嘘の吐き方(うそのつきかた)
人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。
 



主張を誘うための、ぴったりと敷き詰められた空間があった。
僕は指を取りだして、そのひからびた鍵盤の上で、文字を叩く。
そうした行為が、誰かにとっての、手紙になるだろう事を祈りながら。

明け方の風景はとても予感的で
僕に新しい風を運んでくる
だけど夕方の風景はとても陰惨としていて
僕にどんよりした暗い塊を運んでくる

まるでその土が、人間を作るための、人形で出来た土であるかのように。

僕にとって、数字と風は、重要な意味を持っていて
いつも風が吹くたびに僕は何かを恐れながら景色に近づいていくし
数字はいつも、僕へ冷酷な鐘をならす。
そうした鳴動が、僕の可能性を、ズタズタに切り裂くとしても。

パイロットの居ない飛行機

冷たく吹き溜まる木枯らし

茶色くひび割れた樹木

形の無い天秤

紫色に晴れ上がった血液

明日を創り出すための、曖昧な空間たち。

そうしたものが、いつも僕の傍を閑散とかすめてゆく
人を近づけ、人を遠ざけてゆく

もしも僕が、何かを選択することが出来たのなら、
始まりと終わりを超えた世界が、
そこに開けてゆくだろうか?

そうは思わない。
この世界で、直線ほど残酷な線は無いのだ。
無限ほど、閉ざされた丸みは無いのだ。
全てが、僕の中で、どうしようもないほど中和されてゆく。

激しく年老いて、
色褪せてゆく未来だけを感じる
よどめいてきらめいて、なにもかもが無くなっていく
当たり前の未来だけが見える。
手を伸ばす勇気も、
新しい欲望もない。

ただ、そこに、約束に似た形の、終わりを伴った未来だけがあるのだ。
僕はそこに向かって、
なんの期待も無く、なんの絶望もなく、
地道に歩いてゆくしかない。
そのことに対する危機感を、僕はどれほど書いても表現しきる事はない。

何を書いたとしても、決して伝わる事がないように。
この世界に、ずっと閉じ込められているのだ。

こじ開けるしかない。
もしもこの世界と、決別するほどの意志を持つなら。

この世界にさよならして、
何かを記号のように記すしか無いのだ。
証を持つことを、遠ざけ続けるこの色では
何かをみるたびに、決して近づけない白があるように

僕はただ、白いモノを探して
ずっと遠くを見る。
じっと待つことだけが、この世界の美徳であるように。

透明な塀で出来た世界で
ただ透明な、祈りを捧げるように
全ての輪郭が、無くなり続けるその日まで

ただ僕は、透明さを願って―白い色を見ようとする。


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