息子が、面白いものを作っています。
きっかけは、有名なボードゲームでした。
ルーレットを回して、誕生からスタートして、入学、進学、就職・・・と、人生を辿っていく、あのゲームです。
ドル札がたくさん集まったり、引かれていったり。
ずっと前から玩具屋さんで見かけて気になっていた息子、
お小遣いを貯めて、先日ようやく購入。
嬉しそうに抱えて帰ってきたのですが・・・。
その夜。
ゲームを終え、しばらく黙っていた息子は、涙をポロポロ。
勝ったのは息子。
たくさん儲けてゴールした息子。
わたしは債権を何枚も持ったままの惨敗。
それなのに、泣く息子。
泣きながら、言いました。
「ぼくはママを助けたかった。でも、それをできる仕組みがなかった。こういうものだとは思わなかった。お金がいっぱいあっても、全然嬉しくない。」
どんどん集まるドル札に喜んで、仮想の人生を楽しんでいければいいのでしょうけれど、それができないのが息子らしいところです。
生きにくいことでしょう。
これまでも、これからも。
でも、そのままでいいと思っています。
そういう風に物事を感じる人にこそ、できることがあるから。
とっておきの役割が。
実際に、息子は、それに取りかかっています。
このゲームの内容もルールも舞台も、みんな変えてしまうのです。
時は江戸に設定。
盤面に大きな白い紙をかぶせ、ルーレットはそのまま使えるようにします。
マスもコースも自由に描いていきます。
マスの中には、自分で考えた楽しい内容を書き込んでいきます。
お金の増減がメインではなくなります。
お金も使いますが、
「ぼくは日本人だから」
と、小判や一文銭などを手作り。
建物も、プラスチックのものは取り外し、自分で工作をして配置していきます。
ちょっと、工作現場を覗いてみましょう。
まずは、駒が面白いですよ。
歴史人物です。
こちらはオモテ。
こちらはウラ。
坂本龍馬もいるし、卑弥呼もいるし、聖徳太子もいますね。
舞台は江戸時代だけど、人物は日本史全般から選ばれたようです。
そして、凝っているのが、建物。
こちらは奉行所。
お奉行さまが飛び出していますね。
写真では中がよく見えませんが、畳や障子が描かれています。
しかも、お奉行さまの脇差し、抜けるんです。
こちらも力作。
宿屋です。
提灯がゆらゆら。
煙突もあります。
のれんをくぐると、女中さん。
奥には番頭さんのような人もいます。
畳や襖も作ってあります。
これから、お城や、峠、関所なども作るんだそうです。
盤面は、大きな紙がどんどん付け足され、広がっています。
隣の部屋まで飛び出しそう。
わからないところは、歴史の本や図鑑を開き、正確に作っています。
このゲームの本来の使い方ではないので、作られた会社のみなさまには、すみません。
ですが、このゲームに出会ったおかげで、息子に、こんなに楽しい計画がもたらされました。
そういった意味で、わたしはとても感謝しています。
楽しそうに歌いながら作業する息子。
見せてあげたい人がたくさんいるそうです。
どんな世界になるかしら。
この冬のたのしみが、またひとつ、増えました。