へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

藤川家の分家?

2010-03-25 23:28:39 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

今日の部活は大学の卒業式なのでおやすみ。先生たちが、みんな出席のためなんだって。
今日はあまりの寒さにこたつの中に潜り込んで、おばあちゃんと一緒にテレビを見ていた。 もうすぐ3歳になる菜々子はリカのそばでお人形遊びをし、リカも菜々子を娘のように思っているらしく、おとなしく寄り添っていた。
おばあちゃんは、
「全くBSは通販か韓流ばっかりだ」
とぶつぶつ。
「おばあちゃん、珍しく嫌いだもんね、よんさま」
「どこがいいんだかわからん」
「わしもわからん」
と、いきなり鎧甲のおじさんが登場した。
「おや、お久しぶり」おばあちゃんがおきあがって、
「お茶のむ?」
と聞いた。
「熱いほうじ茶を頼む」
「はいはい」
おばあちゃんが極上の一保堂のほうじ茶を用意すると、
「茶は、まだまだ貴重品ゆえの」
と、鎌倉時代にはなかなか飲めなかったお茶をおいしそうに飲む。
「わしは“イ・サン”が好きじゃの、名君の話はよい」
「もしかして、“龍馬伝”見てるでしょ」
「見てるぞ、いいのぉ、岩崎弥太郎」
「ああ、やっぱり?」
おばあちゃんと鎧甲のおじさんが盛り上がっている。
おじさん、相変わらず楽しそうだな。
「今度また芝居をやるゆえ、見に来て欲しい」
と、チケットを何枚か置いた。
「1枚いくら?」
おばあちゃんが聞くと、
「心配はいらん、今回は藤川家の分家がスポンサーになっておる」
と、手を振った。
「藤川家の分家?」
いやな予感…。
「まさか、お坊さん姉弟?」
「一番上の姉の方な。分家の当主も物好きでな、尼殿の話を聞いて資金を出してくれた」
「まだ兄弟がいたの?」
と、あの須庭寺の副住職の顔を思い出した。
「尼殿の姉上が婿をとったらしい、これがまた筋金入りの変人だ」
ぼくはおばあちゃんと顔を見合わせた。
変人…、そりゃそうだろな、と納得したような気がした。
今度、会いに行ってみようっと。