韓国の今年度予算、わずか3カ月でピンチに
ペ・ソンギュ記者 , 宣政敏(ソン・ジョンミン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
予算がパンク
昨年末の予算案編成・審査で何が起きていたのか
韓国の2013年度予算に、施行からわずか3カ月で14兆ウォン(現在のレートで約1兆1900億円、以下同じ)台の穴があくという見込みが出ている。
このため、昨年末に韓国政府が行った予算案の編成および国会での予算審議は、全く不十分だったという批判が高まっている。
韓国政府と与党セヌリ党は無理な予算を組み、野党第1党の民主統合党(民主党)は「税収の過大推定」を批判していたものの、政治的に妥協した後は黙認してきたといわれている。
与野党は昨年末、国会の予算決算特別委員会で審査を行った際、成長率や税収の問題などをめぐって論戦を繰り広げた。韓国政府が「成長率4%」という見込みに基づいて予算案を組んだのに対し、野党は「2%台に変更すべき」と主張した。
与党内からも「成長率や税収を過度に高く見積もっているのではないか」という指摘が出た。すると韓国政府は「そういう可能性は全くないわけではない」と述べながらも、成長率4%に基づいた税収推定を変えることはなかった。
野党は再び「成長率が1%低下すれば、税収は2兆-3兆ウォン(約1700億-2540億円)減る。政府の税収推計は4兆-6兆ウォン(約3390億-5080億円)ほど過大」と批判した。
しかし韓国政府は「税収は弾力性が低く、成長率が落ちても大幅に減ることはない」と答えた。
産業銀行・企業銀行や仁川空港公社など公営企業の売却に伴う税外収入も、韓国政府は8兆ウォン(約6780億円)台と見積もったが、民主党は「公営企業の売却は容易ではなく、売却代金も過度に高く計算した」と批判した。
韓国政府は「両行は正常に売却が可能」と答弁し、売却代金7兆7500億ウォン(約6560億円)余りを予算に反映させた。
予算決算小委の民主党幹事を務める崔宰誠(チェ・ジェソン)議員は、当時「バブル予算を組んだ。増税は避けられない」と攻撃した。しかし韓国政府・与党は「増税なしに政策を推進できる」と主張した。
福祉・教育などいわゆる「朴槿恵(パク・クンヘ)公約予算」を反映させるため、ほかの予算を削ったことも問題になっている。
当時、セヌリ党は「赤字が出るとしても、公約に基づいて6兆ウォン台の予算を通過させたい」と主張した。これに野党側が反発すると、セヌリ党は「公約関連の予算は2兆4000億ウォン(約2000億円)程度だ」と語った。
また、セヌリ党は当初「国債発行も考えている」としていたが、朴大統領が「国債発行は最小限に」という方針を打ち出すと、急に「均衡基調の維持」論に戻った。
与野党は審査の最中、教育・福祉予算の増額競争も繰り広げた。このため、保育予算は2012年に比べ37%増の5兆6000億ウォン(約4700億円)、国の奨学金予算は5000億ウォン(約420億円)増の2兆2500億ウォン(約1900億円)となった。
イ・ヨン漢陽大学教授は「わずか3カ月で税収に6兆ウォンもの穴があくというのは極めて異例。朴大統領の公約と財政の健全性を守ろうとして、政府の支出は実際より少なく、収入は過大に見積もったようだ」と語った。