ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

鉄道復権と地域づくり

2017-11-23 22:35:58 | 日記
11月20日は東京で交通関係の研修でした。

まず、株式会社日本総合研究所 主任研究員の藻谷浩介さんから「鉄道復権と地域づくり」というテーマで講演がありました。

鉄道のあり方に関し、「赤字路線は廃止し、黒字路線だけを残すべきだ。」という議論がある。

もしその通りだとすれば、JR北海道はすべての路線が赤字なので、すべての路線を廃止すべきことになる。

また、道路も高速道路の有料区間以外は赤字なので、この理屈をあてはめれば、道路は全路線廃止すべきことになるが、実際はそんな話にはならない。

赤字黒字が存続の理由になるのはおかしく、総合的ベネフィットで考えるべき。

岐阜は赤字の市電を廃止したことで、商業施設が廃止になり、商店街の客が減ることにつながったので、赤字だから廃止すべきはおかしい。

もっとも、存続のためにコストや財源のあり方は検討すべき。

仙台市地下鉄東西線は、約14㎞の路線を約3,000億円かけて建設されたが、LRTだったら同じコストで約300㎞の路線を作ることができた計算になり、なんでも作ったらいいというものではない。

国の道路特別会計のお金を鉄道にも使うなど、鉄道の維持にもっと財源を使うことも考えるべき。

例えば、上下分離方式をすれば黒字化する路線も多いので、その財源に活用するなど。

万葉線は、上下分離方式を採用しても赤字だったが、廃止しても福祉バスやスクールバスを運行する必要があり、かかるコストはほぼ同じで、やりようによっては乗客を増やすことができるので、残った。

鉄道はバスと比較し、乗客にとってわかりやすく使いやすい公共交通手段なので、今あるものをできるだけ残して活用策を考えた方がよい、

といったお話でした。

公共交通のあり方を考える基本的な方向性を言われており、赤字黒字だけで考えてはいけない、というのは強く印象に残りました。

神戸においても、都心部における新たな交通手段のあり方や、地域の交通手段のあり方など議論がなされていますが、採算性は重要であるものの赤字黒字だけの議論に終始しないよう、総合的なベネフィットとして何があるのかわかりやすく提示をして議論を進めていく必要があると感じました。


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