その日その時 写真で見る歳時記

気ままに写した写真に気ままな言葉たちの集まり

愛おしい(いとおしい)

2007年11月07日 | Weblog

愛おしい(いとおしい)

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ブローチの針で指を刺した

ぷっくりとまるく

赤い血が湧き出た

びっくりするほどきれいで

新鮮な血だったので

なんて立派な内臓をもっているのだろう

わたしって・・・

。。。。

***

 

 

交差する感情

いたはし→いとほし→いとし・・

まるで伝言ゲームのようですが

「労(いたわ)しい」が愛おしいに

変わっていったのだそうです

「労しい」とは

不憫に思ったり

気の毒に思ったりすること

同情と愛とは違うといいますが

言葉の上では

同情が愛に変化していったようです

もうひとつ

「いとはし」つまり「厭(いと)わしい」が

語源だとする説もあります

「厭う」は

いたわるという意味もあるのですが

一般には嫌うとか 嫌がるという意味です

まさに

嫌よ嫌よも好きのうちなのですね

愛おしい 労しい 厭わしい

言葉も大変似ていますから

いつの間にか混同されたとしても

おかしくはありませんね

その上

感情的にもいったり来りするものです

労しい 厭わしいと思ったときも

愛おしいことにしておきましょうか

 

 

 

 


菊日和

2007年11月06日 | Weblog

菊日和

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あなたが眠る

石碑の前には

たくさんの たくさんの

愛が集まる

天高く

雲ひとつない

秋の空

あなたも

そんな人だった

・・・・

***

 

秋の日が菊に照り輝く

一面の菊に秋の日が

うらうらと輝いて

菊の香りが漂ってくる

「菊日和」という言葉から

おだやかで物静かな

心地よさを感じます

菊は平安時代に

中国から渡来しましたが

当時は薬用で

菊に宿る露を飲むと

長寿を保つ

菊を干して枕に詰めた

「菊枕」は頭痛を治す

九月九日の重陽の節句には

菊の花びらを浮かべた

「菊酒」を飲み干して長寿を願う

などの風習がありました

江戸時代になって

観賞用になり

百菊といわれるほど

多くの品種が生まれました

薬用だったころの菊の利用に仕方は

なんとも風流だったと思いませんか

 

 

 

 

 

 

 


静寂

2007年11月05日 | Weblog

静寂

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ほんのいままで

にぎやかな声が

溢れていたのに

ふと 気づくと

風の音が聞こえる

それ以外の音が止まっている

音がなくなったような

一瞬だけの静寂

見上げる高い空の

雲が語り

風の流れが

歌っているように

聞こえます

~~~~

・・・

***

 

声にならない言葉にも

静寂とは

口を閉じて黙っていることです

または

物音ひとつしない静けさのこと

「縮める(しじめる)」という

口を縮めて小さくするという

言葉が変化したものです

「寂寞」「静謐」「無言」「沈黙」・・・

静けさの中で耳をすますとき

いろんな言葉を感じませんか

静寂の中にこそ

言葉が溢れています

音楽で言えば 休符です

休符は 

お休みではなく大切な音符

すばらしい演奏家は

音符だけではなく

休符も美しく演奏します

そして

文章で言えば 行間

静寂の中に溢れている

声にならない言葉に

いつも耳をすましていたいですね

 

 

 

 

 

 


今様(いまよう)

2007年11月04日 | Weblog

今様(いまよう)

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日に日にきみは

目を見張るほどの

好き嫌いが分かるようになってきた

ちょっと大人びた仕草

気取ったスタイル

わたしのお気に入りを

何故か

気に入らない

どうしてなのだろう

ある日それがわかった

いつも公園で

人を見ると吠える

嫌われワンちゃんが

同じ色の服を着てる

え~~っ

色の好みが芽生えたの

ばぁんざぁあ~い

・・・

***

 

言葉の寿命

今様(いまよう)とは

今風のこと

昔の人も その時代時代で

流行を追いかけていたようです

「越天楽今様(えてんらくいまよう)」などの今様歌も

平安時代当時のはやりの曲です

今様色 今様姿

明治に入ってからも 

今様能 今様御髪などのように

使われていたようです

現代の流行語は

生まれては死語になり 又生まれる

ということを繰り返しています

流行語の持つ宿命なのかもしれませんが

大変短いサイクルで少したつと

もう恥ずかしくて使えなくなってしまいます

時代にぴったりの感性を重視しているからとはいえ

死語が大量に生み出されていくのは寂しいものです

もっと大切に言葉を扱ってあげたいですね

 

 

 

 

 


真面目(まじめ)

2007年11月03日 | Weblog

真面目(まじめ)

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あなたには

いつも突然驚かされる

だって・・

いつもいきなりなんだもん

真面目だなぁって

いわれても

急な冗談には

どうしても対応できない

どうせわたしは

ドジっこですぅっ!

いいもん・・

怒らせたのはあなた・・

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瞬きの秘密

真面目(まじめ)とは

もともとは

瞬ぐ(まじろぐ)目のことをいったそうです

「まじろぐ」とは

まばたきをすること

何度も目をぱちくりさせる様子は

いかにも誠実で

一生懸命に見えるでしょう

でも ちょっとご用心

最近の心理学の研究で

まばたきと心の状態は

大変関係があるということが

わかってきました

まばたきの回数は

普通 一分間に十五回から二十回ですが

緊張の度合いによっては

三から五倍になるそうです

たとえば

嘘をついている場合でも

その緊張感からまばたきが増えるそうですよ

嘘が顔に出るぐらいだったら真面目なのか

真面目に嘘をついていることなのか・・・

真面目人の心も一筋縄ではいかないようです

 

 

 

 

 


喜色(きしょく)

2007年11月02日 | Weblog

喜色(きしょく)

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急に無口になった

すぐに気持ちがわかる

まだまだ

わたしをごまかせない

ほら~

おなか空いたのでしょう

顔に出てるよ

さぁ帰って

ご飯にしましょう

ほらっ

うれしそうな顔になった

・・・

***

 

心のキャンバス

顔に浮かべる色もいろいろあります

喜色は

うれしそうな顔つきのこと

喜色の反対は

憂色(ゆうしょく)・・心配そうな顔つき・・

ほかにも

愁色(しゅうしょく)・・悲しみに沈んだ表情・・

朗色(ろうしょく)・・朗らかな表情・・

怨色(えんしょく)・・うらんでいるような顔つき・・

生色(せいしょく)・・生き生きした顔色・・

難色(なんしょく)・・難しい顔つき・・不賛成だという様子・・

顔色を失う場合も

なくなる場合もあります

「顔」はもともと

「気表(けほ)」から変化したものだそうで

人の気持ちが

表面に出て見えることだそうです

古くは「容(かほ)」として

姿全体をさしたのですが

一番気持ちが表れるのは

顔だということで

頭の前面だけをさすようになりました

まさに

心を映すキャンバスですね

 

 

 

 

 


茜雲(あかねぐも)

2007年11月01日 | Weblog

茜雲(あかねぐも)

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夕暮れ

オレンジに染まる

きみを乗せたエレベーターは

どこまで昇る

わたしの想いは

どこまで募る

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空がもっとも美しくなるとき

朝焼けや夕焼けの

赤く染まった雲のことを

「茜雲(あかねぐも)」といいます

茜雲はいつも美しいものですが

秋の夕暮れは寂しさも募って

格別美しく目に映る気がします

特別な言葉として

「初茜(はつあかね)」があります

これは

正月元旦の太陽が昇る直前

東の空が赤くなることで

雲があれば「初茜雲」ということになるわけです

「茜」は

茜草の根から採った染料の色で

やや暗めの赤のこと

赤とんぼは「アキアカネ」といいますし

「茜さす」といえば

茜色に照り映えるという意味で

「日」「昼」「君」「紫」などに

かかる枕詞になっています