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知の生産、流通、消費」x「知の研究、陶冶、道具::::10年前の今日の記事

2019-10-17 | 認知心理学
1部 知の生産
1章 半世紀にわたる認知研究がもたらしたもの----知の研究
2章 「なんとか力」大流行の背景---知の陶冶
3章 知的活動を助ける----知の道具

2部 知の流通
4章 書け、さもなくば、朽ちろ---知の研究
5章 今教育は----知の陶冶
6章 活版印刷に電子メディアがとって代わる---知の道具

3部 知の消費
7章 研究が評価される---知の研究
8章 知が劣化する---知の陶冶
9章 使い勝手が悪い---知の道具

知の生産、流通、消費」10年前の今日の記事

2019-10-02 | 認知心理学
○知の生産  
論文査読  思考停止装置  翻訳  老人力  朝の仕事術 理工系気質  心理学の研究  税金による研究  業績 記憶術 

○知の流通  
知のグレーゾーン  本の編集  取扱説明書 卒論指導   カウンセリング・ブーム 手帳 国際学会 書く・話す 広告表現  メディア・リテラシ

○知の消費  
コンピュータ・ゲーム 新聞購読  車の運転 読書  小銭 入試
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メタ認知 頭の中の小人の話」10年前の今日の記事

2019-10-01 | 認知心理学
メタ認知 頭の中の小人の話     

●頭の中にもう一人の自分がいる  
ホムンクルス(Homunculus頭の中の小人)の話は、ゲーテの「ファウスト」に出てくる。   

「僕は完全な意味で発生したいのです。1日も早くこのガラスを割って、飛び出   したいのです。」(大出定一訳、人文書院、p235)  

自然の脅威もままならないが、それ以上に自分の頭のままならなさに我々は悩まされる。じゃじゃ馬を自分の頭の中にかかえこんでその制御に腐心させられているような感じは、誰もが抱いている。「頭の中に小人がいてそれが悪さ?をしている」という感じと言ってもよい。  

しかし、実感は、文学の対象にはなっても、科学の対象にはなかなかなりえない。ホムンクルスも、その存在を痛切に実感はできるもののひとたび心理学の中に取り込んでしまうと、今度は、科学の世界で悪さをすることになるので、慎重であった。

なぜなら、人の頭の中にホモンクルスを認めてしまうなら、ホモンクルスの中にさらにホモンクルスを、さらにそのホムンクルスの中にホムンクルスを、---という具合に無限後退が始まってしまうからである。  

ところがである。そのホムンクルスが突如、心理学の論文に出現し(注1)、あれよあれよという間に、時代の寵児になってしまったのである。言葉こそ、メタ認知としゃれたものに変わってはいるが、まぎれもなく、ホムンクルスの出現である。

●メタ認知とは  
メタ認知とは、要するに、ホムンクルスが、人の認知過程において何がどうなっているかを監視し、適応的な活動をするようにコントロールすることである。(注2)  

前述したように、我々の実感としては、ホムンクルスは確かに存在するし、機能している。それを素直に心理学の研究テーマにしたのが、メタ認知研究である。

科学方法論的にどうのこうのと考え出したら、怖くて扱えない。しかし、存在するのだから、科学(心理学)は立ち向かうべしとの挑戦心が生み出した産物とも言える。

実は、もう一つ、メタ認知研究の研究に向かわしたものがあると思っている。それは、コンピュータである。  

コンピュータには、中央演算装置があり、そこには、OS(Operating System) というソフトがコンピュータ全体の仕事を管理している。ホムンクルスを、このOSの働きにたとえてみることができることに気づいたのである。コンピュータ・アナロジー(->****)の成果である。

神秘的色彩の濃かった、そして、科学方法論的には問題であったホムンクルスが、工学的実体としてイメージできるようになったことで、安心して論ずることができるようになったのである。

●心理学の研究の多くはメタ認知の存在を前提にしている  

心の働きには、その働きをまったく意識できない領域と、意識しようとすれば意識できる領域と、ほぼ完全に意識できる領域の三つがある。例を挙げてみると、  「意識化不能な領域」    感覚過程 パターン認識の過程     
「意識化努力によって意識化可能な領域」  ものを覚える過程 問題解決過程     自分の性格や能力の判断過程   
「意識化可能な領域」    プランニングや構想過程   

このうち、メタ認知が機能しないのは、「意識化不能な領域」である。ちなみに、こうした領域を、心のアーキテクチャー領域と呼ぶ。

これ以外の領域では、メタ認知が機能している。したがって、メタ認知を前提にした心理学独特の研究技法が使えることになる。

つまり、意識化可能な領域では、被験者に直接/間接に、「心について尋ねる」手法である。  

その際たるものは、内省法(注*)とプロトコル法(注**)である。前者は、何かの作業をさせて終わってから、作業中のことを振り返って心がどうだったかを問う。後者は、作業中に、今あなたは何を考えているかを問う。  

もう少し間接的に心について尋ねる方式もよく使われる。その典型が質問紙法である。たくさんの質問を用意して、それに答えてもらうことで、心に迫ろうというものである。  

いずれも、メタ認知を前提にしてはいるが、メタ認知は完璧には機能しないので、本当に心を語ってくれているかどうかは保証の限りではない。その保証を担保する仕掛けがいろいろ工夫されている。  

研究対象自身に研究対象のことを語らしめたデータを使って科学にしてしまおうという、この心理学独特の研究技法。自然科学の技法と比較すると、本当に大丈夫と心理研究者までもが思う。思うが、ここでがんばることが、心理学が人についての科学の中核になるためには、絶対に必要ではないかとも思う。  

***********
注1 Sternberg(19**) が提案した、人の高速検索モデルの中に、Hという一文字が解説なしに---控え目に?---書き込まれているのをみたとき、「エッ!!」とびっくりしたのを今でも思い出す。

注2 メタ(meta)とは、「越える、あとからついてくる」の意の接頭語である。認知の認知、あるいは、認知活動に伴ってできてくる活動ということ。  

注3)話がややこしくなるが、メタ認知そのものについての心理学的な研究領域もある。念のため。A.ブラウン(湯川・石川訳)1978「メタ認知」サイエンス社など参照。 注* W.ティッチェナー(1876-1927)は、感覚領域でも、被験者を訓練すれば内省によって(こそ)心理学の構築に必要なデータが得られるとして、組織的内観法を提唱した。 注** 海保博之・原田悦子編著 19** 「プロトコル分析入門」 新曜社
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● 第一印象における直感的判断 」10年前の今日の記事

2019-09-16 | 認知心理学

● 第一印象における直感的判断
人間の情報処理は重層的になっています。基盤にあるのは、
・ 無意識で
・ 自動的で
・ 迅速な
処理を行います。それに重なるようにして
・ 意識的で
・ 制御的で
・ 時間をかけた
処理が乗っています。前者を裏道の処理、後者を表道の処理と呼ぶ人もいます。

 第一印象での人物情報の処理のほとんどは、裏道で行われます。そこでの処理結果は、一つは、もっぱらその人物に対する好悪として、さらに、その自分人物についてのおおまかな印象として、表道での処理を制約します。
  たとえば、好ましそうな人だから、もう少し人物を知りたいとか、あまり人が良さそうではないので、深入りは止めておこうとなります。

 なお、裏道処理による第一印象の制約が強すぎると、その人物に対する思い込みが発生して、表道の情報処理をゆがめることになります。「こんなに魅力的な人が悪い人のはずがない」となってしまい、詐欺の餌食になってしまいます。
なお、日本では、初対面では、名刺が交換されるのが常です。そこにある情報は、もっぱら表道で処理されます。好ましい人という第一印象と、名刺からの情報とに整合性があれば、関係を深める方向に進みます。不整合なら「さて、どうしよう」となります。

学生の知的生活のパワーアップ術

2019-08-31 | 認知心理学




02/11/5 @大学 学術講演 02/12/5       

学生の知的生活のパワーアップ術 ---認知心理学からの提言---        

概要**************************************************************  

情報化社会での知的生活をパワーアップするには、頭の中にある内的資源と、頭の外にある外的資源とのバランスのとれた活用が鍵となる。インターネットの活用に見られるように、外的資源の爆発的な増加はこのバランスを著しく破壊し、そのために知的生活の混乱がみられるのが現状である。  本講演では、情報化社会における知的生活の中核になっている情報収集力、情報編集力、情報表現力の3つの力をつけるために、内的、外的な知的資源をどのように活用すればよいかを軸に認知心理学の立場から考えてみる。 *****************************************************************

序 コンピュータが引き起こした知的革命をめぐって

●有史以来、外部の知的資源を爆発的に増加させたことが、3度あった。
1)1度目は、文字の考案。紀元前3千年頃,「楔(くさび)型文字」である。備忘官(王家の家系や業績を記憶する人)が不要になり、情報の固定化、記録ができるようになった。
2)2度目は、活版印刷の発明。15世紀中頃、グーテンベルクの発明した活版印刷である。情報(当時は聖書)の共有範囲が爆発的に拡大した。
3)3度目は、1937年、コンピュータ・ABCマシーンの開発である。それ以来ほぼ半世紀、知的環境を革命的に激変させた。

●コンピュータがもたらした現在の知的環境の3つの変化 
1)誰もが情報発信者に   小学生でもインターネット上のHPで不特定多数に発信
2)仮想世界の肥大化   
仮想世界の4つの特徴    
・現実世界の一部を拡大・強調する--編集機能の高度化       見せたい現実だけを劇的に見せられる    
・思惟世界を見えるようにする--情報のビジュアル化       星の動きもシミュレーションできる    
・多彩かつ臨場感のある間接経験を提供する--間接経験の豊潤化       けんかも仮想世界で    
・時間的・空間的な制約が緩い--制約の緩和化       いつでもどこでも
3)情報の保存、流通の大規模・低コスト化   「ギガ」(10億)単位での情報保存と流通がお茶の間に

●コンピュータの3つの知的支援機能が誰でもいつでも使える環境になった
1)情報収集・蓄積支援  例 ネット検索・256MBのフラッシュ・メモり
2)情報編集支援  例 コピー&ペースト
3)情報表現支援  例 パワーポイント

●こうした知的状況を踏まえて、本講演では、3つのことを基本原則とした、知的生活のパワーアップ術について提言してみる。

基本原則1「頭の内と外の往復を活発に」        

内的資源と外的資源、内化と外化のバランスのあるやりとり        実習 円周率の記憶---頭だけを使った記憶術            3.14159265358973238---

基本原則2「心の身体性にも配慮を」        シンボル操作に加えて身体に作り込まれた知も大事        実習 空書--からだ(外化/内化機関)の記憶           ・カタカナの「イ」と「ニ」でできている漢字は?           ・「イ」と「ロ」と「ホ」でできている漢字は?        例 宮大工・西岡常一氏の箴言 

基本原則3「強靱な心より”しなやかな心”作りを」        心のくせ(法則性)にかなった科学的なパワーアップ術を        洗脳やエセ宗教や精神改造とは一線を画す        ・自分で自分を知りコントロールする力(メタ認知力)を          ・心についての知識を豊かに        ・自分の心を知り、そこからちょっと踏み出す          「現在の自分」と「こうありたい自分」           とが適度に重なるくらいのところで

第1 情報表現力(編集した情報を外に向かって発信する)

情報表現力には、 ・自分の頭の中で、自分の気持ちと思いを表現する力(自己表現力) ・その表現を外に向かってわかりやすく表現する力(外部表現力) の2つがある。両者は一体である。 そのために、情報をいかに収集し、いかに加工するかを考えることになる。 「先に情報表現ありき」である。情報爆発の時代に情報に流されないためには、このことの認識は重要である。

●提言1「感性と信念に磨きをかける」ーーー内部表現力を高める

自己表現が求められる時代になった。ということは、自己作りが大事ということになる。豊潤な自己作りには、感性磨きと信念磨きがポイント。 ○感性を磨く 感性とは、気持ちを知性化したもの(感情を、イメージや言葉でシンボル化すること)。感性は、状況との直感的・即応的なかかわりをガイドする。 感性を磨くには ・あいまいさ耐性をつける ・知的好奇心を旺盛に ・言葉、イメージを豊富に   ○信念を磨く 信念とは、状況とかかわるための自分なりに構築した認識のためのモデル。このモデルは、状況の心理的な複雑さを減少させる。 信念を磨くには ・哲学、教養に裏打ちされたものにする   俗流

信念(例「誰からも好かれるべし」など)は人生を暗くするので要注意 ・何にでも自分なりのものを ・異質の信念にふれる

●提言2「わかりやすく表現する」ーー外部表現力を高める

表現の受け手が誰で、どんな目的で、どんな状況なのかをきちんと認識した上で、次のようなことに配慮することによって、わかりやすい表現にする。
○全体概要、意味、目標を先に  実習「目標を言わないと、わけがわらない」
○専門用語の使い方に注意する  実習「専門用語は100の説明を一つの言葉で済ますことができる」    「スクイズ場面」を「スクイズ」という言葉を使わないで説明する
○メリハリをつける ・見た目のまとまりと意味のまとまりを一致させる(区別化)  実習 「kaneokuretanomu」を漢字かな混じり文で書くと ・大事なものに目がいくようにする(階層化)  例 「文字サイズ、項番、書き出しをうまく使う」  ○ビジュアル化する  例「文書にもメリハリが必要」

第2 情報収集力(目的にあった情報を収集する)
情報爆発の今、漫然とした情報収集は情報の海に溺れてしまうだけに終わってしまう。大事なことは、 ・なんのための情報収集かをはっきりさせること   ここで、「自己」が問われる ・頭の中にある知識からの情報収集も充分にすること

●提言3「外の情報に負けない」---外部情報の活用のコツ

web情報空間には、膨大な情報が蓄積され、誰もがそれに簡単にアクセスできるようになった。無目的に、この情報空間に入り込むと情報の海の中で埋もれてしまう。目的意識をもった情報空間との付き合いが必須である。  例「”海保”をインターネットで検索すると」

●提言4「頭の中の知識を活性化する」---内部情報の活用のコツ

生まれてからこれまで、膨大な知識を頭の中に貯蔵してきている。この知識にも、情報収集の網をかけてみることが、”自己”表現につながる。そのためには、記憶の底に埋もれてしまっている知識を目覚めさせる(活性化)させることが必要。 ○知識の活性化とは 実習「”どうきょう”を10回繰り返して言う」   「日本で一番人口の多い市はどこ?」 ○知識を活性化するための方策のいくつか ・連想マップを作る  実習「情報から連想することを絵にすると」 ・人と一緒に  例「ブレーンストーミング(brain storming)5つの原則」    「批判厳禁」「質より量」「自由奔放」     「人のアイディアとの結合」「論理性無視」 ・読んだ本、記録したノートのぱらぱらめくり


第3 情報編集力(情報を目的に応じて加工する)

目的に応じて自分なりの情報空間を作りだすのが編集力である。 料理で言うなら、素材(情報)をいかに料理(加工)するかである。素材の選別にも、料理にも、レシピに従いながらも自分なりのものを出せること、これが編集力である。

提言5「具体と抽象の往復をする」
現実(具体)に縛られると大局が見えなくなる。抽象に行き過ぎると、現実が見えなくなる。そこで、具体と抽象の間の往復をすることになる。これは、収束的思考と発散的思考をうながし、情報の編集を豊潤なものにし、さらに、創造的なものにさえする。
例1「コンセプト・ワークとプロトタイプを同時に---物作り」
例2「抽象的な話になるときは、”たとえば(例)”を随所に---説明」 例3「無理なら、適度に抽象的な世界を見せる--視覚表現」 

提言6「物語を作る」
人生至るところ物語である。レポート一つにも、自分なりのシナリオ(物語)を作り込むことで、はじめて発信するに値する情報になる。
例1 「起承転結」の作り込み  京の五条の糸屋の娘(起)  姉は十七 妹は十五(承)      諸国諸大名は弓矢で殺す(転)糸屋の娘は目で殺す(結)

例2 夏目漱石の「坊っちゃん」が内館牧子脚色でドラマになると    そこには、同じ原作でも、内館氏なりの物語性がある。

おわりに  

コンピュータのユビキタス化(ubiquitous;いつでもどこでも)は今後ますます進む。情報も知的活動もどんどん外部へと移転しつつある。だからこそ、自分の知的生活を豊潤なものにするには、自己作りを心がけ、自分の内なる知識を豊かにし、内外のバランスのとれた知的活動をすることが必要となる。  本講演ではそのために有効と思われるいくつかの提言をしてみた。


本講演に関連する海保の参考書 「連想活用術」中公新書 「説得と説明のためのプレゼンテーション」共立出版 「一目でわかる表現の心理技法」共立出版 「くたばれ、マニュアル! 書き手の錯覚、読み手の癇癪」新曜社 「自己表現力をつける」日本経済新聞社 「認知研究の技法」福村出版

比較心性

2019-08-24 | 認知心理学
欧米と比較すると<=水平比較
昔と比較すると<=垂直比較

いずれも、現状の特徴をはっきりさせるにはもってこい

でも、水平比較に「欧米」をもってくる時代は、そろそろ終わりかも
「中国」と比較すると
「アジア」の中では、
となるかも

それにしても、
日本人の比較心性は、ちょっと強すぎるかもしれない
自律的思考が必要な時代になってきている

自由意志の問題」10年前の今日の記事

2019-08-22 | 認知心理学

自由意志の問題は、心理学にとって最もやっかいな問題であり続けてきましたし、これからもそうだと思います。  

結論から言うと、心理学では、自由意志は研究の対象から巧妙にはずしてきました。なぜなら、心理学を科学にするためには、どうしても、自由意志の介入は邪魔になるからです。  

たとえば、心理実験の場面でも、被験者は、実験者に「自由に」逆らうことができます。本当は見えたものも見えないと報告する自由があります。  

19**年頃に盛んに行なわれた力動的知覚の実験で、実際にこんなことが起こっているのではないかと疑われる現象がみられました。口に出すことがはばかれるタブー語を瞬間的に呈示して見えたか見えないかを問う実験です。被験者は見えないと報告するときでも、実は、皮膚電気反射(GSR;galvanic skin response)には、見えていることをうかがわせる生理的な反応が起こったのです。被験者は、恥ずかしいので、「嘘」をついているのではないかと疑われました。

結局、無意識の世界で起こる、心と身体の乖離現象の一つということになりましたが、こんなところに、自由意志の「心理実験上の」困った問題の一端をみることができます。

『心の科学 第2版』の読者のための参考書籍リスト

2019-08-18 | 認知心理学
株式会社ナカニシヤ出版より

『心の科学 第2版』の読者のための参考書籍リスト
『心の科学 第2版』の読者のための参考書籍リスト
2月刊行の新刊、『心の科学 第2版』の著者たちによる参考書籍リストです。本書をより深く知るためにお役立てください。章ごとに(1)領域を知るための入門書、(2)さらに発展させるための専門書を紹介しています。


第1章 心理学とは(1) (2)
第2章 神経心理学(1) (2)
第3章 感覚・知覚(1) (2)
第4章 学習・言語・認知 第1節(1) (2)第2節(1) (2)第3節(1) (2)
第5章 感  情(1) (2)
第6章 動機づけ(1) (2)
第7章 発  達 第1節(1) (2)第2節(1) (2)
第8章 性  格(1) (2)
第9章 臨床心理学(1) (2)
第10章 社会心理学(1) (2)
***

第1章
(1)この領域を知るために
『サブリミナル・マインド』
下條信輔(著) 中央公論新社 1996 
認知心理学紹介の最良の本の一つで,現代に生きる私たちの必読書です。

『サブリミナル・インパクト』
下條信輔(著) 筑摩書房 2008 
サブリミナル・マインドの続編で,コマーシャル,情動の政治,創造性などに鋭く切り込んでいます。

『心は実験できるか』
ローレン・スレイター(著) 岩坂 彰(訳) 紀伊國屋書店 2005
心に関する様々な実験を紹介したもので,驚きの実験結果が興味深いです。

(2)さらに発展させるために
『教養としての認知科学』
鈴木宏昭(著) 東京大学出版会 2016
心理学を認知科学全体の中で捉え,表象・記憶,思考の重要性を確認することができます。

『認知革命』
ハワード・ガードナー(著) 佐伯 胖・海保博之(監訳) 産業図書 1987
認知科学の誕生・展開についての良書です。認知心理学の誕生を知るための必読書です。

『現代の認知心理学(第1巻~第7巻)』
日本認知心理学会(監修) 北大路書房 2010・2011
現在の認知心理学の到達点をまとめたものです(『第1巻 知覚と感性』『第2巻 記憶と日常』『第3巻 思考と言語』『第4巻 注意と安全』『第5巻 発達と学習』『第6巻 社会と感情』『第7巻 認知の個人差』)。

第2章
(1)この領域を知るために
『新・脳の探検 上』
『新・脳の探検 下』
フロイド・E・ブルーム(著) 中村克樹・久保田 競(監訳) 講談社 2004


以下、省略


●犯罪者の動機分析」10年前の今日の記事

2019-08-02 | 認知心理学
●犯罪者の動機分析
事故分析の人為ミス説と似たような後知恵の定番が、犯罪者の動機分析である。
こちらのほうは、たとえば、証拠にもとづいて殺人がどのようにおこなわれたかを完全に解明でき犯人が検挙されても、ひつようにおこなわれる。場合によっては、それによって、罪の軽重が決まることさえある。

犯罪の動機探しは、ほとんど証拠のない逆問題解きになる。「むしゃくしゃしていたから放火した」「無視されたから殺した」などなど。もっぱら犯人の自供からからーーこれも後知恵なので真実とは限らないことがあるーー、その動機を推論することになる。それが衆目の納得のいくものであれば、それで終わり。

●信念は、どのように作り出されたのか

2019-07-26 | 認知心理学
●信念は、どのように作り出されたのか

信念は、頭の中にある知識の一つです。ですから、それは、知識一般の作り出されるのとそれほどは違いません。
ただ、2つほど、他の知識の作られ方と違うところがあります。

一つは、正しいという強い確信を伴うことにかかわります。
知識の正しさを証拠立てるものが、信念の元になる情報を仕入れたときのあなたの気持ちに依存していることです。というより、あなたになんらかの強い喜怒哀楽を引きおこしたとき、あなたに押し寄せてきたものもろの情報が信念を形成する知識の種になります。
たとえば、宅配便が誤配されて迷惑を蒙った個人的な経験から、「宅配便は信用できない」との信念を抱いてしまいます。
あるいは、初めて行った海外で親切にしてもらってうれしかったその個人的な経験から。「あの国の人々は親切だ」という信念を抱きます。
さらには、尊敬の気持ちを抱いている人の信念をそのまま取り込んで自分の信念とすることもあります。

もう一つは、ここに挙げた例からもわかるように、限られた個人的な経験から得た知識をただちに一般化して正しいという確信を持ってしまうところです。したがって、周辺にある関連する知識とネットワークをつくらずに、孤立した知識として存在することになります。

普通の知識は、関連する知識とくっついたり離れたりしながら、内容が更新され、その正しさの確信度を絶えず変化させるのですが、信念はひとたび作り出されてしまうと、あたかも「普遍的な知識」であるかのように確信して、人の振る舞いを支配します。
宗教的な信念や政治的な信念をもっている人をイメージしてみてください。納得していただけるはずです。

潜在効果 なんとなく良い影響を受ける

2019-06-27 | 認知心理学
潜在効果 なんとなく良い影響を受ける

頭を柔らかくするポイント
***************
1)知らず知らずに受ける影響の大きさを知る。
2)本筋以外の情報にも気をくばる。
3)本物、一流にできるだけ頻繁に触れる。
***********************

●接触する回数が多いほど好きになる  
何度も同じ物に触れていると、だんだんそれが好きになる、単純提示効果と呼ばれている現象がある。しかも、もっとびっくりするのは、意識的にはまったく何も見えない(閾下;サブリミナル)くらいに短い時間(5ミリ秒くらい)で提示しても、同じ効果がみられるのである。  この単純提示効果は見えの世界の話であるが、これに似た効果は、記憶や注意や判断など心の働きのあちこちの世界でもみられる。  たとえば、注意の世界でも、パーティ会場で、他の人との会話に注意を向けていても、自分の名前が呼ばれればすぐにそちらに注意が向く(カクテルパーティ現象)。この現象は、意図的な注意の範囲よりもずっと広く無意図的に注意を配っていることの証拠である。  また、記憶の世界についても同じようなことがある。実習で確認されたい。  意識下(無意識)に起こっているといるということで、ここでは潜在効果と呼んでおく。

●努力しないで影響される  潜在効果は、物を買わせたい、自分に1票を入れさせたい、といったことをねらう人々にとっては、すぐにでも飛びつきたくなるような効果である。しかし、これには、倫理的な問題があって、そうすんなりとは使えない。とりわけ、閾下提示の場合は、TV界では禁止されている。  確かに、人から制御される形での潜在効果の活用は困るし気持ち悪いが、自分自身でなら、こうした効果を利用することはあってもよい。努力しないで好ましい影響を受けられるのだから、これほどありがたいことはない。

●潜在効果を活用する  古物商や画商は、弟子に真贋判定の力をつけさせるために本物に徹底的に触れさせるとのことである。潜在処理される情報の重要性を知っているのであろう。  教育学の領域でも、「隠れたカリキュラム」という概念がある。良い教師、良い教育環境の中に埋め込まれている情報に触れることで子供が知らず知らずに身につける知識の大切さが、この概念には込められている。  いずれの場合も、何が真贋区別の決め手か、何が子供に好影響を与えるのかを顕在化させる学問的、経験的な努力がなされてはいるが、多分、いくら努力をしても残るもの(わからないもの)があるはずである。そこに潜在効果を期待するわけである。  では、我々の普段の心がけとしてでは、どんなことあるだろうか。  世間で定評のある「良質な」人や物に触れることである。それも、一回こっきりではなく、できるだけ頻繁に触れることである。 ・美術館、博物館にいく ・一流品に触れる ・その道の達人の話を直接聞く ・名著や古典を読む


「体験実験」「潜在記憶を体験してみる」
1)次の言葉の好き嫌いを5段階で評定せよ。  
国際 公園 小泉 広告 幸福 攻撃

2)次の○に適当な文字を入れて単語を作れ。  
○かや○ くん○○ ○いけ○  せ○こ○ れん○○ こ○こ○ 「解説」  

2)の正解。「わかやま」「くんれん/くんせい」「たいけん/けいけん」「せいこう」「れんらく/れんこん/れんめん」「こうこく/こうこう」  
一番最後の「こ○こ○」に何を入れたかである。もし、躊躇なく「こうこく」と入れたなら、それは潜在効果である。  1)で、6つことばの評定をした---記銘させたのではないことに注意!!---ことが暗黙のうちに2)の文字埋め込めクイズを解くときに影響していたことになる。もし1)にあったことに気がついていたら、それは顕在効果になる。  なお、「こ○こ○」単独で解かせれば、同音語がたくさんある「こうこう」になる。

********* 「実習」「潜在情報をチェックしてみる」  

1冊の本を読むとして、意識的には処理をしていないが、なんとなく気になる情報をあと4つ列挙してみてほしい。
・本の装丁  
・レイアウト 

・      
・      


「解説」  
本は、文字と数字と絵を使って情報を表現している。読者はそこから書き手の意図を読み取る。これは、極めて意識的(顕在的)な情報処理として行なわれる。  

しかし、例示したようなもの--パラ情報---も、知らず知らずのうちに(潜在的に)頭の中に取り込まれ、たとえば、「頁下に脚注欄のあったあの本」といったような想起手がかりとして使われる。 

**************** *****************************

ボトムアップ(積み上げ型)認知とトップダウン(天下り型)認知

2019-06-22 | 認知心理学
認知には、ボトムアップ(積み上げ型)認知とトップダウン(天下り型)認知とがあります。

ボトムアップ認知とは、世の中をまさにあるがままに認識するためにーーそれは実際には不可能なのですがーーー、
世の中のことを虚心にじっくりと分析することです。

これに対して、トップダウン認知とは、世の中がたくさんの情報に溢れていて(いるようにみえて)何が何やらわけがわからないよぅな時に、勝手に自分なりの認識をとりあえずしてみるような認識のことです。