霜恋路日記

【しもこいじにっき】
ロマンチックな名前「恋路」という場所においての出来事です。これは正真正銘本当の地名です。

近代建築・県庁&議事堂

2007-07-03 18:04:22 | 歴史/古文書
 近代建築物というと、築後50年以上たっていること。明治以降の建築物であること。産業、行政、銀行、通信、土木などあらゆる分野におけるものというらしい。山口県庁は福岡県庁、山形県庁と同じ時期に立てられたものである。山形県庁と山口県庁議事堂は同時に国の文化財に指定されている。この二つの特徴はルネッサンス風ということである。

 特に山口県庁は明治44年12月に設計が完了しその設計にかかわった人は大蔵省営繕建築技師妻木頼黄・・・辰野金五のライバル、日本橋、横浜赤レンガの設計など官庁営繕のボス。武田五一・・・東大卒、欧米派遣歴あり、京都工芸高校教授、大蔵省臨時建築技師。大熊喜邦・・・現在の国会議事堂を設計。の3人が携わる。当時一流の設計チームであった。

 建物の特徴としてはルネッサンス様式が基調にあるが柱はインドの様式のもの室内はウイーンの様式などいろいろと冒険的な様式を取り入れており帝国議会議事堂を作る試作的意味合いもあったと看過されている。

 特に武田五一のヨーロッパへ派遣された時の学んだ様式が随所に見られて特色が出ている。他方日本様式も武田五一は採用しており錦帯橋のギボウシもデザインしており県会議堂の階段にもそれらしきギボウシが使われている。岩国の錦帯橋南の臥龍橋も設計している。

 身近な近代建築遺産として昭和46年ごろ私見としても現状保存をしてもらいたいものだとある機関紙の表紙に山口県庁のスケッチとコメントを載せたこともあるそういった発信が効いてかどうかは別としてが今日まで残っているということは非常にうれしいことである。

 この建物は大正2年に着工し大正5年(1915)に完成した。今から92年前のことである。保存が決まってから鉄骨による耐震性が補強されたり修復されたりしている。しかし建物として長期保存の条件は耐震性である。耐震性が優れた建物が長く生きるということで。建物を選択する基準に耐震性が重要な選択肢となるであろう。

190701