昨日、紹介しましたRC造地下付き木造2階建て住宅の問題について、いろいろと分かったことがありますので、ご紹介いたします。
結論として、私の認識不足がたくさんあったんですが、設計において問題がありそうな雰囲気は否めませんでした。
●ホールダウン金物について
2×4工法であれば、ホールダウン金物がないケースはあります。
ただ、在来工法であれば、平屋でない限りホールダウン金物は必要になります。
●アンカーボルトのかぶり厚について
アンカーボルトのかぶり厚には根拠となる法律がありません。
鉄筋に対してのみであり、かつ布基礎だけで、ベタ基礎の場合は鉄筋に対しても書かれていません。
●アンカーボルトの上部露出長さ
土台にめり込みタイプのナットを使えば大丈夫です。
●防湿防水シートについて
シートの厚みに法律上の規制はありません。
私が現地で0.1㍉厚のシートを触った限りでは、こんなのすぐ破れちゃう、と言う感じでした。
●コンクリートのジャンカ
正しく補修できれば、たいてい大丈夫です。
コンクリートの打設量が多ければ多いほど、そのような箇所は生じてしまいます。
それを、工事中にキチンと修繕するかどうか、です。
●地下室の無断熱
温熱環境のことを考えれば、地上露出部分の断熱で環境は良くなります。
●JIO
JIOの検査員になるには、建築士の資格や専門の経験は不要で、ただチェック表に基づく検査業務を行っているようです。
建築基準法を遵守するだけでは良い家はできないと思いますが、問題はこの”良い家”というのには建築主により多種多様であることです。
私は、コンクリートの状況やアンカーボルトの状況、ホールダウン金物の要否など、ある意味建築に興味があるから気になるのであり、全く興味がなければ気にしない、ということになります。
気にならない人にしてみれば、建築基準法は守られているので大丈夫、第三者機関も見ているので大丈夫・・・
さくら事務所のマンションセミナーで、コンサルタントの刀根さんがこんなことを言っていたそうです。
「結局、その人の持っている知識や哲学の高さに見合ったものしか選べない」
また、大下さんから言われてハッとしたんですが、
「黒沼さんが2年前に選ぶ物件と、今選ぶ物件は全く違うのでは」
ということ。確かに、2年前の私であれば何が問題なのかすら分らなかったでしょう。もっと言うならば、年々新築物件を売りづらくなっています。
それは、色々と知ってしまったから・・・
私が今回問題視した点は、建築基準法に抵触せず、かつ規制がないからというだけで、OKだとしてもこのブログを読んで頂いている方々には問題だと思ってほしいです。
だって、阪神大震災の経験を考えれば、少しでも耐震性を上げた方が良いですし、新潟の地震で建物が基礎から滑り落ちたのを見れば、アンカーボルトはしっかり接合したいですし、ただでさえ”川の中に作るくらい難しい”と言われている地下室を、何の対策もなしに空間を取得するためだけで作ってしまうのは問題だと思います。
設計士の裁量と言われればそれもそうですが、結局問題は自身に降りかかってくるので、理論武装は欠かせないと思います。
ちなみに、建築基準法通りの家ってこんな感じ。