◇ 先生の講話
1.個人別指導
「新しい年の指導は、各人のレベルに合わせて次を重点に行う。各人もこれに応じてさらなる練習努力に励むように。また臨書については、楷書、行書として今年は各々何を選ぶかなど、体系的時系列的視点に立って取り組むように。」とのお話があった。
八段以上 | ・条幅の臨書に重きをおく。 | |
六段以上 | ・半紙の規定課題の字は自分で書くこと(先生のお手本なし)。 ・臨書を勉強し「形臨」から「意臨」にまで進む努力を望む。 | |
三段以上 | ・毎月1回 条幅を書き提出すること。 | |
初段以上 | ・半紙に楷書はもとより行書、草書も書けるように努力する。 ・行書、草書は意識的に実線、虚線、太線、細線、裏筆の使い方の勉強。 | |
段の前の人 | ・線の引き方、点画の基本。 ・たとえば漢字の 「一」と 単なる横の「一」との違い。漢字の「一」は曲がるが横の「一」は真直ぐである。練習方法としては半紙一枚に 横線を10個位 同じ太さで同じ長さで引くとよい。 ・偏と旁のある文字は墨を途中でつけずに一筆で書く。 |
2.かすれ線について
かすれ線の引き方にもいろいろある。
- 墨の量が多くついた筆でも早く引けばかすれた線を引くことができる。
- (ティッシュなどで)墨を落とし平均した速さで引く。
- 始めから筆を割って穂先だけでそっと引く。
- 割筆で荒っぽく筆に力を加え押しながら引く。
3.升色紙(今回でかなの勉強は終わる。)
升色紙はかな書の名品の一つ。字は良く、散らし方等工夫されたすぐれた書跡。藤原行成筆と伝えられているが、藤原行成の書跡とは認めがたい。時代考証から、行成の孫伊房の時代の書とみられる。
◇ 実技指導
- かすれ線のお手本にて実演。
- なお、墨の量を多くして早く引くことで力強く威勢の良い線が引ける。展覧会などでは評価される。
◇ その他
お稽古終了後、先生を囲み忘年会を和気藹々と行った。一年間の墨の垢を落とすと共に来年も元気で挑戦する意気込みが自然と飲む方にも力が入った感があるものの一年間の幕を無事しめた。
(出席者 9名。見学者1名)(因泥 記)