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科学予測は8割はずれる―半日でわかる科学史入門

2012-07-07 21:27:21 | 書籍
科学予測は8割はずれる―半日でわかる科学史入門
理学博士でサイエンス作家の竹内薫氏の科学史と日本の科学についてを紹介する書。

目次は以下。

第1章 そもそも「科学」とは何か?―その起源と3大哲学者

第2章 科学と宗教は対立している、という「説」について―科学の“本当”のルネサンス

第3章 科学は爆発だ!―日本で科学が人気のない理由

第4章 ノーベル賞の世紀―相対性理論、量子論…現代に至る道すじ

第5章 なぜ科学技術は色あせたのか?―現在の「科学」の問題点

科学予測は8割はずれる(加藤茂生×廣野喜幸×竹内薫)

タイトルからすると、過去の科学の失敗や間違いを鋭くつく内容かと思いきや、古代ギリシャ時代からの科学の変遷や我々が知らない科学の歴史が主な内容。

欧米の科学は哲学から来ており、そこには神の存在あるのに対し、日本では明治時代に学問だけを輸入したため科学が身近なものではなくなってしまっていること。神の存在を意識した欧米では「基礎科学」に重点をおき、学問として扱う日本では「応用」を重視しているのが大きな違いであるとのこと。科学分野に限らず、よく聞く哲学思想の欠如があるのです。最近の大学では科学史の講義も削られて、よりいっそうその傾向が強いそうです。

神の自然法則に反して開発された原子力のため、大きな災害を引き起こした日本。また、過剰化していく科学技術に対しては、色々な議論があるのも事実です。但し、これからの科学の探究とその応用は不可欠。一時期に比べ、テレビ等で科学を扱う内容が減った気がするのは、科学=学問=難解の構図があるのは確かだと思います。理系出身の菅さんが総理大臣になったことが良い転換点になる可能性があったと思うのですが、原発の件で理系人の欠点をさらけ出したという皮肉な結果となってしまいました。

タイトルには拍子抜けでしたが、非常に面白く、かつ色々と考える内容の多い書でした。

他にも、ルネサンスはイスラム社会を起源としているとか、アルゴリズム、アルコール、アルジェブラなどに付く「アル」はアラビア語の冠詞でありイスラムの発明だとか、アインシュタインのノーベル賞は、委員会賛同を獲るため、実証が難しい相対性理論ではなく、保守的な(でも本人が嫌っていた)量子論で受賞した等々、面白いこぼれ話も沢山です。