「蟻の法則」・2対6対2の労務管理をやってのける企業の論理

2014-09-27 16:32:03 | 日記

     「蟻の法則」・2対6対2の労務管理をやってのける企業の論理

 

  日本の産業に与えた安倍内閣の経済政策(アベノミクス)は、全国津々浦々まで浸透し、かつての内閣には見られない成果を上げていると宣伝されている。そして「経済界にとっても受けの良い内閣」として長らく中断をしていた「政治献金」も復活した。

  さらには、外国投資家に対しては「今が買い時です」と、日本への株式投資をうながし、大量の資金を国内大企業に流し込んでいる。そして法人税の大幅引き下げをもくろむ。

  その中にあって不思議な現象が起きている。それは、日本における代表的な大企業において、一部事業部門の縮小、撤退、廃止を理由にした1000名単位の人員削減の実態である。

  日本は、戦後幾つかの経済不況の波に襲われた。1973年代からの60ケ月余に及ぶ石油不況もある。さらにはエネルギー改革による石炭産業衰退も経験した。そして、多くの労働者が職場から放り出された。

  そこに、抵抗する労働運動もあったことは事実であるが、今日のように「無抵抗のまま」職場が無くなっていくということは考えられなかった。しかも、半導体事業の撤退に見られるように、企業全体で利益を上げているにもかかわらず、一部の事業が成り立たないとして撤退するだけではなく、そこに働く労働者を丸ごと整理しようとすることにある。

  全従業員を、原則として企業内で抱え込むという方針は、かつての「社風」であり、今後の企業には許されないということなのだろうか。

  さて「2対6対2」という法則がある。

  蟻は、働く生き物とされていたが、それは誤りで「働き蟻は全体の2割である。後の6割はそこそこに働き。そして残りの2割は『さぼり蟻』」だという。そこである実験をした。働き蟻の2割を群れから取り除いた。そこで女王蟻を守り、働くグループが居なくなると思いきや、6割の中から働く2割の蟻が生まれる。そして、2対6対2は変わらずに存在するという。

  ある会社の人事幹部が言ってのける。

  従業員を四段階に評価をしている。当然にして「削減その他の対象はDブロックである。しかし、Dブロックのみとはしない。Aブロックからも対象者は出る」と。「それでは会社はマイナスになるであろう」との質問に対し答えが返ってきた。「心配はない。必ずBブロックからAブロックになるものが出てくる。全体して、この比率は変わらない。むしろ競争が生まれる」と。

  まさに「蟻の法則」の適用である。

  先に「不思議な現象」と言ったが、それは企業にとっては、今や当然の論理なのである。

  年金生活者であり、職場の実態には直接かかわるものではないとしても、このようなドラスチックな労務対策の中で働かされる子どもたちのことを思うと、腹が立つ。そして、労働組合の存在は、今どうなのかと述べたくなるのは私だけだろうか。

   ・・・・・・・(この「蟻の法則」は以前にも書いたことがある)・・・・・・・


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