むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

キキョウ:桔梗(よく分かる雄性先熟)

2013-06-18 17:28:56 | 日記
秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花(万葉集・巻八 1537)
萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志(をみなへし) また藤袴 朝貌の花(万葉集・巻八 1538)
と山上憶良が詠った秋の七草のうちの“朝貌の花”は、異説もありますが、キキョウ:桔梗(キキョウ科キキョウ属)であるといわれています。
そのキキョウが、夏もこれからというのにもう青紫色の花をつけています。
キキョウは自家受粉裂けるために、雄性先熟という方法をとっており、花を覗くと誰にでもよく分かる形になっています。
咲き始めの花では、雄蕊が雌蕊の花柱にぴったりと張り付いて黄色の花粉を出しています(写真①)。

花粉を花柱に生えた毛に渡してしまうと、雄蕊は花柱から離れ、
しおれて花の底に横たわります(写真②)。

ハナバチなどが筒の底に下りて雄蕊のドームの下にある蜜を吸いますが、このとき花粉をべったりとつけた花柱に触れ、花粉をほかの花に運んでゆきます。花粉がなくなったころ、花柱の先端が5つに裂けて柱頭が現れ(写真③)今度は運ばれてきた花粉を受け取るという寸法です。

おなじキキョウ科のホタルブクロも同じ雄性先熟ですが、こちらの雄性期はまだ蕾の内部で花粉を雌蕊の毛に渡してしまうので、キキョウのように雄性期の様子を外から見ることができません。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿