へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

愛しき君の名は

2006-06-06 23:43:44 | ひるまのもめごと
花はやっぱり外見だと認識する、独身貴族の俺の名前はけんちゃんだ。

彼女が欲しい…

「うげえええええっ
俺たちに向けられた植木鉢に植えられたモノは、小豆色赤紫色を混ぜたような何ともいえないような色をしていた。中央部が白く外に広がっていくにつれて黄緑がかってきている。が、それも小豆色赤紫色が混ざったような色が花びらから流れ落ちてくるような模様で毒されていた。袋は薄い小豆色で、入り口がひだひだで覆われている。絶対に、虫を食っていそうな袋と色だ。花びらの周囲は濃い黄緑。左右にのびた花びらは細く妙に縮れながら30cmは垂れ下がっていた。そんな花びらがいくつもいくつもついていた。
「パフィオ・ペディルム・ペンダントグッズというベトナム産の珍種を改良したものだ」
※こんな種類はありません。あしからずm(_ _)m
「蘭のパフィオ属はだいたい東南アジアから中国にかけて多い。ベトナム産なんかいいのがあるんだけどね。今は原種を採ることは禁止されているから、こういう珍種は実に貴重なものなんだ」
中島教授はそう説明すると、やおら花のひとつを手に取り、キスをした。 俺たちは口を覆って思わず顔を背けてしまった。
衣笠米穀店の奥様の顔を思い浮かべながら…
「でででで、で、のぶちゃんはそれからどうしたんですか?」
まだ花びらをちゅうちゅうしている中島教授に、やっとのことで尋ねると、
「さんざん脅かしたら、あの男、衣笠米穀店まで謝りに行く、と言って慌てて飛び出して行ったよ」
中島教授は、俺たちのことは忘れたようにパフィオなんたらに頬をすり寄せている。「愛しき初恋の君、面影を宿した愛する花よ、ああ小百合」
俺たちははじかれたように教授を振り返ったが、妖怪に出会ったような不気味さを覚えて、何も言わずに温室を飛び出した。

カンベンしてくれ~っ

つづく
コメント
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