こんばんはへちま細太郎です。
野球の何とかっていうの…プレミア12とか何とかっていうの、負けちゃったね。
大谷すげえな、という印象しかない。
「本命なしの野球だしな、勝ったって意味ねえよ」
たかのりは、今回は前田・大谷以外投げる時は見ていない。メジャー出てないからつまんないんだとさ。
「何読んでんだ?」
と、さっきから熱心に本と格闘している。
「本棚からみつけた」
と、ページをめくる。
「すげえぞ、が弟ナイフで刺されるんだ」
「は?」
「で、ナイフを引き抜く」
「うわ、やだ、なんだそれ」
「高瀬舟」
「は?」
「去年上本に散々叱られながら勉強したんだけど」
「叱られたって…」
俺は呆れて、それまではるみとメールしていた携帯を放り投げた。
「この分だけ聞きゃあさ、サスペンスだべ?」
文芸作品に対してなんてことを…。
「な、森鴎外って医者だったんだよな」
たかのりは、本を閉じてテーブルに置くと、
「やっぱ医学部受けねえ?」
と真剣な目を向けてきた。
「できることならこの時代に戻ってさ、こいつら助けてやりてえ」
マジか、たかのり…。
「おまえ、じいさん、医者なんだろ?なってみたいとかおもわねえの?」
「あったことのないやつなんざ、知らん」
「そんなもんか」
たかのりはため息をつくと、
「なんかよ~、いい作品ってのは、人生変えるくらいグサッとささるんだよなあ」
と、がらにもない発言をして突っ伏した。
そんなもんか…そんなもんかだよな。
あ~あ、はるみに会いたいなあ。