一陽来福  ~齋藤一陽による截金の日々~

伝統工芸。截金職人齋藤一陽が、日々の物創りの様子を紹介します。

真心のあるもの。

2010-06-21 01:33:15 | よきもの
テレビはあまり見ないのですが、
ふとよそ様のお家でちょこっとみていると、

あーなんて空気のととのった人だろう。まわりの空気が違う。
この人本物だ。

と、思える人が映っていました。

どうやら時計師さんのようで、丁寧に中の部品までもご自身で作られているようでした。

その細やかに拵えられている部品たちを眺めていたら、何だかぼたぼたと涙がでてきてしまって。
こんな、あたたかくて、やさしくて、真心の込められたものを作って下さっている方がいてくれることが、私にはとても嬉しくて、胸がいっぱいになってしまったのでした。

我ながら何てことで泣いているんだろう^^;アホだな~とは思いますが、
テレビの中では、そんなその方を深く理解してくれている方達もでてきて、解ってくれる人も沢山いてくれることが、なお更嬉しいのでした。

ですがその方の暮らし向きは実に質素で、手間と技術は惜しまず、でもきっと少しでも求めやすくと、あまり高くはとっていないんだろうな~と、思わせました。
部品たちも技巧を凝らし過ぎず、自分が世を去ったあとも、受け継ぐ人に修理しやすいように。と、作っておられました。
きっとかわいい子供のように。慈しんで、つくっているのですね。

使われるものをつくるって、ほんとうに素晴らしいことです。
私もささやかですが、人に使って貰えるものを作れることに携われて、とても幸せだと思いました。
ありがたいことです。


どうやら私は女性が喜んでくれるものを作れるのが、嬉しいようです。
きらきらしながら、実際に見て触れて楽しんでくれたり、また使ってくださることで少しでも輝いてくれたらと思うのでした。
女性が少しでも笑ってくれたら、私は嬉しいのです。
これからも、私なりではありますが、真心を込めてつくっていきます。


截金という高尚なものを。。。と、ご不満の声もいただきましたが、
高尚なものは、高尚のままに。。
神仏に奉じる荘厳としての截金は、神仏に捧げる真心でつくります。
それは鎮護国家を祈ったり、感謝や供養を捧げるためのものへの荘厳です。
仏像・仏画といった神仏に奉じる為の荘厳を、截金の技巧を人にひけらかす為に個人の展示会などといった行為はもってのほか、私は死んでもごめんです。
截金師にとって、仏像・仏画は作品ではありません。
と、改めて心がはっきりさだまって、とてもありがたく思っています。

これからも、神仏に携わらせて頂いたお仕事の開示もまた、一切しないことにはっきりと決めました。
こういったお仕事は今後もきちんとお祭りしていただける、ご縁あるもののみとさせて頂いています。
例外で、何故かご縁で私の手元にやってきてくれた、古いお木仏などはさせて頂くこともありますが。。

経歴は無理にはくを付けなくても、開示しなくともしてきた事の事実は変わりませんし、みたままの、しょぼい私で十分良いのだと思います^^
ありがとうございます。


私を泣かせた時計師さん フィリップ・デュフォーさんのシンプリシティ






独立時計師たちの小宇宙 スイス・超複雑時計の世界
NHKのオンデマンドで視聴可能みたいです。
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2010016450SA000/index.html