前回記事のゴウソ:郷麻の名前が意味不明と書きましたが、その隣に生えていたアゼナルコ:畦鳴子(カヤツリグサ科スゲ属)は、垂れ下がった小穂を鳴子に見立てたという名前の由来はすんなり入ってくるものの、さてその鳴子は?となると近頃はほとんど現物を目にすることはないようです。
鳴子は、穀物を野鳥の食害から守るため、鳥を追い払う目的で使われてきた道具で、木の板に数本の竹筒や木片を糸で吊るしたものを、田畑の中に設置し、木の板には長い縄をつけて、家や樹木の陰などまで引き、この縄を田畑と離れたところにいる人間が引くと、竹筒や木片が木の板に当たって音が鳴り、この音で害鳥を脅かして追い払うという、いかにも牧歌的な仕掛けです。
アゼナルコは田の畔などの湿地に生える高さは40~80㎝の多年草で、茎は鋭い3稜形、葉は幅0.4~1㎝の線形、根元の葉は茶褐色の葉鞘だけになります。
小穂は4~6個つき長さ3~6㎝の円柱形、頂小穂は上部に雌花、下部に雄花がつき、雌花だけつく小穂もあります。