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くたばれ、マニュアル!書き手の錯覚、読み手の癇癪」新曜社

2007-01-10 | 安全、安心、


海保博之 2002 「くたばれ、マニュアル!書き手の錯覚、読み手の癇癪」新曜社 1800円 より

エピローグ 

---マニュアルに学ぶドキュメント・リテラシー


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 プロローグでは、マニュアルの問題表現のいくつかを挙げて、「こんなマニュアルはくたばれ」をやってみた。

 エピローグでは、反対に、一冊のマニュアルのはじめからから終わりまでを想定して、優れたマニュアル表現から学べることをガイドラインとして提示してみた。広く文書設計一般にも応用可能なガイドラインにもなっている。それぞれの具体例は本書を参照してほしい。なお、ガイドラインはすべて横書きを想定している点に留意されたい。******************************


8.1 見返し(表表紙の裏)を見返す


●でき上りイメージを見せる

・あまり細かいところまでは見せないで、一目でわかるようにする

・内容は、その製品にしかできない機能を使って作成したもの、ユー ザの知的好奇心を刺激するものがよい

・ビジュアルに表現で直感的にわかるようにする

●その製品の特徴を知らせる

・ポイントとなる特徴点だけを数点以内にしぼる

・「これだけは絶対に」というものに限定する。

●機能一覧を見せる(これは、裏表紙の裏でもよい)

・内容的にも、表示の上でも、きちんと分類し、階層化して示す

・本文の参照ページも入れておく


8.2 見返しと目次の間はメタ情報の提供に使う


●マニュアルの体系の中でそのマニュアルがどこに位置するかを示す

●読み方を示す

・章全体の概要と関係を示す

・誰がどこをどのように読むかを示す

●表記上の約束を示す

・約束しなくとわかるな表現を工夫することが王道

・必要最低限の約束だけにしぼる


8.3 全体概観、参照を助ける目次にする


●全体を概観できるようにする

・全体を「見開き2ページ」以内に収める

・章の数も5-7章くらいまでにおさめる

●内容がわかる章、節タイトルをつける

・専門用語の使用は厳禁

・ユーザ/仕事に配慮したタイトルをつける

●ユーザのしたいことにマッチする構成にする

●情報を探しやすくする

・目次のレイアウトを階層化する

・階層の深さは3階層(章・節・小見出し)がよい

・項番(章、節、小見出しに付ける数字)を使う



8.4 仕切りとしての章扉を有効に活用する


●章扉は仕切りである

・奇数ページに入れる

・パラパラめくりでも目につくようにする

●章の内容がわかるようにする

・章の概要を入れる

・章の内容をイメージできるイラストを入れる

・節、小見出しのタイトルを入れる



8.5 各部の名称を教える


●ユーザにとって意味のない(役に立たない)名称ははぶく

●名称を羅列するだけでなく、整理分類して提示する

●名称を示すには、テクニカルイラストで、直接示す(凡例は使わな い)

●イラストを描く視点は、ユーザ側、そして、機械の右/左斜上に置く

・不必要に視点を変えたイラストは描かない

・側面や背面を描くときは、その旨をはっきりとわかるようにする

・全体を描く描く視点と部分を描く視点は一致させておく

●機械の全体を常に見せる

・一部分を示すときには、全体のどこにあたるかを示す


8.6 機械の組立て操作を説明する


●出来上がりを絶えず意識させる

●身体、とりわけ手の絵は豊富な動きの情報を担っているので有効に 活用する

●矢印も動きの表現には効果的

●ときには連続絵も効果的


8.7 カタカナ語をわかりやすくする


●原綴りを一度は示す

●2単語以上のカタカナ用語は、区切りをはっきり

・かなや中ポツ(・)を入れて区切る

●3語以上の英語をカタカナ語の連続で表現しない

・漢字やひらかなを混ぜる


8.8 専門用語をわかりやすくする


●専門用語を使わなくとも済まないかも考えてみる

・用語を覚えてもらう利点があるかどうかを考える

・「ここを押す」のようなビジュアル表現で済まないかを考える

●基本的な用語については、あらかじめモニターを使ってでも熟知度 を調べておく

●具体名は絵で、機能概念は解説する

●解説をする

・初出の箇所や脚注で、あるいは用語解説欄で用語の意味を解説する

・やや冗長なくらいの説明をする。

・できるだけ日常用語を使って説明する。

・機能、制約、使い方、構造のどれを中心に解説するかを考える。

・他の用語との関係(上位、下位、対比、類似など)を示す

・ダイアグラムや概念図などのビジュアル表現を使う

・たとえや具体例も使う


8.9 操作をわかりやすく説明する


●ユーザがその機械にごく普通に期待する機能群(デフォルト機能群) だけを、早く使わせる

●ユーザのタスクの世界に立ち戻ってマニュアルを構成する

●操作を指示するには、ビジュアル表現を有効に使う

・動きを説明する絵には手の絵や矢印を入れる

・時間的に前に起こることを表現するには、レイアウト上では、「左 に」「上に」置く

●文章表現も併用する

・1文1動作で

・絵と文とは内容的に重複してもよい

●操作例を入れる

・ユーザの馴染みの例を使う

●操作の意味を書く

・リード(冒頭説明)の中に、「目標」「全体」を示す

●操作と結果を仕分けて書く

・操作の記述と結果の記述は、見た目にもはっきり分けて書く

●操作のステップを適度に細かく

・「セットする」「選択する」といったマクロ化表現は要注意

・サ行変格活用動詞(カタカナ用語の動詞的使用)は、専門用語と同 じ注意が必要

●ユーザに視点を置いて書くのが鉄則

・ユーザの操作は能動態で、システムからの反応は受動態で書く


8.10 禁止/注意表現を効果的に


●想定される危険はできるだけ書いておく

●メリハリ(減り張り)をつける

・禁止/注意の危険の程度に応じて目立つ程度を変える

・内容の区別化をする

・危険(danger)」「警告(warning)」「注意(caution)」に分ける

・一目でわかるようにする

●禁止/注意の理由(why)と対処(how)を書く

●冒頭のまとめ書きに加えて、禁止/注意したい個所にも書く(現場主 義)


8.11 トラブルからユーザを救う


●トラブル時の情報提供は、子供でもわかるような表現にする

●事象(what),原因(why),対処(how)を書く

●タスク場面ごとに書く

・内容的な重複はあってもよい

●ユーザを責めない

●「undo(もとに戻れる)」「redo(もう一度できるように)」操作 を目立つように


8.12 索引からの参照を助ける


●索引に記載する言葉はキーワードに限る

・索引用語を選ぶ箇所は、章、節、小見出しのタイトルのなかにある(あるいは、それらに対応する)キーワードである

●ノンブル(ページ番号)はページ右下に

●装置・部分名は、初出箇所のみを示す

●機能名は、出てくるところをすべて拾い、主要な説明のあるページ をゴシック体で強調する

●索引を階層化する

・合成語は前の用語でも、後ろの用語でも引けるようにする

●「あかさたなあ…」を強調した上で、「いうえお」まで表示する

●検索ルートは、多くて悪いということはない

・本文中でも必要に応じて参照個所を示す

・本文中で索引用語をゴシック体にすることもありうる


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