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横浜から北海道の山村に移り住んだ、我が家のつぶやき

北海道追分に移り住み5年。今度は追分から恵庭へ。毎日が新鮮で愉しい事だらけ。そんな生活を気まぐれにおしゃべりしています。

2012年04月19日 02時37分18秒 | 家族

母は東京麹町で出生、お手伝いさんのいるお屋敷で、お嬢様として育っていたが、2歳の長男を亡くした祖母はお酒を呑むようになり健康を害し、36才で死去。続いて株の売買をしていた祖父は大損にて夜逃げ同然で家を出て、転々した生活をする事になり、満足に学校にも行かれなかったと聞く。

後日、お屋敷でお手伝いをしていた女性と再婚した祖父に“なんで女中と!“と反発し一緒に暮らさなかったようだ。

ひとり娘ゆえ、婿養子をとり結婚した母、相手は大学の工学部出身で、当時東大理学部の主査をしていた祖父の口ききで東大地震研究所の研究員として勤務。(私の父)

その相手とは8年の結婚生活で終結。

再婚相手は背中と両腕に彫り物を入れた鳶職人。

飯場を転々とした定家無き生活1年。

その相手とも10年でピリオッド。

その後の母は遠くに行き、見ていない。

60を越え横浜に戻り、「私は母親」と言う。

「どこが?」

人は安らぎの居場所を求める。

心がざわざわ揺れ動くとき、安らぎをくれる場所に身をゆだねたくなる。

そこが違うとまた次の場所に。

母は自分の居場所が最後まで見つからなかったのか。

母も祖母と同じく、2歳の長男を亡くしている。

数奇の運命をたどってきた母。

“世が世であればお前はお姫様”と言っていた母。

誇りと挫折。

母に翻弄された家族。

同様な血が流れる私には居場所が見つかった。

人生の終焉に近づいてきた母、最後まで誇り高く生きて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 


どんな終焉が。

2012年04月19日 00時48分02秒 | 家族

病院で横になっている母の顔はすっかり老人になっていた。

最後まで一緒に居た私の顔は覚えていると思っていたが・・・

“私は真知子、こっちは孫の菜帆美”

“真知子? 菜帆美?”

“ふ~ん”

“恵っ子?(長女の名前)”

“違う、真・知・子”

どっちでもいいか、娘には変わりないんだから。

若き頃英国留学していた祖母と祖父の間に生まれ、

子供の時は神童と言われ、美しく聡明だった母。

どこで人生の歯車が狂ったのか。

“顔や手を自分で洗いたいのに、ここは行かせてくれない。トイレにも行かせてくれないからPトイレを置いてもらった。ひどい病院だよ。”

日曜日で担当Drは不在、看護師に現在の状態を尋ねると、食欲が全くなく、いつもひと口み口で点滴を一日1000mlしています。歩行は医者から許可がないので。”と言う

口の中を見ると舌苔がひどくこびりつき乾燥している。

点滴台を移動しながら室内の洗面所まで付き添い歩かせ、口をうがいし、手、顔を洗い、トイレ排尿をする。

持参したみたらし団子を手渡すと、一本ぺろっと食す。

“歩かないと足が弱くなるから歩きたいのに・・・・”

微量点滴で24時間ベットに釘付け。

仕事をしている時、こんな場面によく遭遇していた。

目の前の親を見ていると、老人医療の難しさを痛感。

血流が悪いのか、片方の足首から下は紫色に変色し冷たい。

靴下を履かせようとするが靴下はない。

タオルで包もうとするがタオルはない。

看ることをしない私はどこまで看護師に物を申したらいいのか。

母親と顔を合わせるのも口を聞くのも嫌だったのだが・・・

患者として見ている部分がある。

この人だったら・・・

食べられないのではなく、食べたくない。

まず口腔ケアーをしっかり実施し、舌苔の除去をして、

入院するまではひとりで何でもやっていた人だから、

持続点滴は中止し、昼間フリーの時間が持てるような治療計画を立て、ADLが低下しないよう、トイレ、洗面所まで歩行援助をする。

変色し冷感のある足に関しては、家族にゆるめの靴下を持参してもらい、温浴実施。

なんてね。

言うは易し。書くは易し。

家族が来ない患者、看護師がやる事にも限界がある。

家族と医療従事者が一緒になった看護計画が理想だよね。

家族の協力は必須。

寝たきりにならないよう、早期退院を望む母を付き添い援助したいと思った。

家族にもそれぞれの事情。

悪い状態から脱出したばかり、きっとこれから退院に向けた看護計画を考えてくれるものと思う。

今の自分が情けない。

老人看護をじっくり実践するいい機会なのに。

店のセールが終わったら、もう一度行ってみたいと思うが・・・

じわじわ寝たきりになっていくのか。

今、母は何を思う。

老人になっていく自分を感じた時、死への階段を感じた時、人は魂の孤独を考えるのか。