驚き、不意打ち・権力者が使えば怖い。

2013-04-23 09:15:17 | 日記
 「サプライズ」という言葉がある。英訳は驚き、不意打ちの意味であるが、日本では「他者を驚かした後に喜ばせる計画やその実行の意味でも使われる}。20日のテレビのニュース。そして21日の新聞は「サプライズの演出」として大きく取り上げられていた。その内容については後で述べるとして、ハイドンの交響曲第94番が「驚愕」の愛称として使われている。それは第二楽章のはじめは静かな演奏で流れているが、その後にびっくりするような大音量となり、さらにトランペットを使ったことは当時の常識では考えられないものと言われている。逸話としては居眠りをしている婦人方を起すために書いたとも言われている。
 そこで前記のニュースの件である。福島県南相馬市の中学生12名が首相官邸に招待された。途中で突然安倍首相が登場。事前に知らされていなかった予期しない場面に、中学生は驚き、どよめき、そして喜びを声をあげたと報じている。そして首相を真ん中にした記念写真と官邸見学。ホールでの首相との対話。「福島の再生に全力を上げます」と。まさにサプライズ演出である。
 交響曲もしかり、今回の中学生見学会しかり、サプライズ演出はあらゆるところに試みられる。しかし、この演出が時の権力者が政治体制を維持、強化するために用いられるとすれば恐ろしいことである。その歴史の1ページを開いてみたい。
 「雨の明治神宮外苑の行進」がある。昭和18年10月21日、20歳以上の学徒25000人、それを見送る女学生をはじめとした50000人。動員された女学生は入り口近くのスタンドに配置された。入り口から入場する若き学徒に、女学生はずぶ濡れになりながら駆け寄り、涙し、手を振り、声援の声を上げた。行進する若者は「この女性を守らなければならない。そのためには死も恐れない」と。見送る若い娘は「その死に殉じる覚悟で国を守ろう」と。そして3000名を超える若者が戦死した。また殉じることを誓った多くの少女が勤労学徒として命を失った。
 サプライズ演出が政治の場面に出た最たるものであろう。今もって記録番組に企画された場面を見ると涙腺が緩む。それだけ強力な記憶を私たちに与えたものであった。 
 「歴史は繰り返す」。今、安倍政権は平和憲法を変えようとする動きが大きなうねりをもたらしている。改憲の狙いは第9条である。過去には「忘れてはならないものがある」。そのことを知る者の一人として、警戒しなければならない場面が幾つも出ている今日の政治情勢を訴えたい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿