日比谷同友会 書道愛好会

日比谷同友会 サークル活動

第97回例会(平成25年6月6日)

2013年06月16日 | 例会報告

◇ 先生の講話

1.永字八法の書き方(第5画の左払い)

 前回説明した通り、左払いには直線左払い(掠:りゃく)と曲線左払い(啄:たく)がある。第5画の左払いは啄。啄は、掠のように起筆で入れた筆を一旦しっかり止めてからそれを起こして左下へ運ぶのでなく、起筆は軽く入りそのままスッと左下に向かわせる。したがって起筆下部のコブが掠ほどには出ない。
 これを基本にして筆の動きはやはり8通りほどのバリエーションがある。
 (注:点画の名称については下の「永字八法図」をご参照下さい。)

永字八法図
(出典:書法入門シリーズ4「楷書入門」、マール社、寥蘊玉編著・桃山艸介訳)

2.手本について

 墨心誌にあるお手本を真似する必要はない。真似するための手本としては歴代の書家の書から選んで臨書することがベスト。臨書には二通りある。一つ目は、先ずお手本の上に半紙を載せ、字形の輪郭(中心線)を書いてからそれに沿って筆を走らせる。二つ目は最初から手本を見て、そのとおりに筆を走らせる(運筆する)。六段ぐらいの人が臨書するにふさわしい手本は「明末清初」の書。王羲之や顔真卿の書は左右対称のきれいに整った字形であるが、明末清初の字形はアンバランスであることが特徴。

3.草書の字形について

 草書の字形は行書をさらに崩したものではなく、篆書の書き方から来たものとして、行書とは筆順や字形の違う「書」、「幸」、「隹」、「草」などを例に、草書体の字を白板に書いて説明された。
 また併せてひらがなについて、特に「お」、「か」、「ち」、「ひ」などを筆で書く場合の字形は印刷活字の字形とは大分異なるので注意するように、との説明があった。

◇ 実技指導

 6月の規定課題「祭酒楊師道」および各自の随意課題作品について、長時間にわたり朱書きによる懇切丁寧な添削指導が行われた。

◇ 配布資料

・「永字八法」各字画の毛筆字形表
・かなの字源表
・ひらがな50音字の毛筆お手本

(出席者8名)(荻野 記)


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第96回例会(平成25年5月16日)

2013年06月13日 | 例会報告

◇ 先生の講話

1.3月検定の報告

3月検定で三田さんと森さんが入段を果たされ、それぞれ富岳、三景という雅号を付与された。またそれ以外の受験者も全員昇段した。これとは別に鉄門社展で谷田貝さんが佳作入選された。

2.『白楽天詩巻』(藤原行成筆、国宝、東京国立博物館蔵)について

『白楽天詩巻』は白楽天(居易。772~846)の『白子文集』のなかの詩を書いた巻子の中の一つである。平安時代に『白楽天詩巻』は、藤原行成(972~1027)が写本したもので、王羲之(草書・行書の確立)の字に近く、藤原行成の真跡であると明確な書籍であり、和様の完成として特別に有名である。

3.永字八法の書き方(その⑤-第4画の左払い)

左払いには「直線左払い」と「曲線左払い」の2種類がある。第4画の左払いは直線左払い(掠(りゃく)という)。
①45°に入った筆を立てて線の太さを決める
②筆の進む方向に穂先を向けて
③同じ太さ、同じ速さで直線を引く
④水平方向へ払う(丸みを帯びてもよい)
これを基本にして筆の動きは8通りほどのバリエーションがある。太く書きたい、細く書きたいなどそれぞれの場合に応じて書き分けられるようにしておくこと。

4.展覧会に使う字

「明末清初」という言葉がある。現代の展覧会で好んで使われるのは明末50年~清初50年頃に使われていた字体。アンバランスな字体である。代表的なのは蘇賦。

◇ 実技指導

6月の規定課題「由人也國子」及び各自随意課題作品について、長時間にわたり朱書きによる懇切丁寧な添削・指導が行われた。

(出席者9名))(後藤 記)


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