ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ教授が、リーマンショックが勃発した理由とこれからの世界秩序について説いた著。氏は、「貧困の終焉」を著しジェフリー・サックス教授と同じく、今の行き過ぎたグローバル化、自由経済に対し、以前から危機を叫び続けていた方です。
ノーベル賞を受賞した大学教授が警告をしても止めることができなかった、サブプライムというアメリカによる全世界的な詐欺について解説されています。
経済的、教育的な格差が大きいというイメージのアメリカ人ですが、なぜこんなに多くの人がバンカー達にせっせと貢ぎ、世界中を不景気にもたらしてしまったのか、本当に疑問です。日本人だって、バブルに沸き、バカになっていた時代もありました。ただ、ここまで・・・と思ってしまうのが正直なところ。ただ、確かに本著にあるように、アメリカには常になんらかのバブルが続いており、1つのバブルがはじけれるとまた次のバブルと、バブルでバブルを隠してきたわけです。我々は日本人とは違って賢いんだと。ただ、ふくらみ過ぎたバブルはいつかははじけるということです。
金融関係者はもちろん、経済学者もFRBも主張した、資本主義の自律性は、全くの詭弁であり、不景気の間は政府支援という税金を使い、景気がよくなれば多額のボーナスをせしめてきたわけです。
そして、どんなに非難を受けようと、too big to failのキャッチコピーとロビー活動により、政府を骨抜きにし、ちゃっかりと生き抜いていきます。ほんとにあほなアメリカ人。そして、せせっとアメリカ国債を買い(買わされ)続ける世界の国々なのです。
本著は、その最終章のタイトル「新しい社会に向かって」の通り、新しい世界秩序の構築を説いています。今回の経済危機は法を破った人たちが原因ではありません。法の枠内で、人を欺く金融商品を産み出し、それを世界にばらまいた人たちが原因であり、そこが問題なのです。もし法を外れていれば、その多くは取り締まれるからです。
この危機を目の前にして、世界が目を覚まし、新しい世界秩序、先進国、開発国が共に成長できる世界経済を目指すべきであり、そのために何をしていくか。を訥々と説明をしています。そして最後に、「わたしたちが恐れる真の危険とは、これらの機会をつかみそこねることです」。と結んでいます。
歴史は繰り返されるわけであり、我々が歴史を学ぶのは、その出来事を分析し、過ちを犯さないためにすることが目的なわけです。テストでいい点数を取るためではありません。しかしながら、勝てば官軍、喉元過ぎればで、また世界が好景気になると、「我々は過去の人たちよりも優れている」と勘違いし、同じ過ちを繰り返してしまうものです。また、それを見透かした一部の賢い人たちが、大多数の庶民から、合法的にお金を吸い上げることでしょう。
そのことを自覚し、地道にこつこつと生きていくことが大切だと思いました。成長なしに生きては行けませんが、一足飛びの成長、つまり実態のない世界は、私には向いていないと思います。
時差ぼけなのかなんなのか、なんだか、いつもにも増して支離滅裂な文章になってしまいました。すみません。