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パオロ・マッツァーリノの日本史漫談

2011-11-14 00:45:02 | 書籍
パオロ・マッツァーリノの日本史漫談
パオロ・マッツァーリノ氏。書籍の経歴には、「自称イタリア生まれの30代。現在は千葉県民。 公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。 父は九州男児で国際スパイ(もしくはマクドナルドの店舗清掃員)、 母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、 本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。」とあります。最初、ダニエル・カールのような日本好きなガイジンかと思いましたが、読んでいくうちに分かり(プロフィールで気づけよ!)、戯作者なりのペンネームのようですが、ネットで検索する限り、まだ正体は判明していない模様です。

本書は日本史と言いながら、主に明治時代以降の近代史のうちの社会史、風俗を、膨大な量の書物と主に朝日・読売新聞のデータを元に、紹介及び分析をするものです。

構成は、
第1章 全裸のゆくえ
第2章 部屋と開襟シャツとわたし
第3章 絶えないものは、なんですか
第4章 名前をつけてやる
第5章 先生と呼ばないで
第6章 東京の牛
第7章 疑惑のニオイ
第8章 つゆだくの誠意と土下座カジュアル
第9章 戦前の一面広告
第10章 たとえ何度この世界が滅びよう と、僕はきみを離しはしない

4章では、明治以降の日本人の名前の移り変わりと、選択肢の中からしか名前を選べなかった欧州との比較。

6章では、明治時代まで搾乳にため、東京で牛がたくさん飼われていたこと。いまでも練馬に23区唯一の牧場があること。7章では、その日本の牛乳がなぜか不味いことを新聞記事を交えて面白おかしく(?)紹介。

8章では西洋は釈明、日本は謝罪の文化として、そのルーツを探るも、新聞記事を見る限り、歴史は意外と浅く、しかもマスコミによって扇動されている形跡がある。と

最後の10章では、350にも及ぶ、「亡国論」、「滅び論」を分析しながら、結局原爆を落とされたし、戦争に負けたけど、国は滅びなかったわけだし、国も地球もそう簡単に滅ばないのです。だから、まずは自分の身近なところ、大切な人達にために、少しでもよい毎日が訪れるように努力しましょう。と結ばれています。

国会図書館に通い、膨大な量の書物・新聞・雑誌を読み分析をしていて、本当に読むこととそれを表現することが何よりも好きなかたなのだと思います。

本人は当時の文章や社会、考え方を否定しないと言いながらも、やや小バカにした表現であること、身元を明かしてないことからもネットでは賛否両論大きく別れるようですが、それによりいろいろな議論が起きることが、氏の意図するところなのだと思います。

ただ、正体を明かさない上で、ペンネームでイタリア人(外国人)のような名を名乗るのはいかがかと思う。そこにも何かの意図があるのかもしれないが、それを分からない人がほとんどだろうし、読み終わってもイタリア人が書いていると思っているだろうし、日本の文化や大新聞社を小バカにしたような文章を書いている以上、イタリア人にとっても面白くないのでは?と思う。日本を憂うなら、日本人のペンネームの方が絶対にいいと思うけどな。