新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

チングルマ:稚児車(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑪)

2011-08-16 08:50:03 | お知らせ」


千畳敷カール一面を白く彩っているのがチングルマ:稚児車(バラ科チングルマ属)です。
高山帯の日当たりがよく地下水の豊富な岩石地帯に生える高さ10cmくらいの匍匐性矮小低木で草ではありません。
古い牧野植物図鑑は「チングルマは稚児車の転化せしもの、稚児は其花容の小にして可憐なるより云ひ、車は其花弁の輸出して車状を呈するに基づく」といっているそうですが、最近の原色牧野植物大図鑑では、「和名は稚児車のなまったもので、輪状の果実を子供の玩具の稚児車に見立てたもの」としています。
いずれにせよ、黄色実を帯びる白色の五弁花、長い毛が風にそよぐ果実、なかなか落葉せずいつまでも残る光沢ある紅葉(08年19月21日記事)など、どの時期に見ても楽しめるチングルマは、そのかわいい名前とともに、もっともポピュラーな高山植物の一つです。

そう果の先端に残る花柱は花のあと3㎝ほどにのび、紫褐色の絹毛が開いて羽毛状になり、独特の形になります。千畳敷カールでは、雪解けの早かったところでしょうか、すでに長くのびた羽毛状の果実ができていました。写真のように花柱は最初よじれていますが、次第にほぐれて風に乗って飛んでゆきます。

チシマギキョウ:千島桔梗(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑩)

2011-08-15 07:11:49 | お知らせ」


八丁坂上部に咲くチシマギキョウ:千島桔梗(キキョウ科ホタルブクロ属)は、本州中部以北、北海道の高山帯の岩礫地を好んで生える多年草です。
根茎は細長く横にはい、高さは5~10cm、根ぎわから数枚出る葉はへら型で、ふちには低くて粗い鋸歯があります。
夏、高さ5~10㎝の花茎を出し、濃青紫色の1花を横向きにつけます。花冠は3㎝内外で、先端は5裂し、内面には白い長毛があります。シロバナノチシマギキョウもあります。
よく似た植物で、ほぼ同地域に生えるイワギキョウは花が上向きで、内面は無毛です。

イワツメクサ:岩嶺爪草(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑨)

2011-08-14 06:34:04 | お知らせ」

木曽駒ヶ岳八丁坂の岩の間で、イワツメクサ:岩爪草(ナデシコ科ハコベ属)の白い花が露を含んで風に震えていました。
本州の高山帯の砂礫地や岩礫地に生える多年草で、高さ10~20㎝、よく分枝してマット状に広がります。葉は対生し、幅1~2㎜の線形で1脈がありほとんど無毛です。
花は茎の先に1~8個つき、白色で直径約1.5㎝、花弁は5個で長さ7~8㎜、深く2裂し10弁に見えます。
ツメクサの名がありますが、同じナデシコ科でもツメクサ属ではなく、ハコベ属に入ります。

タカネグンナイグウロ:高嶺郡内風露(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑧)

2011-08-13 08:15:00 | お知らせ」

千畳敷カールのところどころに濃い紫色のタカネグンナイグウロ:高嶺郡内風露(フウロソウ科フウロソウ属)がさいていました。
和名の郡内は、母種が昔山梨県にある郡内という地方で見つけられたことにより、その高山種ということでタカネがついています。
関東地方の北部から中部地方の亜高山帯の草地に生える多年草で、高さは30~50㎝茎と葉柄には長い毛があります。
花はグンナイフウロ(07年7月30日記事)よりも大きく、色も濃い紅紫色で、直径2.5~3㎝、花柄、萼片には下向きの屈毛とか開出する腺毛が密生します。花弁は倒卵形で、基部近くにに白い軟毛があります。
風と露の字は季節感にあふれた涼やかな名前ですが、由来は定かではなく、茶の湯の風炉のように、3方がふさがって一方だけが開けるような場所によく生育するから風炉→風露となったという説もあります。
フウロソウ科は世界に11属約650種あるそうです。

ハクサンイチゲ:白山一華(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑦)

2011-08-12 06:50:08 | お知らせ」

駒ヶ岳へ八丁坂の登りにかかるあたりから、純白の花をつけたハクサンイチゲ:白山一華(キンポウゲ科イチリンソウ属)群落がガスの中に浮かんで見えてきました。
本州中部地方以北、北海道の高山帯の草原に生える多年草で、夏、総苞葉から数本の長柄をだし、各1花を開きます。2cmぐらい、花弁は退化し、花弁状の5個の白い萼片がありあります。
初め加賀の白山で見られたのでこの名がありますが、高山植物の中でも最も多く見られるものの一つで各地で見られます。
たしか礼文島で見たのを“むかご”で取り上げたはずと調べましたら、そちらのは同じ仲間でもエゾノハクサンイチゲ:蝦夷の白山一華という品種でした(07年6月6日記事)。葉の終裂片が尖らず、花柄もあまり長くないところがハクサンイチゲと異なっています。
双方の写真を比べると明らかに違うことがよくわかります


オオバタケシマラン:大葉竹縞蘭(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑥)

2011-08-11 07:23:13 | お知らせ」

駒ヶ岳への八丁坂沿いにオオバタケシマラン:大葉竹縞蘭(ユリ科タケシマラン属)が、縞模様のある広幅の葉の裏に白い花をつり下げていました。
北海道と本州中部地方以北の亜高山帯の林内に生える高さ0.5~1mの多年草で、葉の長さ3~10cm、幅1~1.5cmの卵形で、基部で茎を抱きます。
花柄の途中に関節がありここで捩れて下向きに花をつけますが、赤く熟す果実もそのまま柄の途中で90度に折れ曲がって吊り下がります。(05年9月9日記事)
夏が短い信州の花紀行、高度差や雪融けの状況によって、花が咲いていると思えば、実になっているのものがあったりします。仲間のタケシマランは、少し低い八千穂高原ではもう真っ赤な果実をつけていました。

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ウラジロナナカマド:裏白七竈(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑤)

2011-08-10 07:38:12 | お知らせ」

秋の千畳敷カールの宣伝ポスターを彩るのは多くは真っ赤に燃えるウラジロナナカマド:裏白七竈(バラ科ナナカマド属)です。6種類ほどあるというナナカマドの仲間で、高山帯に生えるのは、このウラジロナナカマドとタカネナナカマドの2種とされています。
高山帯に生える落葉低木で、奇数羽状複葉の葉の中ほどが大形で、小葉の上半分にだけ鋸歯があるのが特徴です。葉の裏面は粉白色で、和名の由来となっています。
花期は夏、花軸は無毛で滑らか、径約1㎝の白い5弁花をつけ、果実は梨果で径約1㎝、赤く熟します。
ナナカマドの名前の由来は、大変燃えにくくて、7回窯に入れてやっと燃えるからとか、炭を焼くときに、燃えにくいので7日間炭焼き窯に入れておく必要があるとか、諸説ありますが、ほかの木と比べてもそれほどの差はなかったという実験結果もあるそうです。
ところで、地元ガイドブックによると、ポスターのような見事な紅葉は、毎年見られるものではなく、数年に一回の天候などの条件がそろう年に限られるそうです。紅葉の千畳敷カールを見るには、しっかりした情報収集が必要なようです。

ウラシマツツジ:裏縞躑躅(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳④)

2011-08-09 10:39:15 | お知らせ」

ウラシマツツジ:裏縞躑躅(ツツジ科ウラシマツツジ属)は、高山帯の岩石地に生える落葉矮小低木で、茎は細く先で分枝し、高さ3~6㎝で地中を長くはって繁殖します。
長さ3~6㎝の葉は光沢があり、はっきりした葉脈はくぼみます。名前は葉裏に縞模様の網目があることからきています。
初夏、ふつう葉が伸びる前に淡黄色の壺形の花をつけますが、ここではまだ花が残っていました。秋になれば真っ赤に紅葉するという縞模様の葉の縁は、すでに紅色をさしています。

ウサギギク:兎菊(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳②)

2011-08-08 14:46:17 | お知らせ」

北海道と中部地方以北の高山の適度に湿った草地に生える多年草のウサギギク:兎菊(キク科ウサギギク属)は、対生する厚みのある葉をウサギの耳に見立てこの名があります。
高さは15~30㎝、全体に毛があり、頭花は黄色で直径約4㎝、茎の先に1個つきます。
黄色の舌状花にぐるりと囲まれた頭花の形から、キングルマ:金車の別名があります。
数多い高山植物のキク科の中では見分けやすく覚えやすい品種です。

アオノツガザクラ:青の栂桜(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳①)

2011-08-07 17:17:54 | お知らせ」

7月25日、中央アルプス駒ヶ岳ロープウエイで、約千畳敷から浄土乗越までの道筋の高山植物を愉しみました。(「むかごの高槻7月31日記事」)
岩の間にアオノツガザクラ:青の栂桜(ツツジ科ツガザクラ属)が咲いています。
黄色の花柄と萼、わずかに緑色をおびた白色の花は、口をぎゅっと絞ったような壺形で、スズランを思わせる可憐さです。名前の由来である、ツガに似た濃い緑の細い線形の葉もこの白い花を引き立たせています。
高山帯の草地や岩礫地に生える常緑の低木で、日本の代表的な高山植物の一つで、しばしば雪田周辺にカーペット状の群落をつくります。
いくつかあるツガザクラの仲間は、雑種を作りやすく2種以上生えているところではほとんど例外なく自然雑種がみられるといいますが、みたところ、ここのアオノツガザクラは純粋性を保っているように思えます。
果実

雪解けを待って順次花をつけるので、別の場所ではすでに果実になっていました。花は下向きですが、果実は上向きです。

カラマツ:落葉松・唐松(信州花紀行・霧ヶ峰から八島湿原⑪)

2011-08-06 17:02:23 | お知らせ」


「からまつの林を過ぎて
からまつをしみじみと見き  
 からまつはさびしかりけり 
たびゆくはさびしかりけり」
と白秋がうたったカラマツ:落葉松:唐松(マツ科カラマツ属)の林が八島湿原の周遊路のすぐ外側に広がっています。
日本特産の落葉高木であるカラマツは、天然分布は比較的限られていますが、広く植林されているため、自生かどうか不明のものが多いといいます。ここのカラマツ林は、戦後地元の森林組合の手で植林されたものとききました。どうりで一帯の草原風景とは異質なものになっていて、白秋の情緒は感じ取れません。
<葉は2~3㎝の線形で束になってつき、雌雄同株で花期は4~5月、雄花は4㎜程の黄色の卵形で下向きにつき、雌花は長さ1㎝ほどの薄紅色の卵形上向きまたはやや横向きにつきます。球果は直径約2㎝、長さ2~3.5㎝で開花した年の秋に熟します/font>

ノリウツギ:糊空木(信州花紀行・霧ヶ峰から八島湿原⑩)

2011-08-05 06:25:24 | お知らせ」

八島湿原の八島ケ池を背景にしたノリウツギ:糊空木(ユキノシタ科アジサイ属)です。
九州から北海道まで広く分布し、関西でもごく身近で見ることができるノリウツギですが、地域の高山植物の図鑑にも必ずといってよいほど取り上げられていることから、亜高山地帯に多いのかもしれません。
山野の日当たりのよい、やや湿気の多い土地に生える落葉低木で、高さは2~4m、7~8月円錐状の花序を立て、小さな両性花多数と4個の花弁状萼片からなる装飾花をつけます。
ノリウツギの名は、樹皮からとった粘液を紙漉きのときの糊料にしたことからきていますが、北海道や東北地方ではサビタの名で通っています。アイヌの人がこの根で作ったというサビタのパイプは、使い込んで飴色に成ったものなどは、美しくて、愛煙家に珍重されるそうです。

ミヤマセンキュウ?:深山川弓(信州花紀行・霧ヶ峰から八島湿原⑨)

2011-08-04 17:35:23 | お知らせ」

セリ科の植物はどれも同じような形で、私のような素人にとって見分けは容易ではなく、写真は撮ってみても、このブログに登場させることはあまりありません。
車山で見たこのセリ科のこの花も同じことですが、葉の切れ込みが狭くシダっぽいとの説明を見てミヤマセンキュウ:深山川弓(セリ科ミヤマセンキュウ属)ではないかと、とり上げました。
もしそれならば、「茎は中空で直立し、上部は分枝して、高さは40-80cmになる。葉は2-3回3出羽状複葉になり、小葉や裂片は深く切れ込み、葉の先端は細まって尾状に伸びる。茎につく葉は互生し、葉柄の下部が鞘状に膨らむ。花期は8-9月。茎頂か、分枝した先端に径6-10cmの複散形花序をつける。」となります。
ちなみに種小名の filicinum は、「シダ状の」を意味し、葉がシダ植物の葉の切れ込みに似ていることによるそうです。

ホソバノキリンソウ:細葉の麒麟草(信州花紀行・霧ヶ峰から八島湿原⑧)

2011-08-03 07:31:05 | お知らせ」

信州で見かけたキリンソウは、現地の図鑑ではホソバノキリンソウ:麒麟草(ベンケイソウ科キリンソウ属)とありました。別名にナガバノキリンソウ、ヤマキリンソウがあります。
キリンソウの葉は上半分に鋸歯があるのに対して、こちらのホソバノキリンソウは、楕円形の葉の下半分にも鋸歯があることが違います。一般にキリンソウは、生育している環境や地域によって丈や葉の幅などに変化が多いといいます。
以前とりあげた伊吹山頂のキリンソウの写真を見ると(09年8月20日記事)たしかに鋸歯の付き方が異なっています。5月~8月、茎頭に3出の集散花序をつけ、5弁の黄色い花を多数つけます。和名は黄色い花が輪状に咲くから黄輪草の名がついたといわれますが、むしろ麒麟草と書くことが多いようです。

コウリンカ:紅輪花(信州花紀行・霧ヶ峰から八島湿原⑦)

2011-08-02 07:43:15 | お知らせ」

霧ヶ峰の草原のなかで、遠目にもよく目だつオレンジ色の花がコウリンカ:紅輪花(キク科キオン属、またはサワギク属)です。
日当たりのよい山地の草原に生える多年草で、高さは50~60cm、茎の上部には綿毛が多く下の方は紫色を帯びて角ばります。
7~9月、茎の先に5~13個の頭花をやや散形状につけます。頭花の直径は3~4㎝、オレンジ色の舌状花は細く、はじめ水平に伸び、長く伸びてくると下に垂れます。
和名の紅輪花は花の色と車状につく舌状花の形にちなみます。