学ぶ喜びを生きる力に☆奥田塾

三重県桑名市にある小さな英語塾・奥田塾のブログです。テーマは、学ぶ!楽しむ!分かち合う!

EJU(日本留学試験)

2023年06月19日 | 日本語教師
6月18日朝8時、僕はこの場所にいました。



名古屋大学東山キャンパス。

2023年度第1回・日本留学試験(EJU)の会場です。
(日本留学試験:日本の大学に外国人留学生として入学を希望する人を対象とした共通テスト。日本語能力及び基礎学力の評価を目的とする。)

僕の教え子たちがチャレンジしました。

実は、現在教えている2つの日本語学校のうち、1つの学校では、4月から週に3日(週に12コマ)、ずっとEJU対策の授業を担当してきたんです。
まさにその集大成とも言えるこの日。
居ても立っても居られなくなり、激励の言葉を届けるために、はるばる(!?)名古屋大学まで出かけたというわけです。

地下鉄「名古屋大学」駅の改札口を出たところで待っていると、一人また一人と見慣れた顔が近づいてきます。
僕に気づいてびっくりしたような表情を浮かべている学生たち。
「おはよう!」「体調はどう?」「頑張ってきてね!」「大丈夫、大丈夫!」などと言葉を交わしながら、祈るような気持ちで送り出しました。


結果の発表は7月26日。
その日、これまでの努力と苦労が報われ、素晴らしい成果を収めることができた…と微笑んでいる人もいるでしょう。
結果が思わしくなく、「もっと真面目に頑張ればよかったなぁ」と後悔している人もいるでしょう。

精一杯努力したにもかかわらず、思うような結果が残せなかった…と肩を落としている人もいるかもしれません。
そうなんです。
僕の経験から言っても、努力に見合った成果が得られないことって結構多いんです。
でもだからといって、「もう努力するの、や~めた」なんて言わないでくださいね。
たとえそれが報われなかったとしても、努力すること自体には価値がある。
僕はそんなふうに思うんです。
その理由はまたいつか書きますね。
(*^^*)
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卒業おめでとう~越来越好

2022年03月29日 | 日本語教師


富士山の鮮やかな青。きれいでしょう?
空のグラデーションとのコントラストも美しいし…。
僕の大好きな色合いです。(^^)/

この絵を描いたのは中国出身の留学生Tさん。
僕が日本語学校で今学期担任をしていたクラスの学生です。
先週の卒業式の日に、恥ずかしそうに「先生、これ…」と言って手渡してくれました。
「えっ、これ私に? Tさん、自分で描いたの? うわ~、上手ですね~! すご~い! ありがと~! うれしい~!」(喜び爆発)
\(^o^)/

台紙(はがきサイズのクラフト紙)の裏には次のような中国語のメッセージが添えられていました。




像日出一样 越来越好 所有的一切
日が昇るように ますますよくなる ありとあらゆるものが


越来越好ユエ・ライ・ユエ・ハオ)」「ますますよくなる
いい言葉ですよね~。

Tさんは4月から観光系の専門学校に進学します。
目標は、日本で旅行関係の仕事に就くことです。
2年間しっかり学んで、社会人としてスタートを切る頃には、さすがにもうコロナは終息していますよね…。(そうであって欲しい!)
ホスピタリティ精神にあふれるTさんが、とびっきりの笑顔で、中国からの観光客を温かくもてなしている姿が目に浮かぶようです。


Tさん、卒業おめでとう。
君が日本語学校で学んだ2年間は、コロナ禍の2年間。
制約の多い不自由な状況の中で、本当によく頑張ったと思います。

君の名前には「天空の宝石」という意味があると教えてくれましたね。
卒業式の日、君が周りの人への多くの感謝の言葉とともに流した涙は、まさに「天空の宝石」のようにキラキラと輝いていました。

越来越好ユエ・ライ・ユエ・ハオ)」「ますますよくなる

これからも、ずっと応援しています。
(*^^*)
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日本語の授業~漢字で脳トレ!?

2021年06月23日 | 日本語教師
前回の記事「日本語の授業~漢字のふりがな」の続きです。

習った漢字を定着させるためには、やはり何度もその漢字に出会うことが必要ですよね。
僕が実践しているのは、漢字のテキストの練習問題を使って、定期的に無理やり (^^;) 出会わせるという方法です。

例えば、「留学生のための漢字の教科書・中級700」というテキストなら、漢字の読みを書かせる問題「よみましょう」を活用します。(↓)



ふりがなのない文章を表示し、コーラスで読ませた後で、ふりがなを表示して、読み方が合っていたかどうかをチェック。
ひたすらこれを繰り返します。

漢字が得意な学生は、常にフライング気味にどんどん声を出します。
一方で、ただポカンとスクリーンを眺めているだけで、声を出すタイミングを逃してしまっている学生もいたり…。
それでも、うまくスピードをコントロールしてやると、クラス全体の声がだんだんそろってきて、何とも言えない一体感が生まれます。
漢字が苦手な学生も、周りの友達に手を引っ張ってもらいながら、何とか遅れずに走り続けている、という状態でしょうか。
「がんばれ~!がんばれ~!」と声援を送りたくなりますよね~。(^^)/

ほかにもこの練習には良い点があります。
それは、文脈から読み方が推測できる場合もあるという点です。
例えば、「要ります」だけでは読めなくても、「許可がいる」という表現を知っている学生は、「許可が要ります」を見て「おそらく『いります』だろうな」と予想して読むことができるのです。
もちろんその前の段階で、「許可」を見て「あれっ、これ、何と読むんだっけ?」と脳をフル回転させて闘っている学生もたくさんいます。
この「努力して思い出そうとする行為」は脳の活性化に大いに役立つということもよく知られていますよね。

では、ここで結論を言います!

「ふりがななしの漢字を含む文を声を出して読む」という練習には、脳が大喜びするような活動がいっぱい詰まっている!
\(^o^)/

授業開始時のウォームアップとしてやるのもよし。
授業中のちょっとしたスキマ時間に、気分をリセットするためにやるのもよし。
授業終了直前の「5分くらい時間が余ったなあ」というときにもおススメです。

僕はこの練習を、こっそり「漢字で脳トレ・元気100倍プロジェクト」と呼んでいます。
(*^^*)
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日本語の授業~漢字のふりがな

2021年06月22日 | 日本語教師
パワーポイントで表示する文章中の漢字にふりがなを付けるか付けないか。
付けるとしたら、どの程度まで付けるのか。
悩ましい問題ですよね。
学生たちのことを考えると、ずっとひらがなだけを使っていては、せっかく習った漢字が定着しないし、一切ふりがななしではストレスが多くなるだろうし。
僕の場合、そのあたりのバランスを取りながら、漢字の学習の進み具合に応じて、ふりがなを付ける付けないを判断しています。

例えば、初級学習者の場合、漢字を全く使わないこともあります。(↓)




では、漢字の学習がある程度進んだ中級以上の学習者が対象の場合はどうするか。
基本的な考え方は、「できる限り漢字を使う。そして使う以上は、できる限りふりがなを付けない」です。
その時点で既に学習済みの漢字かどうかは、その都度漢字のテキストを見てチェックします。
もちろん、学生全員が習った漢字を全て覚えているということはありえませんが、それでも一応授業の中で扱った漢字は学習済みとし、ふりがなは付けません。


◆以前の記事「日本語の授業・実況中継 1-1」で紹介した【スライド2】を例にとって見てみます。(↓)



「多い」「野菜」は漢字のテキストで学習済みです。
「外食」「不足」は語いとしては既習ですが、漢字としては未習語なのでふりがなを付けました。


◆「日本語の授業・実況中継 1-2」の【スライド5】です。(↓)
いったん音で導入したあと、その確認のために文字を提示する場合は、耳に残っている音と文字を結びつけて考えさせるためにも、既習、未習にかかわらず、敢えてふりがなを付けないことが多いです。




◆前回の記事「日本語の授業~語い指導」で紹介したスライドです。(↓)
「費用や…」「夕食の…」「趣味に…」などは、言葉で説明した後で文字を提示するので、ふりがながなくても、ほぼ問題ありません。



水色の部分もほとんどが既習の漢字なので、パッと表示して「はい、読んでください」でOK。
「迷惑」だけはふりがなを付けましたが、付けずに出して「だれか読める人いますか?」でもいいと思います。
漢字が得意な学生が、クラスの中で「漢字博士」としての地位を確固たるものにする手助けをしてあげます。(^^)/

もう一点、ふりがなを付ける位置についてです。
本来は漢字の上に付けるのが一般的ですが、手間を省くために、漢字の下につけたり、上のスライドの「費用」や「迷惑」のように、漢字の右側に付けたりします。
幸いこれまで学生たちの間から「見にくい」などの声が上がったことは一度もないので、今後もこのまま続けるつもりです。

*  *  *  *  *

大学や専門学校へ進んだ卒業生の「教科書の漢字が読めなくて大変です」という声を聞くと、日本語学校時代にもっともっと漢字が読めるようにしてあげなきゃ…と思います。

習った漢字を何とか定着させたい。
そのために僕が微力ながら実践していることを、次回の記事で紹介します。
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日本語の授業~語い指導

2021年06月15日 | 日本語教師
先週は「日本語の授業・実況中継」と題して中級文法の授業の進め方を紹介しましたが、今回は語い指導の方法についてです。
(先週の記事はコチラ ⇒ 「日本語の授業・実況中継 1-1」)

語い指導(中級レベル以上)の授業準備は、この4冊の小学生向け国語辞典から始まります。




例えば、「自慢(する)」という言葉を教えたい場合、まずそれぞれの辞書の「自慢」に関する記述に目を通します。



「自分のことや自分に関係のあることを他の人にほこること」(「ほこる」が未習語)
「自分のことを他人に示して、得意になること」「自分のことや自分のものを、とくいになってしゃべったり、見せたりすること」(「サッカーが得意です」の「得意」は理解できても、「得意になる」が難しい)
一番わかりやすいのは「自分のものや自分のことを、自分でほめること」なので、それらしい絵を添えて、これを「自慢」の定義として使うことにします。



次に、例文をチェックすると…
「自慢話」「自慢の作品」「妹は自分のかいた絵を自慢している」「成績を自慢する」「うでまえを自慢する」が出ています。
「こと」を自慢する例文は、シンプルでわかりやすい「成績を自慢する」で決まりです。
口頭で「テストで100点をとったことを―」なども付け加えます。
「もの」の自慢は「妹は自分のかいた絵を―」がよさそうですが、学生たちにとってあまり身近な例とは言えないので、「Aさんは恋人にもらったバッグを自慢している」に変えました。
最後に、「でもね、あまり自慢はしないほうがいいですよ~。どうしても自慢したいときは、笑顔で『ちょっと自慢してもいいですか?』と聞いてから、自慢してください!」と教えます。


二つ目の例は「費用や時間を使う」という意味の「かける」です。



「皆さんは何にお金をかけますか」「何に時間をかけますか」と質問をし、お金や時間をかける対象には「~に」という助詞を使うことを意識させます。
いくつか答えを引き出した上で、例文「夕食の準備に時間をかける」「趣味にお金をかける」を表示します。
このとき、他動詞「かける」と対になる既習の自動詞「かかる」にも触れ、「~かかる」「~かける」という助詞の違いを確認した上で、いくつか文を言わせます。
ここで、多義語としての「かける」の復習もしておきたいですね。
「何をかけますか」と質問すると、「待ってました~」とばかりに、さまざまな答えが返ってきます。
「電話をかけます」から始まり、「めがねをかけます」「しょうゆをかけます」「カレンダーをかけます」などなど。
最後に水色の部分を表示し、学生からは出にくかった「声を/心配を/迷惑をかけます」などの説明を加えて終了です。


三つ目の例は「つまずく」です。



こういう動作を表す語句は、やはりイラストを見せて理解させるのが一番です。
石につまずく」「階段でつまずく」で、「[もの]つまずく」「[場所]つまずく」という助詞の使い分けを押さえます。
そして、「つまずいて、ころんでしまいました」では、「つまずいて」という「て形」の確認をします。
応用練習として、「駅の階段でつまずいて、ころんで、けがをしてしまいました」のような長い文を作らせてみるのも面白そうですよね。

*  *  *  *  *

学生たちは、その日に学ぶ新出語句に母語訳をつける作業を前日の宿題としてやってきます。
時間も限られているため、授業で扱うのは、使用頻度の高い重要語句や使い方が難しい語句だけです。
ただし、使い方がそれほど難しくなくても、日常生活の中で耳にする機会の多い語句、使用する可能性が高いと思われる語句については必ず取り上げるようにしています。
今回の例でいうと、二つ目の「かける」のような語句です。
このとき、学んだ言葉を使って例文を作らせると、若者らしい自由な発想から、こちらの想像をはるかに超えた、驚くほど興味深い文が生まれたりもします。
(学んだ「文型」を使った例文作りは、使える状況や語彙に一定の制約がかかる場合もあるため、自由度が低くなります。)
また、その言葉を含む2~3往復の対話文をペアで考えさせ、全体の場で発表させるのも楽しいですよ。
クラスの雰囲気が一気に盛り上がります。
伸び伸びと「言葉の海」を泳ぎ回っている学生たちの姿は、やはり見ていて気持ちがいいです。

学生たちに泳ぎ方を教え、溺れそうになっている学生がいたら手を差し伸べる。
それが日本語教師の仕事なのかも…。
(*^^*)
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