鎌倉市教委、国歌斉唱請願を採択

2006-01-20 21:38:35 | 教育
  鎌倉市教委(宮崎隆典委員長)は18日、入学式・卒業式で児童生徒に国歌を斉唱させるよう求める請願を、条件付きで採択した。市教委、県教委によると、こうした請願は極めて異例だという。


(山元一郎・朝日新聞・神奈川)


  提出したのは「鎌倉市の学校教育を考える会」。請願事項は、国歌斉唱を学習指導要領にのっとり適正に行うこと、としている。請願理由で、児童生徒に対する事前指導とともに、ピアノ伴奏、指揮者などの工夫を求めている。


  理由の中で、市立小、中学校の04年度卒業式での状況を述べている。全25校あるが、16校については校名を挙げ、「参加した市民による報告」として内容を分類している。


  それによると、伴奏のテープが流されただけで児童生徒の斉唱なし(2校)、歌声がほとんど聞こえず(6校)、2~3割しか歌っていない(6校)など。「適正は2校だけ」としている。


  この日の委員会では、各委員から請願事項については「日本国民である限りはその通り」「自国の国歌はきちんと歌われるべきだ」など賛成意見が出された。しかし、請願理由については異論が出た。市教委事務局は「全校で適正に行われた」と報告し、考える会とは違う認識を示した。さらに委員から「ピアノや指揮者は学校に任せればいいのでは」との意見が出された。


  結局、請願理由を認めずに、請願事項だけを採択した。


  考える会は、昨年夏に市教委で不採択になった扶桑社の教科書を、中学校に参考資料として配布するよう求める請願も同年10月に出している。11月の教育委員会で、この請願は不採択になった。


  ■君が代斉唱訴訟教職員側弁護士「行政介入招くなら問題」


  卒業式や入学式での君が代の斉唱については県教委が04年11月、「教職員の起立の徹底」と「厳正な対処」を盛り込んだ通知を県立学校長に出し、05年7月に県立学校の教職員107人が県を相手取り、「君が代斉唱の際に起立や唱和の義務がないこと」の確認を求める訴訟を横浜地裁に起こしている。


  教職員側の代理人を務める弁護士の神原元さん(38)は今回の採択について「これまでに県内でこの種の請願が通ったと聞いたことはない」と話す。


  神原さんは「請願内容も起立などには触れずにぼかしてあるし、多くの市民の声を反映したものではないと思う」としながらも、「卒業式や入学式は、生徒や教師たちが主体となって決めるのが筋。これをきっかけに行政が現場に介入して学校の自由がなくなるようなら問題だ」と話した。



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