鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

森 wood ともりもり戻る would :掛けことば(GLASS3-18)

2008-04-14 22:44:45 | Weblog
 アリスは列車の旅を3の目の領域でのんびりしているわけにいかないので列車に乗る以前の場所に戻りたい。「私はさっきまで森にいたわ。そこに戻れたらなあと思うわ」 I was in a wood just now. I wish I could get back there! と彼女は言う。小さな声が「そこでしゃれが言えるね」と発言。「戻れるものならもりもり戻る you would if you could といった具合に」と。ここでは 森 wood ともりもり戻る would が掛けことばとなっている。(日本語ではうまく掛けことばにならないが・・・・)

列車が止まるたびに帰りの切符をもらう:進んだ距離だけ戻るための切符(GLASS3-17)

2008-04-14 22:18:26 | Weblog
 白い紙でできた服を着た紳士がアリスにささやく。「乗客たちが何といおうと気にすることはない。列車が止まるたびに帰りの切符をもらえばいいんだから!」と。この紳士はなぜこんなことを言ったのだろうか?アリスに列車を引っ張らせるのはひどいし、またアリスを小荷物や郵便や電文にして送り返すのもひどいと思ったのだろう。しかし紳士の発言にも問題がある。①そもそもが列車が止まるたびに帰りの切符をもらえるというのは本当のことだろうか。うそかもしれない。また②なぜ帰りの切符を列車が止まるたびにもらわなければならないのか。その帰りの切符はおそらく進んだ距離だけ戻るための切符である。このような切符の場合には列車が止まるたびに帰りの切符をもらわないと出発地に帰れないのである。さて紳士の発言に対しアリスは癇癪を起こす。「そんなこといやです!」「だいたいからここで列車の旅をしているわけにはいかないんです」と。アリスにとって重要なことは3の目からさらに先に進み早く女王になることである。3の目の領域でいつまでも列車の旅行をしているわけにはいかないのである。

切符を持たないアリス ①送り返される、②列車を引っ張る、③列車を追う (GLASS3-16)

2008-04-14 00:32:14 | Weblog
 アリスについての乗客たちの発言が続く。アリスを小荷物でも郵便でもなく、「電信で電文として送るべきだ」と誰かが言う。ここまでは列車に乗ってアリスが旅を続けることは無理だろう、だから送り返すべきだとの立場からの発言である。小荷物か郵便か電信かの意見の違いである。
 ところが次に全く別の立場からの発言がある。「この子が残りの行程ずっと自分で列車を引っ張るべきだ!」と。なぜこの発言が出てきたのだろうか。アリスが切符を持っていないことに注目すれば、彼女には列車に乗る権利がない。
 ここからアリスに関する選択肢がいくつか可能である。ひとつは①アリスを乗車地に送り返すこと。これが今まで話題になっていた。
 今あらたに示された選択肢はまた違うものである。②アリスが自分で列車を引っ張れば切符がなくても列車とともに旅することができるというのである。しかしこれはひどすぎる発言である。アリスは列車に乗る権利がないだけであって、だから列車から降りさえすれば問題は解決する。彼女が列車を引っ張る理由は何もない。もちろん彼女が列車とともに行きたいというのであれば列車を引っ張るという方法もありえないわけではない。
 しかし乗客たちの発言にはなかったが、③切符がないなら列車を追ってアリスが走るという選択肢も可能である。この方法なら、ひどいということはない。もちろん列車を追い続けることができるかどうかは別問題である。アリスは一人とぼとぼ線路を歩き続けることになるかもしれない。