へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

人呼んでバカヤロー

2008-05-28 20:48:49 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

スイミングスクールに、キチローという変な名前の見栄っ張りなやつがいる。国立大の付属小学校の同じ6年生なんだけど、運動神経も性格も顔も体型も悪い。
「キミたちは受験するの?ボクはさあ、付属小だろう?このまま付属中に行ってもかまわないんだけど、実は孟宗学園中も魅力的なんだよね」
何のためにスイミングスクールに通っているんだかわからない、小学生にしてみれば出っ張ったお腹が、めざわり。
「キミたち、美都2小だろ?ボクはさあ、付属にいかなかったら、美都3小だったんだよ」
誰も聞いていないのに、ベラベラよく喋る喋る。
「で、小耳に挟んだんだけど、キミたち孟宗学園受けるんだって?ボク、キミたちとだったらいい友達になれそうだと思うんだ。だから、考えてやってもいいかな、孟宗学園を受けるのを」
ボクたちも小耳に挟んで知っている。ちょっと勉強できるからといって、先生からえこひいきされてみんなに威張り散らして嫌われているってことを。
「受験するなら一緒に勉強してやってもいいけど」
ボクたちは、いじめは基本的に好きじゃないけど(女子には別)、こいつだけはがまんできなかった。とうとうたかのり君が、
「てめえなんか、バカヤローだ」
と、怒鳴りつけてしまった。 キチローはとたんに口をつぐんだけど、それからずっとぼくらのそばにくっついていた。
はるみの方がマシかもなあ、と不覚にも思えてしまった。