”外断熱” ~人に勧めるなら自分から~

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今年も子供たちは元気いっぱい!!
乗るゼGT-R、MY・・・15!?

もっとがっかり

2006-11-26 23:27:15 | Weblog

昨日、紹介しましたRC造地下付き木造2階建て住宅の問題について、いろいろと分かったことがありますので、ご紹介いたします。

結論として、私の認識不足がたくさんあったんですが、設計において問題がありそうな雰囲気は否めませんでした。

●ホールダウン金物について
2×4工法であれば、ホールダウン金物がないケースはあります。
ただ、在来工法であれば、平屋でない限りホールダウン金物は必要になります。

●アンカーボルトのかぶり厚について
アンカーボルトのかぶり厚には根拠となる法律がありません。
鉄筋に対してのみであり、かつ布基礎だけで、ベタ基礎の場合は鉄筋に対しても書かれていません。

●アンカーボルトの上部露出長さ
土台にめり込みタイプのナットを使えば大丈夫です。

●防湿防水シートについて
シートの厚みに法律上の規制はありません。
私が現地で0.1㍉厚のシートを触った限りでは、こんなのすぐ破れちゃう、と言う感じでした。

●コンクリートのジャンカ
正しく補修できれば、たいてい大丈夫です。
コンクリートの打設量が多ければ多いほど、そのような箇所は生じてしまいます。
それを、工事中にキチンと修繕するかどうか、です。

●地下室の無断熱
温熱環境のことを考えれば、地上露出部分の断熱で環境は良くなります。

●JIO
JIOの検査員になるには、建築士の資格や専門の経験は不要で、ただチェック表に基づく検査業務を行っているようです。

建築基準法を遵守するだけでは良い家はできないと思いますが、問題はこの”良い家”というのには建築主により多種多様であることです。

私は、コンクリートの状況やアンカーボルトの状況、ホールダウン金物の要否など、ある意味建築に興味があるから気になるのであり、全く興味がなければ気にしない、ということになります。

気にならない人にしてみれば、建築基準法は守られているので大丈夫、第三者機関も見ているので大丈夫・・・ 

さくら事務所のマンションセミナーで、コンサルタントの刀根さんがこんなことを言っていたそうです。

「結局、その人の持っている知識や哲学の高さに見合ったものしか選べない」

また、大下さんから言われてハッとしたんですが、

「黒沼さんが2年前に選ぶ物件と、今選ぶ物件は全く違うのでは」

ということ。確かに、2年前の私であれば何が問題なのかすら分らなかったでしょう。もっと言うならば、年々新築物件を売りづらくなっています。
それは、色々と知ってしまったから・・・

私が今回問題視した点は、建築基準法に抵触せず、かつ規制がないからというだけで、OKだとしてもこのブログを読んで頂いている方々には問題だと思ってほしいです。
だって、阪神大震災の経験を考えれば、少しでも耐震性を上げた方が良いですし、新潟の地震で建物が基礎から滑り落ちたのを見れば、アンカーボルトはしっかり接合したいですし、ただでさえ”川の中に作るくらい難しい”と言われている地下室を、何の対策もなしに空間を取得するためだけで作ってしまうのは問題だと思います。

設計士の裁量と言われればそれもそうですが、結局問題は自身に降りかかってくるので、理論武装は欠かせないと思います。

ちなみに、建築基準法通りの家ってこんな感じ。


がっかりな施工

2006-11-26 00:25:38 | Weblog

みなさん、こんばんわ。

明日日曜日はドクターイエローが上ってきます。
東京駅は2時半ごろ到着するはず。

ご興味ある方は、ぜひ見に行ってみてください!

■がっかりな施工

今日は、鉄筋の搬入があり、また図面上で一部問題点がありましたので、その部分の検証をしたいところなんですが、ちょっと別件でお話したいことがあります。

私の家内の友人がRC造地下付木造地上2階建てを建築しており、心配なことがあるから相談に乗ってほしいということで、お会いしてきました。

土地の購入は6月ごろ、建築確認申請が8月ごろ、着工は9月ということなんですが、打ち合わせを始めた7月ごろは年内完成を前提とした話し合いをしていたそうなんです。

年内完成は、正月を新居で迎えたいという気持ちの問題だけでなく、住宅ローン控除のこともあってのことだと思います。
※住宅ローン控除は、18年中の引渡しと19年に越年するのとでは、控除額が少なくなってしまいます。

確認申請が遅れた理由として、その地域の審査機関が地下付住宅を取り扱ったことがなく(本当かよ!)、また耐震偽造問題ともからんで時間がかかってしまったそうです。

いずれにしても、依頼された建築業者は、着工時点で年内完成は無理なのにも関わらず、年内完成できます と言い切り、ところが請負契約書の引渡し期日は未記入というなんとも怪しいことになっています。

そんなことで、実際に現場を見に行くことになったんですが、パッと見た感じすごく雑な感じ。

地下は基礎一体型の構造のようで、配筋が終了した時点でJIO(日本住宅検査保障機構:かなり厳しい検査をするらしい・・・)の現場チェックが行われたとのこと。

配筋に問題はなかったんでしょうが、アンカーボルトは高さも位置もバラバラで、ほとんど真っ直ぐ立っていない。

っていうか、ホールダウン金物がない!

しかも、かぶり厚が27ミリしかないアンカーボルトも何本かあります。

コンクリートはジャンカだらけで、部分補修(きちんとした補修なのかどうかは不明)がしてあります。

ここで、いったん画像をお見せしますね。


木が見えますが、土台ではありません。
水平をだすため、コンクリートのレベル調整をしているんでしょうが、この上に気密パッキン+土台が入るにはアンカーボルトが短すぎます。
ホールダウン金物がありませんが、ミサワホームの認定工法以外でホールダウン金物不要工法はあるんでしょうか・・


亀裂が入っているところが、基礎の外面です。(約27ミリ)
基礎幅は200ミリあるんですが・・・
かぶり厚不足の問題は皆さんご存知ですよね。

また、施主が持っていた矩計図を見ると、地下室は無断熱、防湿防水シートは0.1ミリ、
(以前、私のほうで建築中の建物の地下防湿防水シートが0.1ミリとご紹介しましたが、実際は0.2ミリでした)
地上階は2×4構造で、通気層なし、気密シートなし。

地下の防湿防水シートは、重ね代が150ミリあり、問題なさそうだったんですが、如何せん0.1ミリと薄いため、ところどころ破れていました。

この地下室は、半地下に作られており、居室上部は窓が取り付けられています。

この現場の用途地域は把握していないんですが、周囲の状況から低層だと思います。
建ぺい率も容積率もきついですから、半地下とはいえ、GL+1㍍を超えるわけにはいかないので、(1㍍を超えると地下の容積緩和を受けられなくなるため)
人間の身長分くらいは地下に埋まってしまうはずです。
それでも無断熱・・・

う~ん、かなり湿気てしまうと思うんですが・・・

これから地上階の建築に入るにしても、ジャンカの補修やアンカーの補修はしてもらう必要がありますし、そもそもこの業者に以降の仕事を任せてよいんでしょうか?

お友達には、第三者機関の調査をお勧めしました。
私の実力では・・・すごく歯がゆいですけどね。