へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

開幕戦の開幕戦

2010-03-24 22:57:53 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

雨が降っていた今日、中島教授は怒っていた。
「明日は大学の卒業式だ」
だから、それが何で怒る理由になるんだ~。
「明日も雨だからだ」
(-.-;)
何、考えてんだ、この人。
「しかも、冷えて腰が痛い」
タコ壺保健室は、書類まとめの大掃除中で、通りかかったぼくらは手伝わされていた。
「おまえらも難儀だな」
だから、何だってんだよ~、ハロゲンヒーターの前であったまってんなよ~。
「やかましいな、このくそオヤジ」
匿名希望の東山先生が、作業の手を止めて中島教授を睨んだ。意にかえさない中島教授は、
「そうそう、阪神の岩田が戦線離脱だそうだな、今季絶望だな」
と、パソコンのニュースを読みながら意地悪く笑った。
匿名希望の東山先生の顔が引き攣った。
「逃げた方がよくね?」
先輩が囁くと、ぼくたちも顔を見合わせて頷いた。そして、匿名希望の東山先生の右手が、応援バットをつかもうと動いたとき、ぼくらは一目散に保健室を飛び出した。途端に中から、関西弁と江戸前の言葉が、今日の雨のように降りかかってきた。
「ここ、保健室だよなあ」
「逆に病気になっちゃうよ」
懲りない人たちだなあ。
というわけで、セ・リーグの開幕まであと少し。伝統の阪神・巨人戦は、田舎の学校の保健室でその前哨戦がきっておとされたのだ。
ほんと、しゃあねえなあ