淑気(しゅくき)
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暖かい部屋から
寒気に冴える
鳥の歌声を聴きながら
年賀状を取りに出る
陽射しに透けて
浮かぶ見慣れた文字
くすりと笑って
深呼吸
・・・
***
不思議なものです
正月の朝の空気は
なぜか昨日までの空気とは
違うもののように思えます
ただ一日 日付が変わった
たったそれだけなのに
なんだか世界中が
新しくなったような気がします
そんな正月のめでたい雰囲気を
昔の人は「淑気(しゅくき)」と呼びました
新春のすがすがしく穏やかな気分のことです
「起こりそむる炭の中より淑気かな」 増田龍雨(ますだりゅうう)
めでたい雰囲気が満ち満ちている新春には
炭の中にすら身の引き締まるような
すがすがしさを感じるのです
(道行めぐ著「美しい日本語帳より)