東京大学数物連携宇宙研究機構(IPMU)の初代機構長 村山 斉氏による素粒子物理学の入門書。入門書故、非常に解りやすい!と言いたいところですが、途中はちんぷんかんぷんで、脳が硬直化している証拠なのだと思います。ちなみに、大学時代、量子力学も電磁気学もなんとか単位をとりました...
さて、本題の素粒子物理学による宇宙の謎の解明。宇宙と言うこの世の中で一番大きいものと、素粒子という一番小さいもの。宇宙の大きさは、今のところ10の27乗メートル。現在観測できている素粒子であるクオークが10の-19乗メートル。仮説では「ひも理論」では10の-35乗メートル。よってこの両者の学問は対極にあると思いきやさにあらずだそうで、宇宙ができた137億年前のビッグバン直後、宇宙は小さく、まさに「素粒子の世界」であったと考えられており、よって素粒子を解明すれば、宇宙誕生やその変化、未来も解明できる。という仮説です。 著者は、そんな素粒子物理学を通して、「宇宙はどう始まったのだろうか」「宇宙は何でできているのだろうか」「宇宙の運命はどうなるのだろうか」「宇宙を動かす仕組みとは」、そして「この宇宙にどうして我々がいるのだろうか」という疑問に科学の力が迫って来ている様子を解りやすく(?)纏めています。
その歴史は、有名無名に拘わらず多くの先人達による、仮説と実証実験、観測の途方もない繰り返しであり、科学技術の進歩と努力の上に成り立っています。
とは言うものの、宇宙にも素粒子にもまだまだ解っていない現象が多く、その辻褄を合わせるための仮説というなの空想をまだまだ繰り返していて、世の天才たちが必死のなって議論し、その実証のために多くの時間とお金を使っているわけです。
例えば、宇宙の膨張はそのうち止まり、逆にしぼんでいくと考えられて居ましたが、最近の研究では膨張のスピードは加速しており、まだ解明されていない大きなエネルギー「暗黒エネルギー(dark energy)」なるものが、全宇宙の73%を占めているとか、クオークの持つ電荷は1/3とか2/3とか中途半端だったり。
科学が大躍進しても、まだまだ分からないことだらけで、私が生きているまではおろか、人類が生存している間でも、きっと全ては解明されないと思います。
手の届かない宇宙や目に見えない素粒子の研究をすることに否定的な人(特に文系の役人) は多いと思いますが、こう言った基礎研究にこそ日本人の強みが発揮できる分野である、生きていく道だと思います。それこそが、氏の言う経済的だけではなく、心、精神、文化も含めた豊かさの実現につながると思います。何度も消息不明になりながら、イトカワから生還したはやぶさを人生と照らし合わせ涙する日本人には、その豊かさがあるのだと思います。
また、かはく行こう。