日比谷同友会 書道愛好会

日比谷同友会 サークル活動

第122回例会(平成26年7月17日)

2014年07月27日 | 例会報告

◇ 愛好会の運営について

  • 検定に備えて
     行書、草書に力を入れるようになると、楷書が少しおかしくなることがあるので、気を付けてほしい。前回配布したお手本や以前配布した運筆の動画(DVD)をみて、特に不得手なところを中心に勉強してほしい。
     三田さんが墨心7月号に特選になったのは、楷書のポイントになるところをよく勉強されているからだと思われる。
  • 新会員
     滝口さんが2回目の見学に来られ、入会されることとなった。先生から早速実技指導を受け、また会則や学習方法等について説明を受けた。

◇ 先生の講話

1.「永」字八法 その3

  三画目の縦画。
起筆、運筆、収筆について、それぞれ次のような筆運びをする。

  • 起筆

    図1

    図2
    45°の方向から筆を滑走するように入筆。ただし筆を起こさないでそのまま下へ引いてしまうと、たて画の形ができない(くぼみができない。図2)。

    図3

    図4

    図5
    筆を起こし、穂先(○のところ図3)を動かさずに下に回して(図4)引くと、くぼみができる(図5)。
  • 運筆
    線を引くのは、手首でなく腕で引き、身体ごと動かす。
    同じ幅ではなく、途中が膨らむエンタシス型を覚えると高等戦術として使える。
  • 収筆
    A 筆を抜く、B 筆を止める、の2通りの収筆がある。
    A 筆を抜く収筆
    図6

    図7
    収筆部分まで腕で引いてきて、そのあと手首で抜く(図6、7)。
    B 筆を止める収筆
    (その1)

    図8

    図9
    筆を上に浮かせて、穂先をそのまま少し左に動かし、斜め下に入れて、上に抜く(図8)。くぼみができる(図9)。
    B 筆を止める収筆
    (その2)

    図10
    図8と逆に、穂先を右下から左斜め上げ、やや右に入れて止める(図10)。出来上がった形は上記と同じ(図9)。

縦画の筆運びについて、各自の筆を持つ手に師匠が手を添えての実技指導があった。

2.国字について
  • 中国、韓半島から渡ってきた文字ではなく、日本で造られた漢字。
  • 大漢和辞典(諸橋轍次著 15巻セット)の発刊当時、国字141字が掲載されていた(働 畑 匁 峠 込 搾 塀 枠 躾  など)。
  • 中国漢字との違い
    ・辻(国字) … 中国漢字では「行」。
    ・卡と圷  似た文字だが全く異なる。
     卡(中国漢字):中国語で意味のない文字。音だけ “カ”。
     圷(国字):アクツ。低い土地の意味。
  • 日本の国字が中国で同じ意味で使われるようになったケースもある。

◇ 実技指導

各人の課題作品、秋の作品展作品に関して熱心な個別指導が行われた。

(参加者 9名)(香村 記)

例会終了後都内某所にて暑気払いを行いました。

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第121回例会(平成26年7月3日)

2014年07月26日 | 例会報告

◇ 運筆参考資料の配布

  • 先生から基本ができていないという言葉が聞かれる。
    過去に配布した資料を持っていない希望者に配布することとなった。
  • YouTubeで中国の書家の運筆の動画を見ると参考になる。

◇ 先生の講話

1.楷書
  • これまで甲骨文字誕生以来の字体の変遷、具体的には篆書、隷書、草書、行書、楷書について説明してきたが、楷書は他の字体との関わりの幅が広い。楷書は4世紀から5世紀ごろまでに一応の完成を見るが、その間に「六朝楷書」が発展した。
    註 六朝時代の楷書:中国のいわゆる南北朝時代(南朝の宋、斎、梁、陳、北朝の呉、東晋の6王朝時代。5世紀前半から6世紀末まで。)に発達した独自の楷書体の総称。
  • 楷書については、王羲之はじめ、欧陽諄、虞世南などが、つとに有名だが、オーソドックスな楷書とは違い、ごつごつした特徴を持ち、楷書の起源となった書体の一つである六朝楷書について、先生が半紙に臨書した作品と他楷書を比較して説明した。
    表  楷書の書体の比較   (1)~(3)が六朝楷書
    (1)
    爨宝子碑(さんぼうしひ)

    四角に収めるのが特徴で、隷書に近い。当時の君は2画目の横画が左右に張り出していた。
    (2)
    龍門二十品中(始平公造像記)

    筆を入れたらすぐ立てる。最後は右下へ引き抜く。展覧会では評価が高い。
    (3)
    張猛龍碑

    中心がずれても平気で書かれている。
    (4)
    王羲之(楽毅論)

    きれいな字だが形が四角形ではない。
    (5)
    鄭道昭の下碑

    柔らかい線。当時の美:羊が大でなく、羊を火で焼く<美味(びみ)>。
    (6)
    顔真卿(願氏家廟碑上)

    右払いの払い方に特徴(段差をつけて払う)。
    余り真似をしない。
    (7)
    猪遂良(雁塔聖教序)

    行書風楷書でやわらか。二度書きしてあるところもある。
    (8)
    元新成妻李氏墓銘碑

    隷書風、行書に近い。偏の行人偏は草書風。
  • 文字は、時代によって変わる。
  • 日本では王羲之を勉強した人が多い。
2.落款
  • 因泥さんのお手本に落款として「朱王山人」と書いたら、ご本人から「山人」の分“号”が追加になったのかという質問を受けたので説明する。
  • 号の追加ではなく、○○書(“かく”と読む)  ○○臨  のように書くのと同様の意味で、格好良く書く落款の一つ。(臨:100%形臨の場合に用いる。)
  • 山、水 などを使う用例
     山   : 山人 樵夫 樵客
     水   : 釣徒 漁史
     その他 : 仙人 道人 逸人
3.作品の作成
  • 下手でも一生懸命
  • 努力と忍耐
  • 他人がみるのだからうまく書く ことではなく、感動(懸命さや努力)が伝わればよい
  • アンバランスの美を考える
     ・余白 カスレ 太い 細い
     ・面白さがあると良い
     ・単純なほど良い
  • 3行の条幅では 40文字ほどが書きやすい。
4.その他

 先生が読売展に出した作品の下書き(2尺-8尺のサイズ)を掲出し、作品作りのポイントを説明。

  • 約80文字書いてあるが、1・4行目は小さ目の文字(字数多)、2・3行目は大き目の文字(字数少)。
  • 偏と旁をわざと少しはなす。
  • カスレをどこにするか。

◇ 実技指導

 各人課題、秋の作品展作品について個別指導が行われた。

(参加者 8名)(香村 記)


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