hayashi5 blog

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貧困の終焉 - 2025年までに世界を変える

2009-03-04 23:19:40 | 書籍

Endofpoverty

ハーバード大教授のジェフリー・サックス(Jeffrey Sachs)さんの著書です。原題は、「End of Poverty - How We Can Make It Happen In Our Lifetime」。

1年前に購入しながら、なかなかまとまった時間が取れず(言い訳ですが)、読めなかったのですが、先日の出張移動中に読破できました。

ハーバードに籍に置きながら、中米、東欧、アジアの金融顧問に就き、その後、開発途上国支援のために発足した国連ミレニアム・プロジェクトのプロジェクト長を務めた方です。そのうちノーベル平和賞をもらうでしょう。きっと。

本著は、1) 地球中から貧困がなくならない理由を様々な途上国のケースを踏まえて説明し、2) 著者が経験した途上国の経済顧問の体験を語り、3) 今の世代ですべきことと出来ることを説明しています。

本著の主旨はずばり、『私たちは、人類史上初めて「貧困問題を解決できる可能性を手にした世代」なのである』。

ハードカバー、500ページを読破し、全編における率直な感想は、正直に言えば「奴隷貿易やインドをはじめとしたアジア諸国を食い物にした欧米諸国の責任放棄」ということに尽きます。

例えば、国連決議を経て決まった経済援助(それも、開発途上国からの要請額に難癖をつけて削りに削った額)が、アメリカを筆頭に(開発途上国政府のせいにして)実施されていないこと。

その上、払った援助金自体も、先進国に押し付けられた債務の返済に使われたり、技術支援という名目で先進国のコンサルに回ったりと、結局は先進国官民の利権に使われるだけという現実。

2002年、ドナー国(先進国)が拠出した760億ドルのうち、実際に最貧国政府にわたったのはたったの120億ドル。サハラ以南のアフリカ人へは一人当たりあったの12ドル(1日ではなく1年!)という額なのだそうです。

もちろんアメリカは、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が巨額の援助をしたりと、個人(大富豪)レベルでの援助はされていますが、それでもアフガンやイラクに巨額の軍事費(ここにも軍事産業の利権がからんでいます)をけずれば、もっともっと前向きで建設的な世界が作れるはず。

と、まぁ、動かなくい国々に対して、国連と民衆の力で働きかけ、みんなでわかちあって貧困をなくして行こうという夢のような話しなのです。

正直言えば、夢のような話で、貪欲な人間が少しばかり裕福になったからと言って、見ず知らずの聞いたことの無い国に金(税金)を出すかどうかは、甚だ疑問であり、おりからの金融危機がその風潮に拍車をかけていると思います。ただ、毎日の食べるものにも困り、起きてから寝るまで常に水汲みと薪拾いをしている人と、イギリスで見た公園で本を読みながら「仕事がありません。お金がありません。Help Me」というダンボールを立ててずっと座っている若者を比較すると、後者はあまりにもばかげていて、腹が立ちます。

正直、貧困は完全にはなくならないと思うし、悪いことをして私腹を肥やす人もいなくならないと思いますが、ただ、今の中国のように、個人が努力をすればそれなりに返ってくる世の中になればいいなと思うし、そのためには、個人でできること(ただお金を渡すだけではなく)を考えていく時期なのだと思います。

なんだから、ダラダラと書いてしまいましたが、それでも書ききれないことばかりです。3人の子どもの親として、たくさんの子どもが最低限の医療サービスを利用でき、最低限の教育が受かられる、そんな世界であって欲しいと思うし、いつかはそういう活動がしたいとずっと考えています。