日比谷同友会 書道愛好会

日比谷同友会 サークル活動

第223回(平成31年4月18日)

2019年04月25日 | 例会報告

◆先生の講話

1.書体の変遷(その2)-楷書

①楷書の初期の書体は龍門碑(龍門石窟に刻まれた碑文。始平公造像記、牛橛造像記などがある)、張猛龍碑などに見られる。龍門碑、張猛龍碑の書体を図に示す。なお張猛龍碑の書体は、碧雲先生が六段当時に書かれた書作品(半紙)の中の1文字。

②その後王羲之、智永などを経て初唐の三大家(虞世南、欧陽詢、褚遂良)の頃に楷書体が完成する。これら書家の楷書は、それぞれの書家による特徴はあるもののいずれも「きれいな楷書」である。日本でこの頃書かれた「天平写経」はこれらの書体に倣った影響が現れている。その書体は暖かく柔らかい。

③中唐の頃に顔真卿が現れ、それまでの王羲之流とは異なる顔真卿流とも言うべき書法をものした。特徴は王羲之流が外側に払うのに対し、内側に取り込む書法(図参照)。

2.条幅作品の書き方

①字を並べただけでは書作品にならない。「見せ所」など自分なりの表現に工夫を凝らす必要がある。

②条幅の基本は、「上下のスペース」、「文字の中心」、「作品になっているか」の三つ。このうち前二つは指導できるが、三つ目の「作品になっているか」が大事。「私ならこう書く」という手本を書くことは出来るが、作者自身が自分流に何をどうしたいのか考えることが重要。

③それには、先ず「見せたい文字」を決める。そして次にその文字の横・上下の文字をどうするか、を考える。太い/細い、大きい/小さい、墨付け/かすれ字など強弱・緩急を付ける工夫が必要。

◆実技指導

今回は「中」、「由」、「花」の草書体で、筆を一旦止めるところ、走らせるところについて指導を受けた。またひらがなの「は」、「ほ」、「ま」、「よ」の最後の筆を返して丸く書く箇所の書き方の違いについて指導を受けた。

(出席者5名 荻野記)


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第222回(平成31年4月4日)

2019年04月25日 | 例会報告

◆先生の講話

1.新年度から、改めて書体の変遷について解説していく。今回は隷書体について。

2.隷書体は、その前代の篆書体の文字が複雑で書きにくかったのを、当時(秦~漢代)の文字を書く下級役人達がより実用的に書き易くしたもの。隷書の隷は奴隷の隷でもある。

3.現代,目にすることのできる隷書体の作例は次のようなものがある。

①木簡

②隷書で刻された石碑。曹全碑、禮器碑が代表的。ほかに張遷碑、史晨碑、孔宙碑、乙瑛(いつえい)碑、尹宙(いんちゅう)碑、爨宝子(さんほうし)碑などがある。

4.隷書の文字は主として木簡に書く必要から横長なのが特徴。隷書の代表格である曹全碑も、線が細く横長になっている。

5.時折縦長に書かれた隷書体文字もある。漢民族以外の吏員が書いたものか。また後代には線の太いもの、縦長のもの、不格好のものも見受けられる。地方で残っている碑なども同様。爨宝子碑の字形を図に示す。(注:爨宝子碑の書体は楷書に分類されることもある。)

◆実技指導

新年度から、教室で実際に筆を持って字の書き方について指導されることとなった。今回は「出来」の草書体、「の」の連続書き、の筆使いについて、各人の手を取っての熱心な指導があった。「の」の連続書きは右図のお手本を参考に「の」の字を連続的に書くもの。

(出席者6名 荻野記)


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