イラン・イスラム共和国について外部で流布されているイメージの一つに、顔を除く頭からつま先まですっぽりと黒いチャドルで覆った女性がある。より(伝統に)忠実な女性は、顔の下の部分も覆うようにチャドルの端を手で持つか歯で押さえようとしている。
だが都市では大抵は色鮮やかである程度まで髪を隠す長布や、身体の線を覆い隠すためであるにしては短くぴったりし、季節によっては薄手のコートを羽織るだけでこと足れりとする女性も多い。
1979年のイスラム革命後から徐々に始まったヒジャーブ(訳注:イスラム教徒の女性が頭部を覆う布でチャドルと同意で使っている)着用規則は、イラン人にも外国人にも、イスラム教徒であるなしにかかわらず全女性に適用されている。当局はある程度の柔軟性をもって服装規定が遵守されているかを監視している。
毎年春になり暖かさが戻ると、女性たちはある程度服装規則の縛りから解放されようと、踝の一部が見えるズボンを穿いたり、スカーフを後ろに下げて髪をより露出させる女性もいる。当局は毎年、このような「行き過ぎ」を抑制するキャンペーンを行っている。
イラン警察は8月末に、首都テヘランの6万4千人の女性に対してヒジャーブ着用を遵守しなかったとして警告を発したと発表した。5月末には、イラン政府のゴラーム・フセイン・イルハーム報道官が、「宗教的、歴史的にイラン女性が選択する問題だから、ヒジャーブ着用を強制するいかなる法律も存在していない。力をもって強制する必要などなく、むしろ文化的行為であるべきだ」と語り、「我々に相応しくない衣服が市場に溢れている」と批判した。
更に、「アフマディ・ネジャード大統領は商業省に、女性たちの選択の幅を広げるべくイスラム的価値観に合った衣服が市場に溢れるための措置をとるよう指示した」と指摘した。
しかし、この措置に対する反響はなく、多くの女性衣料店主はショー・ウインドウにチャドルよりも流行の商業的服を優先的に飾っている。
ノーベル平和賞を受賞した弁護士のシーリーン・イバーディー女史は、「ヒジャーブの問題は女性にとって最優先課題ではない。それよりも例えば私が自動車に轢かれたら、男性の半分の賠償金しか受け取れない。また、刑法では女性の証言効力は、男性の半分しかない」と不満を漏らす。
イランの法律は女性は男性に従属すると位置付け、夫は妻の就業や外国旅行を禁止出来る。また、離婚や、親権、遺産に関する遺言でも男女は平等ではない。
社会学のハミード・レザー・ジェラーイーブール教授は、「女性が特に職場での給与や昇進で差別を受けている。だが男性も民主主義の拡大に目を向け、女性の状況の改善を訴えている」と言う。
http://www.middle-east-online.com/?id=42119 チャドル着用の女性写真あり
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