韓国の「隠密介入」に厳しいメッセージ
円高が修正され出した昨年11月以降、日本はびた一文も円売り介入を実施していない。
この点が決定的に重要である。①日本はデフレから脱却する必要がある②デフレ脱却のためには一段の金融緩和がカギを握る③金融緩和は結果として通貨安を招く――。こうした認識は米国の主流派エコノミストの間では常識であり、オバマ政権も共有している。
韓国が通貨戦争で反日統一戦線を仕掛けようにも、最初から無理があったのだ。もう1つ、誰あろう韓国こそが「覆面介入」による自国通貨安を実施しているという事実がある。
米財務省が年2回発表している「国際経済と為替政策に関する議会報告」(12年11月27日)における韓国(South Korea)の部分を見よう。
韓国は「ウォン相場の乱高下を滑らかにするための介入」を実施しているというが、ウォン売り介入の結果、韓国の外貨準備は11年に113億ドル増え2980億ドルとなり、12年も既に10月までに160億ドル増加している。
国際通貨基金(IMF)も韓国に対する経済審査(4条協議)で、「外貨準備は十分であり、これ以上積み増す必要はない」と指摘している。
IMFの試算によれば、ウォンの実質実効為替相場は0-10%の間でいくぶん過小評価され(moderately undervalued)、過去の平均より7%下回っている。
こうした状況を踏まえ、「我々は韓国当局に引き続き以下の圧力をかける。つまり、彼らの為替介入を無秩序な市場状況という例外的な環境に限定し、介入データの開示を含む為替市場の透明性向上に取り組むことである」という。
要するに、平時の為替市場での隠密介入は許さないぞ、介入するなら市場が大荒れになった場合に限定し、しかも介入の事実は公表しろ、ということだ。
極めて真っ当な要求と言わざるを得ない。ある時は先進国、別の時は新興国という、都合の良い使い分けはもう止めにしろという韓国に対するメッセージともいえる。