へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

須庭寺の災難

2010-03-21 23:59:06 | へちま細太郎
藤川だ~。 彼岸だあ~。

というわけで、俺とけんちゃんと、いやだけどのぶちゃんとで、須庭寺に泊まり込みで酒のみに行った。 藤川家の法要があるんだが、しらふででられっか。
んで、本堂の本尊おいてある須弥壇の裏の部屋(その昔住職のお籠り部屋だったらしい)に隠れて副住職のヤンキーおやじも含めて酒をかっくらっていたら、何やら物音がする。
「なんだ?」
ヤンキーおやじは須弥壇の下にあたる部分のところにある引き戸を開け、中に潜り込んだ。
「なんだこりゃ」
二人は初めてみるしかけに驚いている。
「驚くのはまだ早い」
俺はヤンキーおやじが仏像の中で立ち上がる姿を確認すると、
「本尊の中は空洞なんだ」
と二人に教えた。
「だって、重要文化財だろ」
のぶちゃんは慌てたが、
「そんなもんこんなところに置いておくかよ」
という俺の言葉にへえ、とこの唐変木には珍しく素直に頷いた。
「おい、泥棒だ」
と仏像からヤンキーおやじの声がする。
「ついにきたか、お宝泥棒が」
「盗みに入る寺、間違ってねえか」
俺はヤンキーおやじの隣から須弥壇の下に潜り込んで、本堂の様子を伺うと、 3人組の怪しい男が慣れたように忍び込んでいる。その中のボスらしき男が、
「間違うな、真ん中が重要文化財、奥の厨子の中が国宝の千手観音だ」
と、指図していた。
「わかってる」
こそこそ話すやつらの背後に、須弥壇の下からはい出したけんちゃんとのぶちゃんが回り込むのが見えた。
「喧嘩慣れしてねえのに大丈夫か、あいつら」
ヤンキーおやじが心配そうに声をかけてきたが、
「生徒をブチまわしているんだ、いないよりはマシだろ」
と俺は答えた。
「よっしゃ行くか」
ヤンキーおやじは仏像を跳ね上げ、
「仏罰っ
と叫び、仏像に手をかけていた泥棒を仰天させた。
「なんだっ
「だれだっ
「だれだとは、こっちのセリフだっ
ヤンキーおやじはいきなり泥棒の胸倉を掴むなり、
「仏像を盗むとは罰当たりなやつらめっ
と頬を2、3発ぶちかまし、須弥壇から投げ飛ばした。
「うわっ
慌てたほかの泥棒が逃げ出そうとしたが、
「逃げ切れるか、ばか野郎
とけんちゃんのサッカー仕込みの蹴りとのぶちゃんの頭突きをかまされて、あっという間にダウン。
「俺の出番ねえな」
と文句を言いながら須弥壇からはい出してみた途端、ひょっこり仲間が外から顔を出した。
「何かあったのか」
ばかだ、こいつら。
俺は泥棒めがけて、
「こんなことだあ
ととび蹴りをかまして、
「てめえ、ここをどこだと思ってたんだっ
と馬乗りになって頬にげんこつをおみまいしてやった。
「すいませんすいません」
と、泥棒は謝ってきたが、
「謝ってすむなら仏罰はあたらねえ」
というヤンキーおやじの一喝にめをむいてしまった。
根性のすわらねえ泥棒だぜ。
物足りなかったぜ、ばかやろう。

親戚の親戚は…みな親戚

2010-03-16 23:28:23 | へちま細太郎
「おれのひいじいさんのじいさんが手を出した女は、やがてじいさんの子を生んだ」
「ご落胤か」
「隠し子か」
「隠してねえよ」
「続きを早く言え」
「じいさんの子は、女の子だった。京都で生まれたから…」
「京子なんて言うなよ」
「ばあか、ありきたりに京子だ」
「ちぇっ」
「続き続き」
「で、その京子の母親は祇園の芸妓だ」
「おおっ」
「いいねいいね」
「その芸妓はじいさんと別れたあと…」
「なんだ、捨てたのか」
「違う、京を離れていたあとに誰ぞが手を出したんだ」
「誰なんだ?」
「不届き者だな」
「それはなあ~っ」
と、藤川先生が言った時だった。
3月なのに4月みたいな陽気の今日、ヒヤッとした空気が部屋に流れこんできた。こ、この気配は…。
「すまんのぉ、拙者じゃ」
「ひぇぇぇ
と、鳥羽伏見のおじさんだ~っ。
「いや、めんどうみろと殿に命じられていたのではあったが…」
ぼやけていたおじさんの姿が、だんだん現れてきた。
「私寂しいの、なんて言われるとなあ」
と、頭をかく。
「そういうわけでな、拙者の子の一人は一応藤川家とは間接的には縁続きだ」
「ひぇぇぇ
とんだ親戚だよ~。
へちま細太郎でした。
しかし、よく成敗されなかったな

親戚の親戚の…?

2010-03-15 22:14:42 | へちま細太郎
「おれのひいじいさんのおやじは、幕末に京都にいて、とある女に手を出した」
「ほぉ」
「その女のばあさんのだんなの妹が嫁いだ先のおばの隣の家の2階から見えたのが、寺田屋だ」
「ああ?」
「なに?」
「だから…え?手を出した女の…なんだってえ?」
「私のともだちのともだちは…みなともだち」
バカタレっ!! どっかの総理の弟じゃないんだから…。
へちま細太郎でした

嫌みかっ

2010-03-12 22:45:49 | へちま細太郎
ピカイチです。

細太郎が、チョコをプレゼントしてくれた女の子リストを見ている。
「何でそんなもの作ってんだ」
「だって、お返しするのに便利じゃないか」
「(-.-;)」
細太郎は、ノートをめくる。
「おまえ、いつからそんなもの作ってんだ?」
俺がノートをとろうと手を差し出したら、いきなり叩いきやがった。
「プライバシーの侵害だ」
ガーン…
「ほ、ほそたろぉ~」
呆れた視線を向けた細太郎が、
「小4からのべ50人は軽く越えてるよ」
と、言い捨てて部屋から出て行ってしまった。
「軽く50人だあ~?」
何て野郎だっ
くそ、子供のくせに生意気だ。
親の顔が見たいぞっ
あ、俺か…