集約させる技を身につけなくては!

今年はもう少し詰めて、(種)核のある結実にしていきたいです。
とはいえ、毎年少しずつの前進であることには変わりが無いのですが^^


そして昨年お知らせさせていただいた曼荼羅なのですが、
この度、納めること先方さまよりキャンセルとなりました。
楽しみに応援して下さった皆様には、申し訳なく、そしてありがとうございました。
しかしながら、私としてはもうずっと以前より憧れていた曼荼羅であり、そして朋文氏が描き彩色を施してくださったものが、いま私の手元にあります。
すでに截金もはじまっていますが、屋外展示という壁もなくなったことなので(途中から屋外に設置するという話になっていました)、文様を見直して、ゆっくり取り掛かかっています。

私はただ一介の技術者であり、目の前に現れた曼荼羅にただひたすら誠心誠意込めて作業に打ち込むのみです^^
曼荼羅なので対象が神仏であり、神仏に恥じないよう、そして己に恥じないように、截金ができるという今に、感謝をこめて。。
ただ。それだけです^^