三流読書人

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ドングリ小屋住人 

ジャンクフードを食べてなさい

2005年12月27日 15時41分55秒 | 教育 
 薄目の出汁を、たっぷりと張った鉄鍋の中へ、太兵衛が持ってきた大根を切り入れ、これがふつふつと煮えたぎっていた。
「さ、おあがんなさい」
「これは、これは・・・・・」
「その小皿にとって、この粉山椒をふったがよい」
「こうしたらよいので?」
「さよう、さ、おあがり」
ふうふういいながら、大根を頬張った太兵衛が、
「こりゃあ、うまい」
嘆声を発したのへ、小兵衛が、
「そりゃあ、平内さん。大根がよいのだ。だから、そのまま、こうして食べるのが、いちばん、うまいのじゃ」

 これは、池波正太郎『剣客商売』シリーズの『天魔』のなか、「約束金二十両」に出てくる。池波正太郎得意の食の描写である。
 友人に、見事な大根を二本いただいた。
 さて、どうして食べようか。
 マクドナルドもケンタッキーフライドチキンもアメリカ産輸入牛肉も絶対食うものか。

 「若いときはさておき、人間も六十に近くなると、大根の滋味がわかるようになってきて、その旨さから片時もはなれることができなくなってしまうのだ」
とは、池波正太郎の言である。


   

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