むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

チングルマ:稚児車(立山の花③) 

2016-07-23 15:26:18 | 植物観察記録

7月中旬の立山の花で目立つのは圧倒的にチングルマ:稚児車((バラ科チングルマ属)でした。
高山帯の日当たりがよく地下水の豊富な岩石地帯に生える高さ10cmくらいの匍匐性矮小低木で草ではなく、葉は束生し光沢があります。
古い牧野植物図鑑は「チングルマは稚児車の転化せしもの、稚児は其花容の小にして可憐なるより云ひ、車は其花弁の輸出して車状を呈するに基づく」といっているそうですが、最近の原色牧野植物大図鑑では、「和名は稚児車のなまったもので、輪状の果実を子供の玩具の稚児車に見立てたもの」としています。
弥陀ヶ原~天狗平~室堂に咲き乱れるチングルマは、開花したものが最も多く

花が散って紅色の花盤が出たもの、髭になる花柱はまだ伸びていない

花柱がのびて薄紅色の羽毛状になったものなどが混じって面白い景色となっていました。

立山では散る前に花弁が赤くなるアカバナチングルマというのがあると聞きましたが、見つかりませんでした。

このブログで4回目の登場となったチングルマは、黄色味を帯びる白色の五弁花、長い毛が風にそよぐ果実、(’11年8月1日記事)なかなか落葉せずいつまでも残る光沢ある紅葉(‘06年10月18日記事)、どうかすると冬まで残る白髭のような果実('08年10月21日記事)など、どの時期に見ても楽しめて、そのかわいい名前とともに、もっともポピュラーな高山植物といえます。