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プレゼン力アップ

2020-12-10 | わかりやすい表現
プレゼン力アップ

●プレゼンテーションとは
 口頭でのコミュニケーションには、たくさんの聴衆を前におこなうプレゼンテーションと、それとはいろいろの点で際立った対照をなす会話(おしゃべり)とがあります。本項ではプレゼン、次項では会話を取り上げます。
 文書によって伝えるのは間接的ですが、プレゼンも会話も、相手が目の前にいます。コミュニケーションが直接的です。
 この伝達の直接性が、プレゼンと会話のメリットでもあるのですが、時には、さまざまな面倒な問題が発生します。

●数に負ける
 余談になりますが、昔、3年間、付属高校の校長を兼任していたことがあります。年に10回くらい、朝礼台から700人余ほどの子どもたちに話をしてきました。
 これは今でも不思議に思うのですが、ただ聴衆の数が多い、というだけで、猛烈なプレッシャーを感じました。「頭真っ白、目が点」とまではいきませんが、最初は、話す時間が近づくと胃が痛くなる思いでした。回を重ねるにつれて次第に慣れてはきましたが、慣れるまでの間は、話す内容は、メモにしてそれを見ながら話すことでしのぎました。
 「聴衆はかぼちゃと思え」という忠告も思い出しましたが、あまり効果はなかったようです。
 講義でも、50人を超えると、しんどくなります。別に聴衆と戦うわけではないのですから、それほど緊張することも恐れることもないとは思うのですが、こればかりはどうにもなりません。
 準備万端でいくしかありません。
 
●聴衆を分析する
 というわけで、聴衆の数がどれくらいかもあらかじめ知っておいたほうが無難です。さらに、どんな人が聴衆なのかの分析も大事です。
 図には、講演などを想定した聴衆分析の一つの例を示してみました。
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図 聴衆分析  連載より
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 この分析の視点は2つです。
 一つは、関連知識の有無です。
受け手が、これから話す内容についてどれくらい知識を持っているかです。学校なら子どもの知識レベルや内容はだいたいわかりますから、この点は有利です。
もう一つは、聴衆があなたのプレゼンを聞きたいと思っているかどうかです。
 一番楽なのは、プレゼンの場に自分から望んで来てくれている動機づけの高い聴衆の場合です。
 こういう時は、内容勝負のプレゼンでよいのですから、気持ちよいプレゼンができます。
 プレゼンとは違いますが、寄席のお客さん。みずからお金を払って笑いにきてくれています。
一番困るのは、大学で言うなら必修の授業の受講生。単位取りだけがねらいの聴衆相手のプレゼン(授業)はとても疲れるし、うまくいかなかった後のストレス(PTSDならぬPPSD;post-presentation stress disorder)に悩まされます。
しかし、動機づけが低く、関連知識の少ない聴衆相手のプレゼンこそ、プレゼンの醍醐味かもしれません。いくつかの工夫を紹介してみます。

●聴衆の注意を管理する
 人の話を一方的に聞く時の注意の持続は、大人でも高々90分程度です。その間にも、注意は絶えず変動します。集中度が変わります。会場全体の注意レベルには、絶えず、意を配る必要があります。
 まずは、注意を引きつける工夫です。
付属高校で「校長先生の話」をする時には、模造紙にへたなイラストを描いて見せたり、ちょっとした実演をしてみせたり、クイズを出したりと、大学ではあまりしたことのないことをやってみたりしました。それなりに効果があった(と思っています)。
 次に考えるべきことは、プレゼン全体を通しての注意レベルです。これを一定レベル以上に保っておかないとたちまち聴衆は寝てしまったり、飽きてしまいます。
 このためには、一つは、マルチメディア提示を心がけることです。
口頭だけに頼るプレゼンではなく、スライド(パワーポイント)と文書、さらには演台でのジェスチャーをフルに使うことです。
 最近、パワーポイントによるプレゼンが普及してきて、演者が脇に置かれた演台のうしろに隠れてしまう形が一般化してきました。でも、これは、おかしいと思います。演者あってのプレゼンです。
 注意レベルを保つために有効なのは、聴衆とのやりとりを入れるのです。お説拝聴モードばかりが続くと注意レベルがどんどん低下します。そこで、対話モードにして注意レベルを上げるのです。随所でこれをやるとよいのですが、聴衆のほうからすると、迷惑。せっかく良い気持ち? で聴いていたのに、なんでそんなことするの、というようなところもあります。対話モードよりやや弱い、回答は期待しない問いかけモードを随所に入れるくらいのほうがよいこともあります。
 あとは、一時休憩です。90分を超えるようなプレゼンでは必須である。休憩すればまた注意のレベルは確実に上がります。
 90分の授業でも、私は、最近は、3分割授業をしています。
最初の15分くらいは「目で見る視覚心理学」、ついで本題に入り、途中で5分間、リラクセーション訓練、そして、また本題に戻るのです。

●わかりやすくする
①概要を配布する
 A4一枚くらいの概要を配布することは必須です。これによって、全体像がつかめるし、どこまで話が進んできたか、今の話は全体とどのように関係するかがわかるからです。
②スライドや資料は配付しない
 これを配布してしまうと、プレゼン会場が講義調になってしまいます。聴衆の顔が資料に向いてしまい、資料を逐一読むようなプレゼンになってしまいます。
最近は、パワーポイントを使うためか、特にこうしたプレゼンが多くなってきています。
しかし、せっかくお互いの顔が見えるプレゼンの醍醐味が味わえないのはもったいないと思います。場合によっては、事後配布という手もあります。
③相手の知識に配慮する
 聴衆分析のところで出てきた視点です。
これを具体的に実現するには、相手がよく知っている知識世界をうまく使うことである。
「たとえる」
「実例を使う」
といった工夫です。

●熱意も大事
 熱意と内容と方法とが三位一体になったとき、素晴らしいプレゼンになります。内容と方法にばかり意を配るだけでは十分ではありません。伝えたい、訴えたいという熱意を生で見せることも大事です。
 明るく、堂々と、はっきりした声で楽しそうに話すのです。
 それが内容と方法のまずさを補ってくれることさえあります。


 

見た目力アップ

2020-11-26 | わかりやすい表現
見た目力アップ


●見た目の良さは大切
 手元に「ファースト・インプレッション」(有斐閣)という本があります。その本の冒頭に、見た目がいかにポジティブな効果を持つかについての心理実験の結果が紹介されていますので、そのいくつかを紹介しておきます。
○魅力度が高いと判断された人は、社会的に望ましいとされる性格を持つと評定されました。さらに職業上の成功、結婚への適性、生活全般の満足感も高いと評定されました。
○女性が魅力的にメイクをした場合とそうでないメイクをした場合とでは、同一女性に対する男性の反応がかなり異なります。
 いずれも大人についての写真を見ての第一印象からの判断です。人物の魅力度は、このあとに続くさまざまな情報ややりとりによっても形成されることは言うまでもありません。

●第一印象における直感的判断
 人間の情報処理は重層的になっています。基盤にあるのは、「無意識で、自動的で、迅速な処理を行なうルート。それに重なるようにして、「意識的で、制御的で、時間をかけた」処理を行うルートが並行しています。前者を裏道の処理、後者を表道の処理と呼ぶ人もいます。
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図 連載からの転載
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 第一印象での人物情報の処理のほとんどは、裏道で行われます。そこでの処理結果は、1つは、もっぱらその人物に対する好悪、あるいは、ポジティブ評価かネガティブ評価のいずれかになります。これが、後の対人関係の方向性、つまり、積極的につきあうか、それとも引いた付き合いをするかを決めます。
もう一つは、その人物についてのおおまかな印象の形成です。名刺にある肩書からイメージするようなものです。たとえば、偉そうな人だから、すこし下手にでておこうとか、人が良さそうなので、親しくなっておこう、となります。
 なお、裏道処理による第一印象の制約が強すぎると、その人物に対する思い込みが発生して、表道の情報処理をゆがめることになります。たとえば、「こんなに魅力的な人が悪い人のはずがない」「ぱりっとしたスーツを着ているからあやしい人のはずはない」となってしまい、詐欺の餌食になることもあります。

●見た目の良さを作り出すもの
 見た目の良さを作り出すものは、身体的特徴、動作、服装の3つです。それぞれ、何をもって見た目がよいかは、かなりのところまではっきりしています。
 1つは、身体的特徴、とりわけ、顔です。いうまでもなく女性なら美人、男性ならイケメンです。化粧技術が日本では格段に進歩してきています。先日も、TV出演したとき、お化粧をしてもらいましたが、あまり素敵だったので家に帰って妻に見せてしまいました。
 2つは、表情や仕草です。無表情はもってのほか、あなたと仲良くしたい、話したいとの気持ちを表情と仕草で示すことになります。とりわけ、子どもは表情や仕草を読み取る天才です。したがって、とりつくろった表情や仕草はだめです。ただちにその嘘を見抜かれてしまいます。
 最後が服装です。TPOを心得ておけば、どんな服装でも見た目が良いことになります。流行にもちょっぴり気を配れれば言うことなしです。
 なお、相手が中高生になると、教師の見た目は、自分の将来の見た目を設計する暗黙のモデル(師範)になっています。いささかもおろそかにしないほうがよいと思います。いつもジャージと運動靴では、モデル効果を発揮できないことになります。

●なぜ見た目のよさは人をひきつけるのか
 4つほど理由があると思います。
 1つは、見た目のよさは、芸術作品を見たときのように、理屈抜きで気持ちをポジティブにしてくれます。
 2つは、学習効果です。TVドラマやCMに出てくる見た目のよいタレントの振舞いを朝昼晩と見せつけられれば、黙っていても見た目のよさの効果を学習してしまいます。
 3つは、後光(ハロー)効果です。見た目のよさは、性格や能力などのほかの点もすばらしいとの判断も生じやすいので、一層、ひきつけられることになります。
 4つは、自分のために見た目を気にしてくれたとのメッセージを与えることです。デートの相手がとんでもない格好であなた目の前に現れたら、どうでしょうか。

●見た目が悪い人の勝負所
 第一は、第一印象で勝負しないことです。「人は見かけにあらず、中身が勝負」です。ただし、中身をわかってもらうには時間も手間隙もかかります。とりあえずは、第一印象もおろそかにしないに越したことはありません。しかし、第一印象が悪い人でも、それなりの工夫と努力で中身へ誘導できます。
 幸いなことに、教師ー子ども関係は、長期間にわたって築かれますので、第一印象にはそれほど強くは依存しませんし、第一印象をさまざまな形で修正してもらえる機会があります。3つほど、おすすめのコツを紹介しておきます。
 1つは、相手との接触回数を増やすことです。接触頻度が多いほど好感度が増すという単純接触効果が知られているからです。「去るもの日々に疎し」の逆です。
 2つは、傾聴効果の活用です。相手の話をじっくりと聞く姿勢です。相手からの好感と信頼をうることができます。
 さらに、自慢話しや押し付けにならない程度の秘密がかった自己情報の提供です。「内緒だけと、先生も昔、不登校だったのよ」といった類の話です。相手との情報の密やかな共有は信頼関係の基礎になります。



 

聴き方力アップ

2020-11-20 | わかりやすい表現
聴き方力アップ

●聴き方と話し方とは一体
 前項は、話し方の話。ここでは、聴き方の話。
現実の対面対話では、両者は一体です。連載の都合上、分けて話をしているに過ぎません。共に音声を媒体にしたコミュニケーションですし、その時その場でのコミュニケーションです。違いは、情報の発信か受容かの違いです。
 音声による対面コミュニケーションの特徴は、一つには、冗長性が高いことです。名前一つにも、たとえば、「漢字で書くと」「うみやまのうみ」などと、余計な情報が入り込んできます。
 しかし、それだけに情報量が豊富になるので、コミュニケーションが豊かになります。同じ音声コミュニケーションの一つである電話でのそれと比較すれば一目瞭然です。これが音声による対面コミュニケーション特徴その2です。

●対面での聴き方は難しいことではない
 対面での聴き方は、それほどあれこれと考えることは実はありません。ごく自然に視線をとらえて、子どもの話に関心をもって話を聴いて、うなずいているか、わからないことは質問すればよいだけの話です。
 したがって、今回は、これで終わり、でもよいのですが、あえて、子どもの話の聴き方のコツをカウンセリング場面での聴き方をヒントに要点をまとめてみました。

●「傾聴」聴き方のコツその1
  傾聴については、耳にタコができるほどお聞きになっているのではないかと思います。相手に共感を示しつつ、相手の話に根気強く耳を傾け、話の内容の確認と反復をする、という話でしす。
 たとえば、子どもの「おなかが痛いの」の訴えに、ただちに「飲み薬をあげましょう」ではなく、「おなかが痛いのね」(反復、確認)で、まずは子どもを受け入れる、という話です。
 傾聴には、相手との感情的な共感関係を作る、相手の話の内容を確認する、という2つの機能があります。

●「促し」聴き方のコツその2
 話を続けさせるための促しは、聴き方でもあるし、話し方でもあります。子どもの話の腰を折らないようにして、相づちをうち、「それで?」と促しのひと言を話の切れ目に入れることになります。さらに、身体全体で子どもの話を聴く、聴きたいということを示すことです。腕組みや反っくり返った姿勢は禁物です。子どものほうに身体を向けて前傾姿勢になります。
 子どもの気持ちのままに話し続けてもらうことこそ、聴き方上手というものです。これが意外にできそうでできないのです。子どもの話の終わりまで聴くのがもどかしくなってしまうからです。教師の多忙もありますが、話の途中で、子どもの言い分がわかってしまうことが多いからです。もっともそれは思い込みに過ぎないことがままあるのですが。
「促し」がつい「中止」のサインになってしまうことがあります。注意が必要なところです。

●「言いたいことをつかむ」聴き方のコツその3
 子どもの話し方は完全ではありません。話したいことの半分も話せていないかもしれません。話しにくい内容、話したくない内容もあるはずですし、さらに言語表現力の乏しさもあります。
高学年なら、子どもに直接、どうしてほしいのかを聞くこともありますが、低学年になると、そうもいきません。どうしていいかわからないから来たということもあるからです。そうなると、言葉の端々から、あるいはパラ言語(言いよどみ、抑揚、ポーズ、イントネーション)から、さらには、顔の表情や身体のしぐさから、子どもが言いたいことを読みとる必要があります。
 また、言いたいことを読みとるには、傾聴の域を出て質問による誘導が必要な場合もあります。「おなかが痛い」なら、どこが、いつ頃からかなどを尋ねることで、言いたいことに子どもと一緒にだんだん近づいていくことになります。一緒にパズル解きをするような感じですね。

●「終わりを明確に」聴き方のコツその4
 聴き方上手を演じていると、いつまでたっても話が終わらないことにもなりかねません。医者の3分間面談になってしまっては困りますが、それでも、一人の子どもに毎回カウンセリングのような時間をかけての対話というのも現実的ではありません。
 切り上げが大事になります。その際の留意点のいくつか。
①子どもも十分に話した、その結果として、子どもの言いたいことが十分にわかった感触が得られた時。
②いったん、間合いを入れた方がよさそうな場合。たとえば、保護者や担任と連絡してから再度話をしたほうがよいような場合。
 そして、必要ならいつでもまた話にこられることを確認して対話を切り上げます。

●「電話やメールから対面へ誘導」聴き方のコツその5
 電子技術の進歩は、コミュニケーションのスタイルを劇的に変えました。そのメリットにははかりしれないものがありますが、一方では、とりわけ、子どもにとっては、注意しなければならないことがあります。
 顔の見えないコミュニケーションも、入り口、つまり、コミュニケーションの発生時には有効です。したがって、そういう手段を使えることを公開することは大事です。しかし、それから先、立ち入った話になると、決定的に情報が不足します。
 対面対話の持っている豊かな情報が削ぎ落とされてしまい、言外の意味がお互いに読みとれません。どうしても、お互いの顔を見ながらの対話が必要となります。
 メールによるカウンセリングの実践もあるようですが、それだけで十分満足のいく成果をあげられるとはとても思えません。
 電子情報化社会での対面対話の減少による対話スキルの劣化を補ってやることにもつながりますので、ぜひ、心がけていただきたいと思います。

  • カウンセラーに学ぶ聞き方のコツ
 最後に、一部、重複もありますが、カウンセラー・東山紘久著「プロカウンセラーの聞く技術」(???)の目次を挙げておきます。
 なお、「聞く」と「聴く」の違いは、「聞く」は相手の言うことを冷静に聞くこと、「聴く」は身を乗り出すほどに積極的に聴くことです。
 ・聞き上手は話さない 
・相づちを打つ 
・相づちの種類は豊かに 
・相手の話に興味をもつ 
・素直に聞くのが極意 
・寡黙であれ 
・話し手の波に乗る 
・共感する



 

説得力アップ

2020-11-11 | わかりやすい表現
説得力アップ

●子どもを説得する
 言葉があやつれるようになり、自我ができはじめる3歳頃。第1反抗期がはじまります。この時期は、親が子どもに説得という行為をはじめる頃でもあります。言うことをきかない子どもをそれなりの理屈で説得しなければなりません。
 やがて小学校に入り知識が増えてくると、説得よりも説明主体の対話になっていくのですが、中学校に入る頃になると、再び反抗期がはじまります。親離れのためです。これが、第2反抗期です。
ここでも説明よりも説得する(したくなる)ことのほうが何かと多くなりますが、第1反抗期の時とは違い、子どもの側の知識量も豊富になりますから、説明と説得をうまく使い分ける必要が出てきます。

●説明と説得をバランスよく
 両者はそれほどはっきりとは区分はできないのですが、説明は子どもの知識に関連づけての情報提供、説得は子どもに有無を言わさずにこちらの言い分や考え方を受け入れさせることとなります。
 説明ばかりではらちがあきません。そうかといって、力まかせの説得ばかりでは、表面的な納得しか得られません。説明と説得とがほどよいバランスを保つことが求められるところです。
 わき道にそれますが、夏休みになると、NHKで子ども電話相談がはじまります。
 子どもの質問のおかしさ、おもしろさもさることながら、回答の先生方の名解説には感心させられます。ただ、「わかりましたか?」とアナウンサーが聞くと、どの子どもも「わかりました」と答えるのが気になります。おそらく、いかに名解説でも、たとえば「熊は4本足であるくのに、人間はなぜ2本足であるくのですが?」「命はなぜ一つなのですか?」という5歳の子どもへの回答が、本当に「わかっている」かは、かなり疑問です。でも、どの子どもの一様に「わかりました」と答えます。ここには、説明の妙だけではなく、NHKという権威?による説得の力を子どもが感じ取っているような気がしました。

●「説得への抵抗にも配慮を」説得のコツ その1
 説得の入り口のところで、説得されることそのものに抵抗する傾向のあることが知られています。心理的リアクタンスと呼ばれています。反抗期の中学生くらいになると、とりわけ強いリアクタンスがあることを承知しておく必要があります。
 事の是非よりも、ともかく説得されることへの反発、時には説得内容とは逆の方向へあえて態度や信念を変えてしまうこともありますから、困ったものです。
 心理的リアクタンスを少しでも下げるようにしないと、いつまでも入り口にとどまってしまうことになります。
 そこで、TPOに応じて、その場でただちに説得、といった急いた気持ちを押さえて、
  • あめ玉でもすすめる
  • 雑談や世間話をする
  • 言い分をじっくりと聴く、
といったことが考えられます。要はあせらないことです。

●説明と同意の上で」説得のコツ その2「
 医療現場でのインフォームド・コンセント(説明と同意)については、ご存じだと思います。治療側がしっかりと根拠を示して、治療方針を患者に納得してもらうというものですね。
 日本でもかなり普及してきてはいますが、現場ではさまざまな問題があるようです。そのいくつかを挙げてみます。
・患者の理解にあう形での根拠の示し方が難しい。
・患者の不安が理解を妨げてしまう。
・治療側への一方的な依存が発生しがちで自分なりに理解し納得してもらえない。
患者と医師とは違って、子どもと教師の間には、基本的に対等な関係ではありませんので、真のインフォームド・コンセントは、子ども相手ではなかなか難しいところがあります
 子ども相手になると、わからないままの納得のほうが多いかもしれません。そのようなときは、「そうせざるを得ないので、そうした」という認識を説得する側が、しっかり持つことが大事ではないかと思います。
 薬を飲ませたい、しかし、なかなか根拠を示して説明してもわかってもらえない、本人も納得しない。しかし、ことは急を要する、というような場面はいくらでもあります。むろん、可能なら、保護者や担任に立ち会いのもとでの説得もあります。

●「勇気づける説得もある」説得のコツ その3
 説得はおおむね、こちらの言い分を相手に受け入れさせることですが、時には、子どもなりの考えや行動の良いところを見つけて、そのすばらしさをほめ勇気づけてやることもあってよいと思います。
 説得、すなわち対立、強制ではなく、子どもなりの態度や信念に対して教師なりの共感のメッセージを送ってやる勇気づけも、広くは説得と言って良いかもしれません。

●「説得には権威も必要」説得のコツ その4
 教師はただ教師であるだけで権威者だった時代は、子どもに対する説得は実に簡単だったと思います。その意味では、今の時代、説得の難しい時代です。しかし、教育という知の陶冶の現場では、むしろ、好ましい時代というべきかもしれません。
 権威をかざしての説得は、相手が子どもであるだけにできるだけ避けたいところです。子どもの知識に訴えながら、みずからの意志で納得することが知的な陶冶につながるからです。
「友達をいじめるな」とこわもての説得をするよりは、そのことの理非を考える機会と知識を与えることが説得の王道です。
 もちろん、いつもそれでいけるとは思いません。あれこれ言う前に子どもを動かさなければいけない緊急の時もあれば、絶対にやってはいけないことを止めさせなければならないときもあります。そんな時は、権威を振りかざしての本気の説得が必要です。
 
●「恐怖に訴える」説得のコツ その5
 権威を振りかざしての説得がだめなら、いよいよ最後は、恐怖や脅しに訴える説得になります。「言うとおりしないと罰(ばち)が当たるよ」という常套句がそれです。この変形は実にいろいろありますね。
 もっとも「罰(ばち)」が通用するのは、小学生まで。中学生ともなると、もっと理屈っぽくなってきますから、「罰(ばち)」の内容を科学的なものにしないと納得してもらえません。罰(ばつ)としては「携帯使用禁止」、脅しとしては、「いい高校に入れませんよ」などなど。
 なお、恐怖の裏返しとしては、安心や賞賛があります。これも、説得に使えます。「この薬を飲めば痛みがなくなる」「よく勇気を出して話してくれたね」などなど。
 いずれにしても、このコツは、あまり頻繁に使うと、効果が薄れます。

●最後に
 説明が理性的であるのに対して、説得には、感情的な要素が入ります。相手にどうしてもそうしてもらいたいという気持ちがあります。その気持ちのままに説得すれば効果があがるというものでもありません。
 そこには、説得のテクニックが必要です。言葉による説得をもっぱら想定して、そのいくつかを紹介してみました。



ビジュアル表現力アップ 

2020-11-07 | わかりやすい表現
ビジュアル表現力アップ 

●文書のビジュアル化とは
 文書のビジュアル(視覚)化には、大きく分けて、文字情報にかかわるものと、イメージ情報にかかわるものとの2つがあります。
 一般には、ビジュアル化というと、絵や図表などのイメージ情報のほうを思い浮かべます。
しかし、文字情報にかかわるビジュアル表現、つまり、文字形(フォント)やサイズ、表記の仕方、さらに、レイアウトも、文書のビジュアル化の要素として重要です。
なぜなら、それが、読みやすさだけではなく、読み方をガイドする暗黙の表現にもなるからです。

●文字情報をビジュアル化する
 文字情報のビジュアル化の領域の代表的なものは、以下の4つです。いずれも、ワープロが一般化してきた最近では、誰もがそれなりにTPOに応じて適切なものを選んで活用できる力(ドキュメント・リテラシー)が求められるようになっています。
①フォント
  図には、典型的なフォントを挙げてみました。
 それぞれの視覚効果の違いを確認してください。

②表記
 日本語の表記は、漢字、かな、カタカナを使います。視覚的には複雑ですが、それがメリハリ効果をもたらしていることは、前述したとおりです。

③行間、字詰め
図のように、文字情報のビジュアル化には、行間、字詰めもあります。ここでも、その活用能力が試されます。
 これにはさまざまなものが含まれます。版面、インデント(書き出し)、段落などに加えて、前項で紹介したメリハリ表現もその一つです。

 以下は、もっぱらイメージ情報にかかわるビジュアル化の話になります。最初は、写真、絵、イラストです。
 この3つの共通点は、世の中にあるものをイメージとして伝えようとするところにあります。
しかし、それを写真にするか、絵にするか、イラストにするかによって、伝達効果には、微妙に違いがあります。

写真のようにあまり現実を具体的かつ写実的に見せると、何が大事かを伝えにくいというところがあります。見るほうからすると情報過多になってしまうのです。
逆に、多くの絵表示(ピクトグラム)のように、あまりに抽象化したイラストで伝えようとすると、現実のイメージが伝わらなかったり誤解されたりしてしまう恐れがあります。
 かくして、「適度に具体的なビジュアル化」が、とりわけ、絵やイラストでは最適表現ということになる。
 ここで、「適度に具体的」とは次のようなことに配慮した表現である。
①伝えたいことがはっきりわかる
  例:大きくする 囲う 色をつける
②全体も示す
 例:全体を小さく、伝えたい部分を大きく
③細部情報は省く
  例:形状は示すが、その中は空白
④シンボル(約束で決めたもの)はできるだけ使わない
  例:△や×も誤解されることがある


●図表を有効に使う
 図表は、伝えたい内容に、実証的な論拠を付与するために使われます。
小学校の高学年くらいから、図表の描き方、読み方は教えられるので、伝達手段としては至極便利です。ただ、次のような点には注意する必要があります。
  • 図表には情報が豊富過ぎるところがある
伝えたいことは、図表の一部なのに、それ以外の周辺的な情報も入れ込んで描くのが普通である。その冗長さが説得性にもつながるので悪いことではない。
しかしながら、その冗長さが伝えたいことを隠してしまう情報ノイズになってしまうことがあります。
これを防ぐには、一つは、適切なキャプション(図表のタイトル)をつけること、もう一つは、本文で言いたいことを述べる、最後は、伝えたい箇所を強調することです。
②訴求力のある図表にする
図表は実証的であること示すために、えてして、数値の羅列や無味乾燥な棒や線になってしまいます。
正確な実証データの表示が大事な学術論文ならそれでよいのですが、子どもにわかってもらいたい図表では、それでは見てもらえません。棒を人の姿で表示したり、スケール(目盛)を変えたり、色をつけたりして訴求力のある図表にする工夫も必要です。
③図表の描き方の基本を知る
 図解は、描く人にとって実に難しい作業です。表現したいことを精選し、それを図解の決まりごと(リテラシー)に従って表現するのは、どちらもそれなりの努力がいります。
 最近は、パワーポイントが普及してきて、誰もが簡単に図解表現ができる環境になってきたのは、コミュニケーション環境としては結構なことです。多いに利用したいものです。
 図解の基本は、「囲む」「配置する」「線でつなぐ」の3つです。
 構想の単位を囲み、それを紙面に配置して、線でつなぐ。図解はこれにつきます。囲みを四角にするか円にするか、配置する場所は真ん中か上下左右どちらか、線は、矢印か点線か、といった表示上の細工は、描く人の芸術的なセンスにかかっています。




話し方力アップ

2020-11-06 | わかりやすい表現
話し方力アップ

●話し方はどうしてこれほど気になるのか
 話し方に強い関心があるのは、なぜなのでしょうか。その理由は3つあると思います。
1つは、言語活動の中で話す、聴くにさく時間が圧倒的に多いからです。
 2つは、うまく話せなかったという失敗体験に起因するものです。話すのは、その時その場での実時間での行為です。この点、書くのとの大きな違いです。となると、当然うまく話せなかった、あるいは、言い落としてしまった、さらには言い間違いをしてしまった、といった体験をごく日常的にすることになります。後味の悪さばかりを引きずることになります。
 関連して個人的な体験を一つ。しかるべき地位につくと、スピーチが多くなります。時には突然の指名での即興もあります。プレゼンならそれなりの準備とそれなりの草稿がありますからこんなことはあまりないのですが、スピーチとなると、程度の差をあってもほぼ毎回こんな後味の悪さを感じています。
 第3には、しかし、努力すれば失敗しないようになるはず、さらにうまく話せるようになるはずなのですが、努力の仕方がわからないのです。それが、話すことに興味、関心を向かわせるのだと思います。

●子どもとは心で話す
 ところで、眼の前にいる一人の子どもとうまく話すには、どんなことに配慮したらよいのでしょうか。基本的なことを2つ挙げておきます。
 子どもは、話の内容より、話し手の意図や気持ちの方を読み取るのに長けていることを、まず認識する必要があります。とりわけ、低学年になるほど、この傾向は著しいものがあります。
「頭が痛いの?」と子どもに話しかけた時に、どれくらいその子どものことを本当に心配してくれているかを、子どもはただちに理解してしまいます。
 これは、考えてみれば当然のことで、生まれ落ちて言葉を自由自在に操れるようになる5、6歳頃までの間に、こうした力を自分の周囲りにいる人々とのコミュニケーションの中で体験的に身につけてきているからです。子どもはハート・リーダー(heart reader)の天才であることをしっかりと知っておく必要があります。

●第一声が大事
 その上で、やはり言葉を使って話しかけることになるのですが、その第一声が極めて重要になってきます。第一声にこそ、ハート・リーダーの天才・子どもは大人の気持ちをしっかりと読み取ってしまうからです。
 子どもに対する愛があり、自分の気持ちがポジティブであれば、おおかたの第一声は、ハート・リーダーの心をとらえるものが無意識のうちに自動的に出てきます。したがって、それほどあれこれと心配することはありません。
 問題は、意に反しての第一声です。
まずは、例えば、どやしつけたいほどの怒りをどうやって言葉で表現するかです。そのまま叱責するのが最適な場合もあります。子どもの方にそうされて当たり前との認識がある場合です。
 その認識がない子どもにストレートな叱責は禁物です。こちらの気持ちを静め、ゆっくりと、「どうしたのか」という問いによって、状況把握に努めるところからはじめることになります。これがあなたの気持ちを平静にしてくれることにもなります。
 もう1つ、意外に面倒なのが、いわば気持ちにはあまり依存しなくてよい第一声です。大人どうしの場面でよくみられます。ここでは、いつものしきたり通りに、あいさつと子どもの調子や用件を尋ねるのが一般的ですが、その後に続く一言が、思いもよらず子どもの心を傷つけてしまうことがあります。
 不登校の子どもと廊下でばったり。あなたの第一声は、「こんにちは。元気でやっている?」ですか、それとも「あら!久しぶりね。どうしていたの?」ですか。
「普通の状況では普通に語りかける」のが原則ですね。それでなくとも、子どもは普通でなく見られるのを極度に恐れているはずですから。それを増強するような後者のような語りは禁物です。

●話し方のコツ
 第一声に続く話し方は、状況に応じてさまざまですので、ここでは、一人の子どもに何かを説明する状況を想定して、そこでの話し方のコツを4つほど提案してみたいと思います。

  • 自分ひとりで話す時間を短く
 どんなテーマにしても、話す材料は、教師の方が圧倒的にたくさん持っています。ついつい一方的に話すようになってしまいがちです。会話とは違いますから、話のやりとりはそれほどなくてよいのですが、それでも、理解の確認を随所でしながらの語りをした方がよいと思います。
  • 一度に説明する量も少なめに
 一度にどうしてもあれもこれもとなりがちですが、これも、子どもの理解能力を超えたものになりがちです。量を減らすだけでなく、紙に要点を書いて手渡すくらいまでやらないと、せっかくの説明もうまく伝わらないことになります。その際に、「わからないことがあったら、また来て」の一言も忘れずに。
  • ほめ言葉を豊富に
 ほめられれば誰しもが気持ちよくなります。話すほうも、ほめ言葉を使うことで気持ちよくなります。安直なほめ言葉の乱発はただちにその嘘っぽさを見抜かれてしまいますが、気持ちが本気ならそれを言葉で表現できればそれに越したことはありません。
 あなたは、今ただちに、どれくらいのほめ言葉が思い浮かびますか。
昔いた大学の知り合いの女性教授は、すべてにわたりエレガントなのですが、もう一つ、ほめ言葉が実に豊富なのです。お会いするたびに、気持ちが浮ついてしまいました。
ほめ言葉の語彙を豊富にする努力をすることです。さらに、表現全体をポジティブなほうにバイアスをかけるようにしておくことです。ポジティブ・コミュニケーションの項を参照してください。
  • 対面より90度の位置で
 一番よくあるのは、180度の位置に座って話すことだと思います。この位置だと、お互いに相手のことがよく見えます。
しかし、説明してわかってもらうような状況では、相手が見えすぎてしまうのは、説明内容のじっくりとした理解には、ノイズになってしまうことが時にはあります。視線、ジェスチャー、表情などが気になってしまうのです。それに資料などを見せるときには、対面では具合がよくありません。そこで、90度の位置に座って、資料や紙に書いたりして一緒に見ながらの話も時には効果的です。

最後に、カウンセラーの東山紘久著「プロカウンセラーの聞く技術」(??)の目次から、話し方のコツを挙げておきますので参考にしてください。
 
 ・自分のことは話さない 
・聞かれたことしか話さない 
・情報以外の助言は無用 
・言い訳しない 
・話には小道具がいる 
・沈黙と間の効用を知る 
・評論家にならない




視線力アップ

2020-10-29 | わかりやすい表現
視線力アップ

●学生のうつむきプレゼン
 演習では、学生にプレゼンをしてもらうことが多くなります。
「では、田中君、はじめてください」とやると、最初は、書いてきたものを演台に置いて、それをぼそぼそと読みあげることになります。
そこで、あれこれといちゃもんをつけます。視線に関しては、たとえば、こんなことを伝えます。
「顔をあげて視線をこちらにも向けてください」
「聴衆に語りかけるのに、そちらのほうを見ないのは、そっぽを向いて相手と話すようなものです。失礼です」
 「テレビでも、カメラのどのあたりを見て話すと、視聴者の目線と合うかが計算されているのです。それくらい視線は大事なのです」
 「視線を合わすのは、プレゼンの場の緊張感を作り出すのに必須なのです」
といったようなことを話すと、最初は、おずおずと顔をあげながら話しますが、次第に良くなっていきます。
 なお、多数の聴衆相手の視線配りの作法は、視線が合い、かつ会場全体に散らばっている熱心に聴いてくれる3、4人を見つけて、順繰りにその方々を見ながら話すことが基本となります。

●気持ちを伝えるメッセージとしての視線
 もうひとつ面倒なのが、視線が気持ちを反映しているという事実があります。「目は口ほどにものを言う」です。
 気持ちがびくびくおろおろなら視線は定まりません。自信たっぷりなら、ゆったりとした視線配りになります。相手の心の状態を視線から推察できることなります。
 相手が子どもの場合、とりわけ、「口」では語れないことがある場合には、視線から得られる情報には貴重なものがあります。
 視線についての研究から、さらに以下のようなことが知られていますので、紹介しておきます(渋谷昌三「手にとるように心理学がわかる本」かんき出版より)。
・相手と視線を合わせる回数が多い人は、人と一緒にいたいという親和欲求が高い。
・相手を支配したいという欲求の強い人は凝視する傾向がある。
・社交的な人、気配りする人、依頼心の強い人は、相手を頻繁に凝視する傾向がある。
 なお、これはいずれも、大人についての知見ですが、子どもの視線から何かを読み取るときのヒントになるかと思い、引用してみました。

●情報を集めるための視線
 視線には、もう一つ別の大事な役割があります。それは、視線は、外から情報を収集する役割です。
 視線の動きは、受動的なところと能動的なところとがあります。目立つもの、自分の興味、関心のあるものには自然に視線が向けられます。一方、みずからの意志で見たいものに視線を向けることもできます。
 コミュニケーションの状況に限定しても、視線を向けることによって、相手からさまざまな情報を得ることができます。
 相手の視線の動きや顔の表情から感情を推しはかることができるのも、そこに視線を向けたからです。あるいは、相手のジェスチャーから、相手の強調したいことや訴えたいことを探るのも、視線による情報収集の一つになります。言葉不如意の子ども相手では、特にこうした情報収集という観点からの視線配りも必要となります。

●視線をコントロールして気持ちを平静にする
 最後に視線に関する余談を一つ。
 PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder)の治療のひとつに、過去の心的体験(トラウマ)が不本意に想起されて(フラッシュバックして)気持ちが乱れた時、規則的に動かす手先に視線を集中させて気持ちを落ち着かせる手法があります。視線の動きの方に注意を誘導してトラウマから気を逸らさせる手法です。
 英語では、Eye Movement Desensitization and Reprosessing 、略してEMDRと呼ばれています。
 日常的にもこれに類したことをすることがあります。じっと一点を見つめたり、動く指先を目で追ったりして気持ちを落ち着かせるのです。
 こんなことにまで思いをはせると、視線って本当におもしろいです。

 

 

ジェスチャー力アップ

2020-10-26 | わかりやすい表現
ジェスチャー力アップ

●ジェスチャーってどんなもの
 ジェスチャー力アップといってもパントマイムができるようにということではありません。確かに、パントマイムや俳優の演技のように、ジェスチャーもそれなりに訓練すれば、上手になりますが、実は、わたくしたちが普段使っているジェスチャーはほとんど無意識的ですので、かなり意識的な努力をしないとパワーアップしません。
 ためしに、自分が話しているところをビデオにとってもらって観察してみてください。ほとんどそんなジェスチャーをすることを意識していないはずですが、実に多彩なジェスチャーをしている自分を発見して驚くはずです。この無意識性がジェスチャーの1つの特徴になります。
 2つ目の特徴として、意識的にやっているわけではないのにもかかわらず、ジェスチャーの果たす役割が実に多彩であることです。その機能を分類すると、次の3つになります。
1)話の内容を補う 
(例)「これくらいの大きさ」と手で示す。両手を交差させてだめを表現する。
2)話のテンポの調整やメリハリづけをする
(例)手や体の動きで話の進行を調整したり、ここは大事ということを示す。
3)感情を伝える
(例)悲しい表情や明るい姿勢を見せる。
 
●ジェスチャー力アップの勘所
 ジェスチャーが無意識的なものだとしても、それをより好ましいものに変える方策がないというわけではありません。
 その1つが知識です。どういうジェスチャーが好ましいのかについての知識を豊富にすること、そして、それを折りに触れて実践してみることです。
 たとえば姿勢。言うまでもなく、猫背よりは背筋を伸ばしたほうが好ましいですね。
あるいは、表情も、目ぱっちり、口元ゆったりで表情豊かに話すほうが好ましいですね。視線も一点凝視よりも「目通り、乳通り、肩通り」の言い伝えに従う広角配置のほうが好ましいですね。
 こうしたことを知識として蓄積しながら、それを折に触れて鏡を見たりして実践してみることです。実践が積み重なることによって、自然にかつ無意識のうちに子どもに好かれるジェスチャーができるようになるはずです。

●心身一如
 おもしろい研究があります。
子どもに決定的な一言、たとえば、「してはいけない」とか「取り上げる」といった一言を発する際に、父親は表情も厳しいものになるのですが、母親は、時には微笑を浮かべながらそれを言う傾向があるらしいのです。
 母親のこの傾向は、子どもにとっては母親の真の意図が読みとれずに混乱してしまうことになりがちです。ダブル・バインド(2重拘束)と呼ばれていて、親子関係の不安定さををみる鍵となる概念にもなっています。ダブル・バインド状態に子どもを追いやるのは危険です。どっちが本音かわからないことによる不安が高まってしまうからです。
 怒るときもうれしいときも全身全霊でやることです。これが自然なジェスチャーの表出につながります。

●模倣することも有効
 尊敬する人のジェスチャーが自然に真似されることはよく知られています。尊敬する人のように振舞ってその人のようになろうとするメカニズムが働くようです。同一視と呼ばれています。
 テレビドラマの好きな人は、ひいきのタレントが演ずるジェスチャーが気になりますね。それが自然に真似されるのです。大好きな先生や親の振る舞いも同じように子どもに真似されます。
 人から真似をしてみたいと思われるようなジェスチャーを身に付けたいものです。

●文化によってジェスチャーは違う
 グローバル化がすすみ、学校にも異文化育ちの子どもが入学してきたり、あるいは、公園でそうした子どもどうしが遊んでいる光景もそれほどめずらしくなくなりました。
 30年前頃アメリカに10か月ほど滞在したことがあります。今でもはっきり覚えているのですから、よほど奇異な光景だったのだと思います。それは、プールの監視員が手のひらを上に向けて、日本の警官がやるように、私に対してこちらに来い来いとやっているのです。日本だと、普通に呼ぶ時は手のひらを下にしてやりますね。何か悪いことをしてしまったかのように驚いたことを今でも鮮明に思い出します。
 ジェスチャーにも万国共通のものと、その文化に固有のものとがあります。このことを知らないと、うっかり相手を怒らせてしまったり、誤解を与えたりしてしまう恐れがありますので要注意です。

●パーソナル・スペースにも注意
 最後にジェスチャーとは直接は関係しませんが、人と人との距離についてよく知られていることを一つ。
 空いている電車であなたの隣に突然見知らぬ人が座ってきたらどうでしょうか。あるいは、こんな実験があります。図書館で勉強している女子大生の隣に座ると、相手は、腕で頭を抱えたり相手に背を向けたりして、結局は、別の場所に移動してしまうのです。
 このように、人にも縄張りがあるようです。その縄張りに他人が入ってくると不愉快になったり移動したくなったりします。この縄張りをパーソナル・スペース(個人空間)と呼びます。
 見知らぬ大人どうしては、だいたい45センチくらいです。大人と子どもの場合、どれくらいになるのかのデータの存在は寡聞にして知りませんが、お互いを知っている場合には、もっと小さくなるはずです。
 お互いが親密になることがねらいなら、45センチ以内、説明や説得を開始する初期段階なら、45センチより少し距離をとって、というところでしょうか。
 いずれにしても、子どもとの物理的な距離のとり方もコミュニケーションを円滑に行うには大事な要素の一つであることは知っておいて損はありません。
 表として、個人的スペース以外についても、まとめておきましたので、参考にしてください(渋谷昌三「心理学の本」西東社を参考)

相手との関係
対人距離
 行動の特徴(プロクセミックス)
密接距離
45cm以内
家族・恋人などとの身体的接触が容易にできる距離
個人距離
45~120cm
友人などと個人的な会話を交わすときの距離
社会距離
120~360cm
職場の同僚と一緒に仕事をするときの距離など
公衆距離
360cm以上
講演での聴衆と講演者との距離など



文章表現力アップ

2020-10-24 | わかりやすい表現
文章表現力アップ

 なお、以下、コミュニケーション力アップのすべてにわたり、その基礎には、受け手の頭の働きのくせに配慮したコミュニケーションという観点――私は、これを認知表現学と称していますがーーがあります。
 
●メリハリ表現をーー文章表現力アップその1
 図の左側に示したのは、バスの非常口の開け方です。実例です。しっかりと読めば、内容的には正確で情報的にも充足しています。しかし、いざというときに、こんな表示を読んでもらえるでしょうか。

@@@@@@@@@@@@@@@@
「実例」
非常のときは、レバーをまわし、座席を前に倒し、
非常ドアをあけて、外に出る。

「メリハリをつけた表現に改訂」
非常のとき
(1)レバーをまわす

(2)座席を前に倒す

(3)非常ドアをあける

(4)外に出る

 かりに文字ばかりで書かれた文書であっても、図右に示したように、メリハリのある書き方をすれば、それなりの表示効果を期待できるはずです。
 メリハリ表現とは、意味のまとまり(区別化)と大事さの程度(階層)が、一目でわかるようにしたものです。

●意味のまとまりが見えるようにする
 メリハリをつけるためには、まずは、意味のまとまり(チャンキング)の可視化が必要です。
 さきほどの例なら、箇条書きの形で「1文1動作」になっているところです。
 文書は、読んでわからせるのが王道なのですが、見ただけで読み方がわかるようにすることもまた大事なのです。
 お遊び例を一つ。次のひらがな文はどうでしょうか。
 「うらにわにはにわにわとりがいる。なかにわにもにわにわとりがいる」
 「うりうりがうりうりにきてうりうりのこしうりうりかえるうりうりのこえ」
 見た目では、なかなか理解しにくいですね。
 日本の通常表記である漢字かな混じり文にして、読点を入れれば、正確かつ迅速にわかってもらえるはずです。
 文書作成でよく使う小見出しにも、大きな意味的まとまりを見せる効果があります。
 一定の長さの文書になると、内容的にもいくつかのユニットに分かれます。その分かれ目に小見出しを入れます。 
 なお、小見出しをつけるようにすると、書くときにも、より一層、内容の精選をするようになる副産物もあります。

●大事さを見せる
 意味的なまとまりの可視化の次は、内容の大事さの可視化です。
 話は簡単です。大事さの程度に応じて、目立ちやすさを変えるだけです。
 たとえば、本書では、部―>章―>節―>小見出しの順に活字の目立ちやすさを変えています。
 これを階層化と呼んでいます。
 目立つものには注意が向きます。注意されたものは、深く処理をされます。ですから、大事なものを目立つようにしておくのです。

●適切なタイトルをーー文章表現力アップその2
 一定の長さの文書には、タイトルを付けます。そのことは誰もが知っているのですが、どんなタイトルを付ければよいかについては、意外に無頓着なところがあります。
 まず、タイトルは、文書をわかりやすくする要(かなめ)であることを知っておく必要があります。
 ここでまたお遊び。下に示した文書を読み、これが何のことを述べたものか考えてみてください。

「その手順はまったく簡単です。まずものをいくつかの山に分けます。もちろんその全体量によっては、一山で十分でしょう。もし次の段階に必要な設備がないためどこか他の場所へ移動する場合を除いては、準備完了です。一度に沢山やりすぎないことが大切です。沢山にやりすぎるより、少なすぎる方がましです。すぐにはこの重要さがわからないかもしれませんが、めんどうなことになりやすいのです。」
(ブランスフォードによる)
 
 この文書にタイトル「洗濯をする」を付ければ、たちどころに内容が理解できるようになってくるはずです。試しにもう一度、読んでみてください。
 どうしてこういうことになるかと言うと、タイトルを見ると、それに関する頭の中の知識が活性化するので、文書に書かれたあいまいな内容が取り込みやすく(既有知識と関連づけしやすく)なったからです。
 そこで、タイトルをつける際のポイントを一つだけ紹介しておきます。
それは、具体的でイメージのわきやすい内容にすることです。
 多くのタイトルは、マクロで抽象的なものになりがちです。「かぜの予防」「かぜをひかないように」といった類です。
これはこれで、文書全体で言いたいことをおおまかにわかってもらう効果はあるのですが、それが、かえって、「そんなこと自分は関係ない」「また風のはなしかー」となりがちです。
それよりも、「うがいでかぜを防ごう」「冷えすぎによるかぜに注意」のように、その文書で言いたいことの核心をずばりタイトルにもってきたほうが、読み手の注意を引く効果は大きし、場合によっては、タイトルだけしか読んでくれない人にもそれなりの効果を期待できます。
マクロで抽象的なものをサブタイトルとして使うと、なお効果的です。

●読ませる工夫もーー文章表現力アップその3
 文書は作る側からすると、かなりしんどい仕事になります。そのためもあってか、自分の作った文書は受け手に読まれて当然との錯覚をしがちです。
 しかし、考えてもみてください。読み手も、読んで理解するのは、かなりの努力がいるのです。努力に値する文書かどうかをタイトルや小見出し、さらにはレイアウトなどから瞬時に判断することに長けています。その点の配慮も必要です。
時には、「ぜひ、この文書は読んでほしい」との気持ちを文書に込めることも必要なのです。それには、広告宣伝で使うアイドマ(AIDMA)の法則を知っておくとよいかと思いますので紹介しておきます。
@@@@@@@
Attention  目立たせて注意を引く
  例;大事なところに色を付ける 
Interest  興味、関心、利益に訴える
  例;「かぜの予防はクラスを救う」

Desire  欲求に訴える
  例;「かぜのつらさよりうがいをする ほうが楽」
Memory  覚えてもらう
  例;手を変え品を変えて何度も繰り返して伝える
Action  行動してもらう
  例;先着順です
@@@@@@@@@@@@




問いかけ技法  このあと技法

2020-10-05 | わかりやすい表現
最近、あまりの多用ぶりに食傷気味なのが、
答えは、このあと」技法。

一番多いのは、CMのあと技法。」
はなしが佳境に入り、次は?というところで、
「next」>CM となる。
最近は、ニュース番組でも多用される。

中断効果に加えて、視聴者に考えさせる(知識を使わせる)ことでによる
巻き込み効果をねらうもので、それなりに効果がある。だから多用される。

でもねー、あまりに多用されると、「いらいら感」がつのる。
ゆったりした気分でみたい視聴者には、それなりに緊張を強いられる。

次の文章を改善すると、

2020-09-08 | わかりやすい表現
 『きっちり!恥ずかしくない!文章が書ける』 前田安正・著 朝日新聞出版 (土井英司メルマガより)

主語が二つ以上の述語を持たないように 
例1> 人生で大切なことは、自分自身でなし遂 げたいと思うことが見つかるかどうかで、 たくさんの本を読むことは重要だ。 

改善例> 人生で大切なことは、自分自身でなし遂 げたいと思うことが見つかるかどうかだ。 そのために、たくさんの本を読むことは 重要だ。  

述語をしっかり対応させる 
例> このバッターは選球眼がいいので三振と フォアボールをよく選び、打率と本塁打 が多いバッターだ。 

改善例> このバッターは選球眼がいい。だから三 振が少なく、フォアボールもよく選ぶ (も多い)。打率も高く、加えて本塁打 も多い。 



 ヒューマンエラーを防ぐためのマニュアル作り(旧)

2020-08-25 | わかりやすい表現


       ヒューマンエラーを防ぐためのマニュアル作り
             ----認知心理学からの提案----
「概要」                                    
 ヒューマンエラーを防ぐための仕掛けの一つとして、マニュアル(仕事の手順書)を位置づけたとき、マニュアル作りではどんなことに配慮すればよいかを考えてみる。まず、ヒューマンエラーを、「使命ー”計画・実行・評価サイクル”」の枠組で分類して、それぞれのエラーを防ぐためのマニュアル作りの指針を、認知心理学の立場から提案してみる。    

はじめに----マニュアルの5つの役割
 マニュアルには、仕事の手順書と、道具・器械の取扱説明書とがある。いずれも、次の5つの支援機能がある。なお、本講演では、手順書の意味である。

○操作支援 決められた操作が確実にできるようにする
○参照支援 必要な情報がどこにあるかを示す
○理解支援 操作の意味や目的がわかるようにする
○動機づけ支援 マニュアルを読んでみたいと思わせる
○学習・記憶支援 必要なことを覚えてもらったり、学んでもらう

第1 使命ー「計画・実行・評価のサイクル」の枠組で多彩な
   ヒューマンエラーを分類する

○やってはいけないことをしてしまう
 「使命の取り違えエラー」
  例 ノルマを達成するために手順を無視して効率化をはかってひやり
○勝手な思い込みをしてしまう
 「思い込みエラー(ミステイク)」
  例 モニターの警報が鳴った。いつも
    の警報の不具合と思い込んでいつ
    もの操作をしたが、圧力が限界点
    に達してしまいひやり。
○やるべきことをしない/余計なことをしてしまう
 「うっかりミス」
  例 同僚と話をしながら、機械操作を
    していたら、あやうく機械に巻き
    込まれそうになった。
○やるべきこと/やったことを確認しない
 「確認ミス」
  例 確認「行為」はしたものの、きちんとしなかったために、工具を置き忘れ
    てしまいひやり。

第2 使命の取り違えをさせないためのマニュアル作り
 人はエラー、事故を起こさないことを目標に生きているわけではない。安全という制約(上位の使命)の中で仕事上の目標を達成することになる。ところが、しばしば、仕事上の目標が安全の制約をはみ出てしまったり、両者が葛藤したりすることがある。それが事故を発生させることにもなる。
指針2-1「使命(mission)を明確に書く」
指針2-2「そうする(how)のはなぜ(why)を書
     く」
  • 慣れると、whyは意識から消えてしまい
 がち
   例 T社のミッション・ステートメントの例 
        ***ppt 未決
指針2-3「適度の具体表現で書く」
   例 「安全第一」では抽象的、「手順書通りに」
指針2-4「目標の葛藤の発生を防ぐために、安全の下に仕事のミッションを書く」
   例 「速く、確実に」は危険

第3 思い込みエラーをさせないためのマニュアル作り
 状況の中にある顕著な手がかりだけに基づいて、その時その場で活性化している知識だけが使われてしまい、思い込みエラーを起こさせることがある。          とりわけ、即応を要求されたり、状況の激変のために、何が何やらわけがわからなくなってしまうような事態では、その時その場で目立つ限定された手がかりだけに基づいて駆動された知識だけを使って状況の解釈モデル(メンタルモデル)を構築しがちである。それが状況とのかかわりにふさわしくないとき思いこみエラーとなる。

指針3-1「目標をわかりやすく先に書く」
 例 大文字のTを逆さまに描いて、その上に三角形を描く」
指針3-2「妥当な状況認識を支援する書き方をする」
 例 こういう時は(what)、こういうことだから(why)、こうする(how)

第4 うっかりミスをさせないためのマニュアル作り
 うっかりミスのほとんどは、注意管理不全から起こる。人の注意資源には限界があるからである。また、注意資源の活用の仕方も、いつも適切であるとは限らないからである。注意管理のくせを知った上での最適化が必要となる。

指針4-1「マクロ化表現に注意」
 例「フロッピーをセットしてください」はだめ
指針4-2「1文1動作で書く」
 
指針4-3「操作の説明はビジュアル表現を使う」
 実習 紙を切る
指針4-4「予想される危険、エラーは、あらかじめ書き、かつ、起こりそうなところにも書く」

第5 確認ミスをさせないためのマニュアル作り
 エラーをおかすのは人間である限りしかたがない。とすれば、エラーをしたかどうかを確認して、事故につながらないようにすればよいということになります。
 ところが困ったことに、確認という行為にも
○確認行為そのものを忘れる。とりわけ、確認行為が習慣化してしまっているときが怖い。ストーブの火を消したかどうかなどのように、実際にやったこととやったつもりとの区別ができなくなる(現実モニタリングの混乱)ことがある。
○確認そのものにミスが起こる
となると、確認忘れ、確認ミスは起こるという前提で、うっかりミスとおなじような仕掛けを作り込んでおくことをまず考えておく必要がある。

指針5-1「操作の結果を示す」
指針5-2「確認行為も、手順の一つに入れる」
 例「指さし呼称で確認すること」
指針5-3「参照しやすくする」
例「目次、索引を充実させる」
 「本文中でも、メリハリをつける」

おわりに----マニュアルの理解支援機能を強化する

 エラーを防ぐには、マニュアル通りにすることが最低限の要件となる。しかし、現実世界では、想定外の事が起こる。そのとき、「マニュアル通り」に固執すると、事態をさらに悪化させてしまうことがある。
 それを防ぐためには、マニュアルに理解支援機能を作り込むことである。
 ・「いかに」に加えて、「なぜ」を書き込む
 ・知識の高度化をうながす情報を書き込む  
 さらに、「想定外」を減らすための努力も必要となる。
  • ベテラン、エキスパートがもっている暗黙
 の知識を可能な限り形式知化する
 ・マニュアルは現場で作る

海保のマニュアル関係の参考書

  • 海保博之 2002「くたばれ、マニュアル! 書き手の錯覚、読み手の癇癪」新曜社
2)海保博之ら 1987「ユーザ・読み手の心をつかむ マニュアルの書き方」共立出版

海保のヒューマンエラー関係の参考書
1)海保博之・田辺文也 1996 「ワードマップ ヒューマン・エラー---誤りからみる人と社会の深層」新曜社 1900円  
2)海保博之 1999 「人はなぜ誤るのか---ヒューマンエラーの光と影」  福村出版 1800円
3)海保博之 2001 「失敗を”まあいいか”とする心の訓練」小学館文庫 500円
4)海保博之 ○2002年1月より8回連続 「ヒューマンエラー防止のための心理安全工学」 「働く人の安全と健康」に所収 中央労働災害防止協会
○2003年1月より「ヒヤリハットの心理学」を「安全衛生のひろば」(中災防)に連載





次のマニュアルでの表現は、何が問題か

2020-08-05 | わかりやすい表現


次のマニュアルでの表現は、何が問題か

①「フロッピーをセットしてください」

②「機械を落とすと壊れます」

③「エレガントでコンパクト、プロフェッショナルソリューション」

④ 「ヒルキモをピラッコしてください」

⓹「紙を半分に折ってその右隅をちぎってください」

⑥「絵に示す黒い部分を折ってください」 

⑦「レバーを引いて椅子を前に倒してドアを外に押してください」


答え

①「フロッピーをセットしてください」

    ---たくさんのことを一言で言い過ぎる

②「機械を落とすと壊れます」

    ---注意喚起になっていない注意書き

③「エレガントでコンパクト、プロフェッショナルソリューション」

    ---めくらまし表現は無用

④ 「ヒルキモをピラッコしてください」

    ---専門用語を無造作に使う

⓹「紙を半分に折ってその右隅をちぎってください」

    ---言葉だけに頼りすぎ

⑥「絵に示す黒い部分を折ってください」 

    ---場所の示しかたかたがへた

⑦「レバーを引いて椅子を前に倒してドアを外に押してください」

    ---一つの文でたくさんのことを言いすぎる


超有名人CM]TV/CM雑考5

2020-07-20 | わかりやすい表現
長嶋茂雄と@@@
イチローと****
というように、人と商品・会社が固く結びついているCMが、いくつかある。
これはこれでその効果は抜群だと思う。

一方では、
同じ人があちこちのCMに出演というのもある。
こうなるとすぐには名前が挙がらない。
したがって、効果も分散。