学ぶ喜びを生きる力に☆奥田塾

三重県桑名市にある小さな英語塾・奥田塾のブログです。テーマは、学ぶ!楽しむ!分かち合う!

無事を祈る (2)

2015年04月29日 | 中国・中国語・台湾
(「無事を祈る(1)」より続く)

彼女と二人で上った階段を、一人で下りた。
彼女の後ろ姿が、頭から離れなかった。

彼女は、名古屋近郊のどこかの工場で働いている中国人技能実習生。
来日してまだ2、3か月。
言葉も文化も違う慣れない土地での生活に、強いストレスを感じている。
職場の環境は想像していた以上に厳しい。
長時間労働で休日も少なく、心身ともに疲れ果てている。
寮での仲間との共同生活にもうまく馴染めず、孤立しがちだ。

つらい…。
故郷に帰りたい。
でも今はそれはできない。
どうしよう…。
とりあえず、ここから逃げ出そう!
確かお母さんの古い友だちが東京の池袋で中華料理屋をやってると言ってた。
そこに行けば何とかなるかもしれない。

そう思い立った彼女は、お昼休みの工場をそっと抜け出し、ほとんど着の身着のままで名古屋駅までやってきたのだ。

そんなことを考えていた。
これから彼女にどんな運命が待ち受けているのかは分からない。
僕の推測は全くの見当違いなのかもしれない。
いずれにしても、今の僕にできることはただ、彼女の無事を祈ることだけだ。

どうか無事でいてほしい。
何があっても、絶対に無事でいてほしい。

*   *   *   *   *

というわけで、風のように僕の目の前に現れ、風のように消えてしまった彼女。 (^^;)
無事に池袋にたどり着けたのか、今頃どこで何をしているのか、少し心配になります。

ひょっとすると、僕の考え過ぎなのかもしれませんね。
何かとても大事な用事ができたので、金曜日の午後から休みをもらって出かけた。
週末を東京で過ごして、日曜日の夜遅くにはちゃんと寮に戻り、月曜日からはまたいつも通り元気に仕事をしている。
…だったらいいな。

名前も知らないキミのことを、心から応援しています。
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無事を祈る (1)

2015年04月28日 | 中国・中国語・台湾
お昼過ぎのJR名古屋駅。
僕は、東海道線上りホームにつながる階段を上っていた。
隣には、一人の中国人女性。おそらく20代だろう。
黒縁メガネに、無造作に束ねた髪。
上下紺色のトレーニングウェア姿で、手にはスマホ、それほど大きくないデイパックを背負っている。

人が行き交う通路の真ん中で、スマホの画面と頭上の案内表示板を交互に見ながら、困っている様子だった彼女に声をかけてみた。
「トヨハシ」
どうやら豊橋行きの電車に乗りたいようだ。
何か少し焦っているようにも見える。
電車の出発時刻が迫っているのだろうか。
とにかく目的のホームまで彼女を連れていくことにした。

階段を上りながら日本語で少し話しかけてみたが、うまく伝わらなかった。
下手な中国語で、「ニー・シー・チョングオレン・マ?」(あなたは中国人ですか)と尋ねるのがやっとだった。
どこまで行くのか尋ねようとしても、「どこ」という単語がわからない。
「ニー、チィュー、トヨハシ? オカザキ?」(あなた、行く、豊橋? 岡崎?)

「イケブクロ」
彼女はそう答えながら、スマホの画面を見せてくれた。
「えっ、池袋? 東京の池袋?」
表示されているのは乗換案内のアプリだ。
赤い線がいくつかの駅名をつなぎ、確かに最後は「池袋」になっている。
到着時刻は20時○○分。
間違いなく彼女は、列車を乗り継いで東京の池袋まで行くつもりなのだ。

「東京に行くなら普通は新幹線に乗るよ。乗り換えもあるし、時間もすごくかかるけど、ホントに電車で行くの? 大丈夫?」
彼女は何も答えず、表情を変えることもなかった。

すぐに豊橋行きの快速列車がホームに入ってきた。
心の中で、「気をつけて行くんだよ」と道中の無事を祈りながら、彼女を見送る。
何か強い決意が秘められているような後ろ姿だ。
しかし同時にその中に、今にも消えてしまいそうな儚さが揺れているのが見えた。
僕はもう一度、彼女の無事を強く祈った。

(「無事を祈る(2)」に続く)
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「まいにち中国語」 今日から5月号!

2015年04月27日 | 中国・中国語・台湾
3月30日にスタートしたNHKラジオの『まいにち中国語』講座。
おかげさまで何とか4週間、聴き続けることができました。(^^)v
講師の豊島裕子先生に大、大、大感謝です!

テキスト4月号の巻頭の「講師あいさつ」には、次のように書かれています。
「放送を通じて発音習得のお手伝いをするのは初めての経験です。その意味では私も初心者なので、今回の講座にあたって、私ももう一度中国語の発音の特性と指導法を学び直し、できるだけ効果的に習得できるよう、自分なりにテキストを工夫しました。」

大学の先生が「もう一度学び直す」なんて、その謙虚さが素晴らしいですよね。
そしてその言葉通り、「学びやすい、分かりやすい、見やすい」と三拍子揃ったテキスト。
「対話文、語句、文法ポイント、練習問題」の量のバランスや、15分間の授業の時間配分も絶妙です。
豊島先生に巡り合えてよかった!

もちろん、4月の講座で学んだことを実際のコミュニケーションに活かすためには、単語を覚えたり、基本表現を暗記したり、そういう地道な作業が必要になります。
目の前に、「四声」(4種類の声調)という強敵が立ちはだかっているので、少し不安もありますが、音読練習や筆写練習を繰り返しながら、コツコツ頑張ってみようと思います。

5月号のテキストをめくってみました。
「この段階では、発音練習はうまくまねできたり、できなかったりするときがあるほうが普通です。うまくできなくても焦らず、無理をせずにゆっくり習得していきましょう」
という豊島先生の励ましを受けながら、いよいよ『まいにち中国語』、2か月目の学習がスタートです!


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財津和夫さんの「この道」

2015年04月22日 | 音楽の愉しみ
中日新聞の夕刊に「この道」というコラム欄があります。
各界の著名人がこれまでの人生を振り返り、さまざまなエピソードとともに語る連載記事です。
今週の月曜日からは、チューリップの財津和夫さんが担当しています。

僕が勉強そっちのけで音楽活動に打ち込んでいた大学生の頃、一番影響を受けたのが「チューリップ」というバンドであり、そのリーダーの財津和夫さんです。

「チューリップ? オフコース? お前、そんな軟弱な音楽聞いてんの?」
とひどいことを言うヤツもいましたが、
「ええやないか。ええもんはええんや」
と退け、チューリップのファンを貫き通しました。(^^)v

僕が特に好きだったのは、メンバー2人が入れ替わった後の、いわゆる「第2期」のチューリップ。
この頃のアルバムには、『THE LOVE MAP SHOP』('81)、『THE 10th ODYSSEY』('81)、『2222年ピクニック』('82)、『Halo(ヘイロウ)』('83)、『I dream』('84)などがあります。
ライブにも何度も足を運びました。

バンドで彼らの曲をコピーして演奏していたのもこの頃です。
僕の担当はボーカル&ピアノ。
財津和夫に憧れていたんですねえ。
最も数多く歌ったのは、間違いなく『青春の影』('74)です。
『心の旅』('73)、『サボテンの花』('75)などと同じく、「第1期」の名曲で、これまで多くのアーチストによってカバーされています。

♪君の心へ続く長い一本道は~♪

今もテレビのCМなどでこの曲を耳にすると、何となく胸がキュンと…。
(「胸キュン」は、オジサンには似つかわしくない表現かな。)
懐かしくて切なくて、胸の奥がじわっと熱くなる感じです。

チューリップの魅力については、また別の機会にじっくり語ることにします。

財津さんの「この道」。
第1回の「夢を歌う」では、「還暦を過ぎたあたりから、ようやく肩の力が抜けた。若い頃のように無理をして頑張ったり、責任を抱え込むのはやめて、人に迷惑をかけない程度にわがままに生きていこう。そう決めたら、毎日がすごくラクになったんです」という現在の心境が、第2回の「原風景」では、幼い頃の記憶が綴られています。
今日は第3回、これからどんな話が聞けるのでしょうか。
毎日夕刊を読むのが楽しみになりそうです。


↑僕のCDライブラリーの中から、チューリップ&財津さんのものを集めてみました。
全部で40枚近くあります。(^O^)/
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ギターを購入しました!

2015年04月19日 | 音楽の愉しみ
中古のアコギ(アコースティック・ギター)を購入しました。
モーリスのW-30という製品で、調べてみると、1970年代後半から80年代初めに製造されたもののようです。
ちょうど、谷村新司の「モーリス持てばスーパースターも夢じゃない」というCМが流れていた頃ですね。
40年近く前のギターということになりますがが、音の響きも良いし、ネックの反りや弦高も特に問題ありません。
指板やボディーも目立ったキズはほとんどなく、パッと見たところ新品と見間違えるほどです。

去年の夏、帰省した中学生の甥が僕の部屋に置いてあったギターに興味を持ち、滞在中に「ドレミファ~」の音階やいくつかのコードをあっという間に覚えてしまいました。
もともとそのギターは、弟が高校生の頃に購入したものだったので、長い間借りていたギターを弟に返す形で、そのまま甥にプレゼント。
それ以来、手元にあるアコギは1本だけになり、「中古で良いものがあればもう1本欲しいな…」と掘り出し物を探していました。
今回、偶然立ち寄った店で、求めていたものに近いこの楽器に出会えてラッキーでした。
なかなか良い買い物ができたと満足しています。

質の良い楽器というのは、何年たっても価値が変わらないのがスゴイですね。
特に手作りの楽器の場合、愛情を込めて演奏し続け、手入れを怠らなければ、時間の経過とともに価値が上がるものも多いです。

おそらく、元の所有者が大切に扱っていたであろうこのギター。
いや、ひょっとすると、ほとんど使われないまま押入れの中で眠っていたのかもしれませんが…(^^;)
たとえそうだとしても、とても良い状態で保管されていたことは間違いありません。

「モーリス君、ようこそ我が家へ。これからは今までよりも出番が多くなりますよ。
いい音で鳴ってくださいね。よろしくお願いします!」


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