へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

凶暴な鶏より性格が悪いやつ

2008-01-16 22:27:36 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

学校の動物小屋にいる鶏のコケ吉は、とても凶暴です。だから僕たちは密かにコケ吉を、
「はるみ」
と呼んでいました。まさにコケ吉とはるみちゃんは、兄弟のようによく似ています。
そういえば、はるみちゃんの妹のなつみという子を、さらだ先生が担任しているそうですが、かなり激怒しています。
「食い過ぎで休んだまんま学校に出てくんな」
と、文句を言っているのを聞いたことがあります。 姉妹でお腹をこわしたんだね、食べ過ぎで…。
性格もここまで悪くてジコチューだと、何とも表現のしようがないので、コケ吉を陰ながら「はるみ」と呼んでいるわけです。
放課後、コケ吉を相手に遊んでいると、必ずはるみちゃんがじゃまをしにきます。
 「よくコケ吉なんかと遊んでいるわよね、こんな性格の悪い鶏なんかオスで卵も産まないんだし、みんなで食べちゃえば」
「おまえ、ほんとやな女だよな
たかのり君がムカついて、おりの外にいたはるみちゃんにわらをつかんで投げつけました。
「何すんのよっ
はるみちゃんはわらをはたき落としながら、僕たちに向かって、
「そんなにコケ吉がいいのなら一緒に住めばいいでしょ」
とぷんぷん怒り、小屋のかぎを締めてしまいました。
「へえんだ、鶏頭」
そう言い捨てて、帰ってしまいました。
「このバカはるみ
みんなで怒鳴りましたが、あとも振り返りません。
「ほんと、性格悪いよね、でもバカだよね」
しんいち君は笑いながら、つながっているうさぎのおりに移動して、そっちから出て行きました。そういえば、ぼくとしんいち君はうさぎの方から入ってきたんだっけ。
「はっ、コケ吉はあんなバカよりマシだあ」
たかのり君はコケ吉を抱きあげると、なんとコケ吉はおとなしくしているではありませんか。 コケ吉はじっとして目をつぶっています。
「もしかして、言葉がわかったのかもねえ」
たかひろ君が頭をなぜなぜしても、気持ちよさそうにしていました。
コケ吉、ぼくらだって、コケ吉の気持ちくらいはわかっているつもりだからね。食べたりしないから安心してよ。
それにしても、なんて性格が悪いバカ女なんだよ~。

コメント
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