2003年イランは米国へイスラエルとの和平を提案した/アラビア・ニュース

2006-06-01 22:57:06 | 世界
ワシントン発ギャレス・ポーター氏による「イランは米国へイスラエルとの和平を提案した」と題する記事を自由メディアのインター・プレス・サービス(IPS)から引いて、5月24日のバスラネットが報じた。
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イランから米国への秘密文書によれば、2003年にイランはイスラエルとの和平に合意し、パレスチナの武装グループへの物資支援を打ち切り、彼らに1967年までの領域内でのテロ攻撃を停止させることを提案していた。

イランと米国を隔てている全ての課題を網羅した2頁にわたる両国の包括的提案で、2003年4月下旬から5月上旬にかけて米国に発信されたコピーをIPSは入手した。ジョンズ・ホプキンス大学の先進国際研究所のイラン外交政策専門家であるトリータ・パールシー氏は、IPSへ寄稿し、その中で今年始めにこの文書を入手元は明かせないが、さるイラン政府高官から得たと述べている。

2頁からなる文書の中では、ジョージ・ブッシュ政権が、イランはイスラエルを破壊し、地域のテロを支援することに関与するとの立場を取ることに反論している。

パールシー氏によれば、元となる文書は2003年の4月下旬から5月上旬にかけて、(テヘランにおける米国利益代表部である)スイス大使館を通じて米国務省に持ち込まれた。その作業に携わった米国の仲介者より、交渉過程でのイランによる提案書の詳しい内容を2003年に教えられて要約したものがこの2頁からなる文書である。パールシー氏によれば、仲介者は本人が誰であるか特定されることに同意していないということである。

イランの交渉提案書によれば、イランは同地域での武装グループへの支援者としての役割を、米国とのより大きな見返りと引き換えに放棄する準備があるということだ。その見返りに関してイラン政策観測者の専門家として、この文書に示唆されるところによれば、米国による敵視政策の終了と、イランを地域における正当な勢力として認知することである。

2003年の提案以前、イスラエルとパレスチナの和平プロセスを支援していたアラブ諸国政府をイランは非難していた。しかしながら交渉文書によれば「サウディ提案、二カ国方式」として表現されている「アラブ連盟のベイルート宣言受諾」を提案している。

アラブ連盟による2002年3月のベイルート宣言は、1967年以前に支配していた領域までイスラエルが撤退することの見返りとして包括的和平をイスラエルに与えるといった、土地と和平の交換を基本原則とする最初の正式同意である。この問題でイランが提案していることは、エジプトやサウディアラビアなど、米国との親密な関係を築いている他国の政策と、イランの政策を提携させていくことである。

文書の中に含まれている他の権利については、「1967年の国境内で住民に対する暴力行為を停止するように(ハマスやジハードといった)パレスチナの反対派の組織に圧力をかける」ことに沿って、「こうしたパレスチナの反対派に対してイラン領域からいかなる物質的支援をも打ち切ること」である。

さらに驚いたことには、イランはレバノンを拠点としたヒズボッラーとの非常に近い関係があるにもかかわらず、この提案ではヒズボッラーをレバノン国内での単なる政治組織となるような措置を講じることも含まれている。

イランからの提案には「原子力技術を平和利用すること」を交換条件として、国際原子力機関(IAEA)による、さらに一層厳しい支配を受入れることも盛り込まれていた。更なるIAEA規則をイランに適応させることを基本としたIAEAとの完全な協力を提案している。

IAEAが要求するあらゆる施設への立ち入りと監視の権限をIAEAに与えることをイランに課す条項に基づいているのである。追跡されること無しにいかなる秘密活動をも実行することは、イランにとっても困難であろう。

イランがイスラエルと反イスラエル勢力に関する公式見解と矛盾するこのような譲歩の見返りに、イランの秘密提案は同国の目的に従って米国と協定を結ぶことを狙っている。イランの目的は、全ての(禁輸)制限を撤廃することに加えて、「米国の敵対的行動の停止と、米国におけるイランの身分是正」である。

またイランの目的には「防衛能力に応じて地域におけるイランの正当な安全保障上の権益を承認すること」も含まれている。多くのイラン専門家によれば安全保障上の目的と地域の勢力としてのイランの身分の公式承認は、米国との広範な合意事項の中でイランの主要な関心事である。

イスラエルの存在受入れと、他のイランの利権とを引き換えにして、イランの安全保障とペルシャ湾地域での地政学的な基本的権益を進展させる米国との交渉は、イラン治安関係の高官の間で長い間協議されている、とパールシー氏とイラン国歌安全保障政策の分析家は見ている。
不快だと表明するメッセージを発するまでの間、文字通りに2~3日しかなかったと回想していた。

こうした取引に対する関心は、2003年に提案を米国が拒絶したにもかかわらず、まだイランの中では充分に生きている。ビルケント大学のトルコ国際関係のムスタファー・キバログル教授は中東ジャーナル最新号で、イランの“上級分析家”が2005年7月に述べたところによれば、「イランによるイスラエルの正式承認は、もしも、米国とイランとが“大バーゲンセール”となる政治取引がなされれば、可能なことであろう」と記している。

イランのイスラーム式で、反イスラエル政策の主要点を骨抜きにするこの提案は、2004年の改革運動を巧みに抑圧して、昨年の選挙でマハムード・アハマデネジャド大統領を支援してきた、強烈な保守的宗教者によって反対されてきたものだ。

しかしながら、イランの元国家諜報官であるポール・ピラー氏によれば、イランでの改革運動の多くの保守的反対者は、イランに利するであろう米国との取引を支援してきたのである。彼はIPSとの先月のインタビューの中で「強硬派の一部には、悪魔との取引を破綻させることができるなら、そうしただろう、という考えを受入れた者さえ居る」と語った。

「保守派は米国と取引するという考えに不満なのではなく、現状を打破するとの評判を得るであろうムハンマド・ハタミ元大統領の改革運動の支持者によるものだという事実に不満だったのだ」とピラーは述べた。
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著者のギャレス・ポーター氏は、歴史家で国家安全保障政策の分析家である。彼の最新の著書は2005年6月に公刊された「優勢の危機:勢力不均衡とベトナムでの戦争への道」

http://www.albasrah.net/ar_articles_2006/0506/dalaf_260506.htm


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