ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

危機管理室への質問 質問・答弁の要旨

2016-03-16 23:35:13 | 日記
3月9日の危機管理室への質問と答弁の主な内容は以下の通りです。

1.東日本大震災被災地支援について

Q:派遣職員が被災地でどのようなことを学び、どう市政に活かしたのか?今後どのように活かしていこうと考えているか?

A:派遣された職員の経験や教訓を本市職員に伝えていくため、採用3年目などの若手職員や昇任5年目の中堅係長に対する派遣職員による研修を実施したり、派遣職員の現況報告や所感を職員用のイントラネットに掲載して情報共有も図っている。
派遣した職員の報告や提言をもとに平成25年3月に「神戸市災害受援計画」を策定し、この受援計画の考え方を全国の自治体にも取り入れてもらえるよう、消防庁等に周知を要望し、関西広域連合では「関西広域応援・受援実施要綱」に内容が反映されるなど体制整備につながっている。
今後も、東日本大震災で被災された市民に寄り添う支援を引き続き行うとともに、阪神・淡路大震災の教訓が風化しないよう、東日本大震災の被災地支援の経験も活かしながら、継承の取り組みを行っていきたい。

Q:神戸市は、阪神・淡路大震災では被災地、東日本大震災では被災地を支援する側の両方を経験しており、この貴重な経験を国内外に広く発信していくべきでは?

A:現役職員とOB職員とで設立した団体による被災地との交流セミナーを開催するなど、防災・減災についての発信をおこなっている。
また、海外にはJICAのネットワークを通じ、インドネシアやネパールなど海外の被災地などから、阪神・淡路大震災の被災状況や復興状況を学ぶために多くの研修生が来神しており、昨年度は累計42か国、85人の研修生を受け入れ、震災の経験や教訓、危機管理の取り組みを伝えている。
今後も本市の震災の経験や教訓を広く国内外に発信していきたい。

2.客引き条例について

Q:兵庫県の「客引き防止条例」が施行され、三宮の客引き防止に一定の効果はあったが、時間帯によってまだまだ客引きが通行の支障になっており、さらなる取り組みが必要では?

A:2 月末までに約 9,300 件の口頭注意等を行ない、先日初の過料処分も行われ、10月の施行以降約3割減少している。
引き続き啓発キャンペーンを実施し、さらにさんちかに啓発看板を設置したり、啓発グッズを作成するなど啓発に取り組む。

3.災害時の情報伝達について

Q:災害時に、日本語が理解できない外国人観光客に迅速かつ的確な情報を伝達し、安全に避難してもらうことが重要だと思うが、どのように考えているか?

A:基本はホームページを多言語化し様々な国の人々にアプローチをしていくことだが、その他に積極的なアプローチとして「多言語防災カード」の活用がある。
カードは神戸市国際協力交流センターが発行しており、災害への備えや被災時の対応等を日本語を含めて7 か国語で説明している。区役所やインフォメーションセンター等で配布しているが、今後はホテルや旅館等でも配布していきたい。
また「津波避難の情報板」を市内7 カ所に設置し、道案内地図「まちかど案内サイン」に海抜表示を掲載している。いずれも4か国語に対応しており、わかりやすい表示に努めている。
さらに、防災アプリとして、ハザードのわかる「ココクル」や中央区の「かもめんnavi」がある。
「ココクル」は英語、「かもめんnavi」は4 か国語に対応しているが、外国人観光客からの自然なアプローチは難しいため、wi-fi スポットでの通信環境を提供する際に防災アプリの案内をするといったようなきっかけからPRをしていきたい。
いずれにしても、外国人に応じた対応に取り組んでいきたい。

Q:「やさしい日本語」やピクトグラムを活用した情報伝達が検討できないか?

A:緊急速報メールを配信するときに、できるだけやさしい言葉を使うように心がけている。わかりやすさと文章量のバランスをとりながら、引き続き伝わりやすい文章づくりを心がけていきたい。
また、避難所の表示板を一新して整備する事業を進めている。
緊急避難場所や避難場所であることをピクトグラムを使って掲載し、災害種別もピクトグラムで示したり、分かりやすい説明を加えるなど工夫をしていきたい。

4.長周期地震動対策について

Q:東日本大震災において、首都圏や大阪湾岸、市役所においても大きな揺れが観測され、長周期地震動がその原因の1つといわれているが、昨年12月に内閣府が公表した「南海トラフ巨大地震の長周期地震動に関する報告書」では、神戸市においても長周期地震動が発生する可能性が高いと指摘をされている。
ビル内では背の高い家具が転倒したり滑りやすい家具が移動するなど、家具等による被害の可能性も十分に考えられ、その対策として家具の固定の推進、エレベーターの閉じ込め対策、マンション・ビル内での備蓄といったことが必要である。
こういった高層ビルに入居する住民や企業への周知を図っていくべきと考えるが?

A:家具固定の取り組みを推進するため、高齢者や小学生以下の子どもがいる世帯等に家具を固定し取り付けする費用の一部を補助する「家具固定補助制度」を設けている。
また、まちづくり協議会やマンション管理組合等の地域団体に、家具固定の専門員を派遣し、一定の実費負担により家具固定を行う「家具固定専門員派遣制度」も実施している。
これらの制度を活用して家具固定の推進に取り組んでいきたい。
エレベーターの閉じ込め事故は、東日本大震災やそれ以降の各地での地震でも頻発しており、エレベーターの安全性が危惧されている。
建築基準法が改正され、法改正後に設置・更新されたエレベーターについては安全基準に適合しているが、既存のエレベーターについては出来るだけ早い段階での改修が望まれている。
そこで、マンション等を対象にエレベーターの防災対策改修工事に対する補助制度を設け、改修を促している。
高層ビルに入居する住民や企業への防災対策の周知に関しては、消防法で一定規模以上の建物については防火管理者を選任し、訓練の実施が義務付けられている。
その消防訓練を行う際に、企業側、高層ビル等の事業者の要望に応じて消防職員が立ち会っており、その際に火災事例を踏まえた防火指導とともに、「職場を守る防災マニュアル」という冊子を配布している。
このマニュアルの中には、職場の防災対策として、色々な器具の転倒防止を図っているかなどのチェック項目、また什器等の転倒防止例も記載されている。
また、万が一に備えた職場の役割分担として、非常食や毛布、医薬品等を含む防災用品の備蓄についても呼びかけている。
このマニュアルなどを活用し、災害対応力の強化や、防災意識の啓発に取り組んでいく。高層ビルに入居する事業者についても、このような冊子を参考にしながら、防災対策に取り組んでいただきたい。
今後もそれぞれの取り組みや、色々な補助制度の周知を図っていくことにより、高層ビルに入居する住民や企業への周知を図っていきたい。

Q:高層マンションでエレベーターやライフラインが止まってしまうという事態も予想されることから、マンションの管理組合、特に高層のマンションの支援を考えるべきでは?

A:東灘区役所で、マンション内でのコミュニティづくりをテーマとした「マンションセミナー」やコミュニティづくりに取り組むマンションに対して必要な支援を行う「オトナリ・コミュニティ支援事業」を展開しており、その中でマンションで行われる防災訓練などへの支援も行っている。
また、タワーマンションが非常に多い中央区役所では、実態調査でマンション居住者や管理組合、管理会社共に防災への関心が非常に高いことが分かったことを受け、来年度から「防災」を切り口にコミュニティ形成を図るとともに、地域防災力の向上に資する事業を実施する。
具体的には、大規模集合住宅、マンションを対象とし、管理組合等における防災マニュアルの作成支援のため、アドバイザーの派遣を行う。
さらに管理組合のコミュニティ形成に向け、防災訓練等の取り組みへの支援を実施していくなど、防災力の向上とコミュニティ形成に合わせた支援をしていく取り組みが始まる。
これらの取り組みについて、危機管理室としても、「すまいるネット」や区・消防局と連携しながら支援をしていきたい。

5.防災啓発について

Q:阪神・淡路大震災から21年が経過し、震災を知る方々は年々減っていき、数年後には震災を経験していない若者が被災者を上回るのは確実であるが、十分に若者への防災意識が高まっているとは言い難い。
各団体と連携し、もう少し計画性をもった防災啓発活動を展開すべきでは?

A:震災をきっかけとして、防災福祉コミュニティを中心とした地域活動や、NPO、大学による防災啓発活動、学校でも防災教育カリキュラムとして特徴ある取り組みを実施している。
当室でも若者の取り組みを支援しており、例えば、地元メディアである神戸新聞社と協働で、大学生が中心となり災害への備えの大切さを訴えていく「117KOBE防災マスタープロジェクト」を展開している。
特に今年度は、避難所体験キャンプの開催や、シェイクアウト訓練のPR動画作成、震災21年でのツイッターによる発信など、積極的に参加をしていただいた。
また、神戸学院大学の女子学生が「防災女子」というサークルを結成し、「防災女子会」や「非常食アレンジコンテスト」などを開催している。
こうした活動を活性化させ、計画的に推進していくため、来年度は、各主体のキーマンを集め、検討会を開催する。
それぞれの主体の強みをうまく組み合わせることで、活動に継続性や広がりが見せられるよう、神戸らしい防災啓発活動の展開について検討していきたい。

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