日比谷同友会 書道愛好会

日比谷同友会 サークル活動

第100回例会(平成25年7月25日)

2013年08月19日 | 例会報告

 今回の例会は、書道愛好会が平成17年2月17日に発足して以来7年5ヵ月となり、節目となる第100回目の例会となった。

◇ 先生の講話

1.草書への変化

 草書は隷書から生じた。「行書をさらに崩したものが草書」なのではない。篆書体の文字の書くスピードを上げるために隷書体が生じた。これが段々に略されて草書体になった。一方行書は楷書のいくつかの点画を続けて書いたもの。したがって同じ字でも楷書と隷書の字形の違いから、行書と草書では字形も似ていず筆順も違うものがある。具体的に「成」、「足」の行書体と草書体の字形の違い、筆順の違いなどが由来を追って説明された。また字典で草書の元字を探すことが無理との説明もあった。

2.結構

 「結構」はひとつひとつの文字の形。例えば「等」の「寺」は菱形◇に収める。「方」は三角▽の中に入れる。「呂」の第4画の縦棒は楷書行書ではノの形に払うのに対し隷書ではまっすぐ下に引く。「月」の字は楷書行書では左の縦画が右の縦画より長く書くが隷書では逆に右の縦画の方が長い。ひらがなでも「ま」は縦長に、「や」は横長に書く。印刷書体につられて四角□の中に入れがちだが筆字の場合はそうしないように。

3.練習、作品作りの上での留意点

・全体に字が紙に対し大き過ぎる
・墨つき字/かすれ字、大きい字/小さい字、太い線/細い線、字と字の間隔の広い/狭いなど美的センスからうまく工夫するのがよい
・落款は本文よりも少し崩した気楽な字を書くのがよい
・目一杯、自分の実力を出す方が作品展としてはよい
など、全体に共通する注意点を指摘されたのち、七段~8級にわたるメンバーに対し、その段級位に応じて個人ごとに今後の取り組みについてアドバイスされた。

4.「高野切(こうやきれ)」について

 「切(きれ)」とは巻物だった和歌集、漢詩集などの一部を切り取ったもの。これを掛け軸に仕立てるなどして書作品として鑑賞した。「高野切」は古今集を書写した巻子本の切で、古今集を書写したものの中で最も古く、書道の手本として尊重されている。一部が高野山にあったことからその名がついたが、高野山に関係がないものでも同類とみられるものも含めて高野切と呼ばれるようになった。現在、全20巻あったうちの9巻が残っている。この20巻を3人の筆者が手分けして書写したものとみられ、それぞれ第一種、第二種、第三種に分類されている。第一種(巻一、九、二十)のかなは字形が端正でのびやか、漢字は藤原行成の書風に似ている。第二種(巻二、三、五、八)の漢字は平等院鳳凰堂色紙形に似ている。筆者は源兼行と推定されている。第三種(巻十八、十九)のかなは三種中最も洗練され優れている。

◇ 実技指導

 7月の規定課題「等偃玄風於」および各自の随意課題作品について、長時間にわたり朱書きによる懇切丁寧な添削指導が行われた。

◇ 配布資料

・「高野切」伝紀貫之筆(国宝) 蔵個人他

 例会終了後場所をニュートーキョーに移し講師を含む出席者全員で暑気払いを行った。書道についての会話以外に趣味や人生観などにも話題が及び、和気あいあいのうちに楽しい会はお開きとなった。

(出席者10名)(荻野 記)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする