へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

困った人たちだ

2006-06-16 21:23:47 | ひるまのもめごと

梅雨よりもうっとおしいのは、ふった女に、
「何で?どこがだめなの?私のこと、もう好きじゃないの?友達のままじゃだめ?」と、泣きながらすがりつかれることだと、友達に聞いて初めて知った。
自分は純情だな、と思う俺の名はけんちゃん、彼女募集中。



「中島教授は、つまり面食いじゃなく、心の清い衣笠米穀店の当時娘だった彼女より、その学長の娘…つまり今の奥さんを選んだんですよね。さっき、見合いしたって自分から言ってましたから」
白いやつの言葉に、モノは言いようってやつか、と見れば、2個めのアイスのふたをなめながら、スプーンで大学の方をさしている。
下品なやつだ。
「じゃあ、教授はその学長の娘さんには、何にも言えずじまいの片思い?」
東山先生は、白いやつからアイスのふたを奪い取る。
「いいや、悪いが手をつけた。中島なんぞに先をこされるぐらいなら、やったもん勝ちだ
「…
全員、声も出ず。
「ざまあみろって、そん時は思ったぞ。結婚式の前夜まで、やっちまってたからな」



唖然、呆然ったあ、このことだ。あきれて二の句も告げない。
「まさか、結婚後もやってたの?
「まあな
片山教授は、バカ笑いをして鼻を人差し指で得意気にかいた
おいおい勘弁してくれ。俺たちはこんな不道徳な人間に、カウンセリングを頼んでいるのか、と思うと泣けてきた。
「まさか、中島教授の一番上の息子さんて、教授の子供だったりして
白いやつが、冗談でも聞けないようなことを平気で聞いた。
時々、辛辣なことを言うんだよな。
なんなんだ、こいつは。
教授はツルリと顔を撫でると、
「男の俺に聞いたってわかるわけないじゃないか。そんなことは、女だってわからんだろ?」
答えを東山先生の方に振ったが、彼女がそんなことに答えるわけなかろーが。案の定、
「私に聞いても無駄ですが
と意地の悪い声で返された。これじゃあ、セクハラおやじだ。
が、教授はそれにはかまわずに、
「だとしても、だ。俺の息子があいつの稼ぎで育っているのかと思うと、愉快じゃないか」
と、またバカ笑いした。
「中島教授がかわいそう…」
東山先生が言えば、
「あいつだって、他人のことは言えないんだからな」
と、ふんと勝ち誇ったような表情を見せた。
「え?」
俺たちは、再び顔を見合わせた。いやあな予感がする。
「あいつだってな、男だぞ、何がプラトニックだ、清純だ。やることはやってたんだからな
げっ、まさか…。
「あいつが何でこの大学の教授になったと思う?衣笠米穀店の女房が近くにいたからだよ。俺はわかるぞ、あそこのうちの旦那は病弱なんだからな
…って、え?
「あそこんちは5人も子供がいるだろ。うち、何人かはあいつの子供だ」
ひえぇぇ
俺はバンザイ、東山先生は顔を覆い、白いやつは口はあんぐり、目をパチクリ。
「まさか、のぶちゃんの見合い相手って…
答える代わりに、教授はにやあ、と笑った。
考えたくない、考えたくない
と、俺は、ハタっと気がついた。
「まさか、のぶちゃん、このことを…」
「さあなあ、もし誰かに聞かされたら、別だけどな」
のぶちゃんがこのことを知ったら、絶対ブチ切れるぞ。
何となく、ことの成り行きが見えてきて、のぶちゃんの現在を思やると悲しくなってきた。

情けないから、つづく 。。。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする